毎年この時期は、スタッフが幕張メッセに行って現地レポートしていた "Inter BEE(国際放送機器展)”
さあ今年も幕張メッセで気になった品をご紹介!まずはマイクアンドヘッドフォンプース、ソニーではCー100の音をMDR-M1STでチェック出来るという夢のタッグ結成! もちろんMDR-CD900STも現役 #interbee pic.twitter.com/DoKy8E9fGM
— FUJIYA AVIC フジヤエービック (@FUJIYAAVIC) November 13, 2019
お待たせしました #fitear プース!普段聴けないProシリーズと一緒にFitear TO GO! 335も!他の展示もヘッドフォン祭とは違いプロ向けの「本業」ガチ! #interbee pic.twitter.com/a6r1uX4uTj
— FUJIYA AVIC フジヤエービック (@FUJIYAAVIC) November 13, 2019
といった感じで、毎年期間中には会場各ブースの気になる製品などを現場の幕張メッセからレポしていましたが、今年は新型コロナ禍の影響で展示会は中止に。
"Inter BEE 2020 ONLINE "として昨日11月18日より開催されていますが、特に「音を聴かせる」プロ用オーディオ部門の出展はオンラインでは難しいこともあり非常に少なく、寂しい限りです。
また、フジヤエービックもこの10月に映像部門がフジヤカメラへ合流し、音響系の新製品が例年よりも少ない今年はプロ用機材も同様で、注目すべきオーディオ新製品は今回ほとんど見当たりませんでしたが、それでもこれから1,2年程度後には話題になりそうな
ヘッドホンオーディオに関連する新しい技術のオンライン展示
が2つほどありましたので、(弊社の勉強も兼ねて)チェックしてみましょう!
あの「ドルビー」Dolby Japan社が 今年1月のCESで発表した技術 は、既にホームシアターのサラウンドの世界では定着している「ドルビー・アトモス」をさらに推し進めたもの。9月から「 ドルビーアトモス・ミュージック・フェスティバル 」というプログラムがスタートしており、ZARDなどのライブがストリーミング各社より配信されています。しかしDolby Atomos Musicはスピーカーのサラウンドのみではなく、Inter BEE 2020 ONLINEのドルビージャパンのリリースにはこうあります。
ドルビーアトモスは、環境またはデバイス内のスピーカーの数に基づいてコンテンツを自動的に最適化するため、ミックスは、映画館だけでなく、ドルビーアトモス、ホームシアター、サウンドバー、ヘッドフォンを備えたモバイルデバイス、さらにAmazon Echo Studioなどのスマートスピーカーでも最高のエクスペリエンスを提供します。
こちらが ドルビーモバイルのサイト 。これから、Dolby Atomos対応のスマートフォンも増えていくだろうと予想されます。スマートフォンによるヘッドホンリスニングでの立体的オーディオ体験が出来る日も近い・・・?
こちらは、プロ用のスタジオモニタースピーカーでおなじみのGENELEC(ジェネレック)ジャパンが昨年発表し、すでに昨年のInter BEE2019でも技術発表を行っていたもの。まずはジェネレックジャパンのInter BEE 2020 ONLINEでのリリースを読んでみましょう。
ヘッドフォンにおけるリスニングでは、スピーカー・リスニングとはまた異なる問題が生じます。耳の形、体型などヘッドフォン・リスニングでは、この個人個人によって異なるさまざまな要素が、最終的なサウンドへと大きな影響を及ぼします。
Aural IDは、個人個人によってパーソナライズされた「基準」をご提供いたします。ユーザーの頭部伝達関数(HRTF)を使用して、音が鼓膜に到達するまでのプロセスにおいて影響を与える頭部、上半身、複雑な形状の外耳といった要素が複雑に絡み合って変化する音響特性を計算し、さまざまな方角位や仰角で生じる音の変化を特徴づけるデータを生成いたします。
これまで、個人個人に紐付いたHRTF情報を収集するためには、複雑かつ時間の価格プロセスが要求されてきましたが、GenelecのAural IDは、ユーザーの頭部や上半身を360度から撮影したビデオ(スマートフォンのカメラでもOK)によってHRTF情報を獲得することを可能としました。
最終的にこのデータは、AES(Audio Engineering Society)によって定義されたSOFAファイルとして保存されます。つまり、標準化されたフォーマットへと落とし込むことで、すでに多くのVRやゲーム、オーディオのレンダリングに対しての互換性を実現し、ヘッドフォンにおけるリファレンスをご提供することを可能とします。
耳の穴の形状による個人差を解消するためのカスタムイヤホン(イヤモニ)ですが、本来は頭部から肩(!)に及ぶまでの個人個人の形状の違いが各自が捉える「音の差」となるため、形状測定をしてそれを頭部伝達関数(Head-Related Transfer Function, HRTF)として数値化するところからスタートするのですが、このHRTFの測定は一言で言って「面倒で大変」。ジェネレックはその点を、人物の頭部や上半身をビデオ撮影するだけで数値化できるようにしました。
HRTFのデータは演算で、AESで厳密に定義されたSOFA (Spatially Oriented Format for Acoustics)という標準化されたフォーマットファイルに落とし込むことができ、再生機側では各人のSOFAファイルに対して音の調整を行うことで、色々な人に対して適切なリファレンスを提供できる、というものです。SOFA形式は、すでに多くの仮想現実(VR)とゲ ーム、オーディオのレンダリングエンジンでサポートされているため、結果としてボディ形状の差を排した音を誰にでも手軽に提供できる、ということですね。難しいけど。
このAural IOは、VRヘッドホンでできるのであれば当然2chステレオでも・・・となります。
そのうち、というか間もなく?スマホアプリで頭をぐるっと撮影することで取得したSOFAファイルに応じて調整された音をヘッドホンやイヤホンで鳴らす、という行為が一般化してくるかもしれませんよ。メモリーしたSOFAの情報を切り替えれば、同じヘッドホンで「聴いてみて?」となる際にはメモリーを切り替えればほぼ同一条件でのサウンドチェックが可能になるかもです。
これらの音響技術が実装されたマシンでの新しい音楽体験が、待ち遠しいですね!