ヘッドホンやイヤホン、DAPやケーブル、ヘッドホンアンプにDACに、その他いろいろなオーディオ機器を売りに出すとき、どこのお店も「きれいにして出すと好印象で査定も下がらないですよ!」という事は言われると思いますがAV機器の掃除・クリーニング・お手入れはどうやればよいのか。30年以上数えきれないほどのAV機器の買取経験と中古販売経験を持ち、様々な状態で買い取った品をクリーニングして中古品として販売しているフジヤエービック買取センターのベテランスタッフがAV機器のクリーニング法をご紹介します。
オーディオ機器の買取査定が落ちてしまう原因は、故障・傷・欠品の他には大半が以下のようなものです。
1. ホコリの付着
2. 脂系の汚れ
3. 臭い
4. サビ
5. 経年変化・劣化
このうち、サビ、経年劣化、変化については対応が難しくほぼ案件ごとになるのと、対応が出来ない場合も多いため今回は除外させて頂き、ホコリの付着、脂系の汚れ、臭いに対する対策についてお伝えします。
市販の「エアダスター」を主に使用しています。
人の息でフーッ!とするのはNGです。基本はこれです。かつてエアコンプレッサーを備えた本格的な機械の導入も検討したことがありますが、コスト面も考量すると、これで十分だと思います。
ただし一点だけ、「精密な可動部分」つまりイヤホンのドライバーなどへのむやみな吹付については、故障の原因になる可能性もあるため、こういったパーツに風が当たる場合は吹き付け方などに注意して慎重に行います。
「油」が付着していることもありますが、主に人が触れることによって付着するのが「脂」。もちろんフジヤエービックでは無水エチルアルコールやベンジンなども常備しており、そういった薬品で拭きとる場合もあります(コンポ筐体や端子などの金属パーツなどは基本的にアルコールで拭いて品出しします)が、ゴム系・軟質プラスチック系のパーツなどは、これらの薬品を当てると白化などが起こってしまうことがあります。そこでフジヤエービックが長年使っているのは
「泡系のガラスクリーニング用クリーナー」
例えば、 ヤマハのサイト では「音響機器の消毒方法」が紹介されていますが、さすがヤマハさんというか使用成分とその濃度にまで触れています。この中の「界面活性剤入り中性洗剤」のグループに該当するのが、このガラスクリーナーです。
フジヤエービックで使っているクリーナーの成分表示を見てみます。
「ポリオキシエチレンアルキルエーテル 0.1%」とありますね。これが界面活性剤で、脂汚れを浮かします。しかも液体中性洗剤と違いガラス用のそれは泡状になるため、スプレーしても機器内部に浸透して行ったり入り込むことがほとんどなく、拭きとれば溶かし込んだ汚れと一緒に除去できる点も電子機器などに使う場合には非常に優れています。
AV機器につくにおいの代表的なものとしては、「タバコ」が最も多く、「整髪料」「人の脂」「芳香剤」などが人が使うことでつくにおいの代表格です。発熱の多い機器などでは、熱により内部基板や部品、半田などが変化して(焦げるまでは行きませんが)出てくるようになるにおいもありますね。
これは上記ガラスクリーナーやアルコールなどを用いて、可能な限り落とします。たまに「天日干し」「陰干し」など行うこともあります。これらにはにおい消しのための香料が入っているものもありますが、そのにおいだけが残らないような配慮もします。
これだけやっても落ちない場合も多く、特にコンポタイプのオーディオ機器の場合、発熱対策としてシャーシ内部に空気を呼び込む構造になっている機器でヘヴィースモーカーの方の部屋に置かれていたりする場合、内部にまでタバコの煙が吸い込まれるために基盤等にもにおいが付いている場合があり、このような場合は仕方なく「タバコ臭あり」の中古として品代することがあります。
ヘッドホン・イヤホンなど直接肌に触れるものも含めたフジヤエービックでの中古販売の際のクリーニングについてご紹介しました。中古品であっても安心してお使い頂けるような処置を施しています。