Singolo は、世界で最も有名なオーディオ評論家の一人である Crinacle 氏とコラボレーションから生まれました。同氏は、数多くのイヤホンやヘッドフォン、スピーカーのトーンシグネチャーを調査した周波数測定データベースを持ち、それを公開することでインイヤーモニター業界に大きな変革をもたらしています。ヘッドホンやイヤホンのサウンドシグネチャーを視覚化できるようにすることで、同氏はオーディオ業界やよりよいサウンドを解明しようと努め、ヘッドホンやイヤホンの設計における科学的で透明性のあるアプローチに新たな道を開きました。この度、Crinacle 氏は Singolo の設計開発に専門知識を提供し、イヤホンに関する長年の経験と知識を披露しています。

KARS は、ドライバーへの気流を操作し、低域出力を調整するバンドパス・フィルターです。この特許取得済みの革新的技術には、精巧で複雑なラビリンス・チューブ・ネットワークが採用されており、数多くの科学的・物理的モデルを使用して設計されたことで、ドライバーの適切な共振ポイントを完璧に計算することができます。KARS は、これまでシングルドライバーのイヤホンでは不可能であったタイトなサブバスシェルフを可能にしています。低音の質、量、質感、どの要素をとっても同様のドライバー・フォーマットで採用されているチューニング戦略とは異なっています。
また、RC(コンデンサー)ネットワークで複数のドライバーを使用する従来のクロスオーバー・ネットワークとは異なり、KARS はヘルムホルツ共振を使用してチューニングを調整しています。ダイナミックドライバーへの空気の流れは、ダイアフラムがどれだけ反応できるかを調整しますが、流量、方向、容積の精緻な計算も必要となります。KARS は、このエアフローを正確に調整し、サウンドを思い通りに操作することができます。コンデンサーや抵抗は、計算されたクロスオーバー・ソリューションを提供しますが、特に安価な SMD 部品(表面実装部品)を使用した場合、歪みという形でサウンドに不要なアーティファクトを加えてしまいます。
KARS を使用することで、ドライバーから直接サウンドが伝わるため、受動的な電気部品に邪魔されることなく、ピュアで解像度の高いオーディオ体験を得ることができます。さらに KARS を採用することにより、ドライバーへの空気の流れを調整するために従来使用されてきた通気メッシュを不要にします。これらのメッシュは公差が小さく、ユニットのばらつきや耐久性の弱さの原因となっていました。KARS の精密なエンジニアリングにより、できるだけ製品の不確実性要素を排除し、すべてのユニットで均一なサウンドを実現しています。
KARS の寸法や角度は、サブバスシェルフを制御するために科学的に計算され、繰り返しテストされ開発されました。1.0 ミクロンの精度で精密に 3D プリントされています。ラビリンス・チューブ・ネットワークはダイナミックドライバー・チャンバー後部への空気の流れを調整し、振動板への背圧を厳密に制御します。サブバスと低音レスポンスを正確に調整し、また耳内の圧力換気を調整し、より快適でプレッシャーのないリスニングを可能にするという 2 つのことを同時に実現しています。また、KARS はドライバーの後方から発生する波振動の反射を計算された形で除去することを可能にし、より質の高いサウンドを作り出します。

KARS システムを最大限に活用するため、Singolo にはカスタムメイドの日本製液晶ポリマー(LCP)振動板を搭載したダイナミックドライバーが採用されています。11mm 口径のダイナミックドライバーは、KARS のためにカスタムメイドされ、ユニークなフロントとリアのアコースティック・チャンバー・プロファイルを備えています。鮮明でありながら自然な音色特性を持っているため、液晶ポリマー(LCP)が振動板素材に選ばれました。硬い金属ベースの振動板は、その音色に金属的な色合いを持つ傾向があり、プラスチックベースの振動板は鈍い音になる傾向があります。LCPは、アタック感を得るための剛性と自然な音色の完璧なバランスを提供します。KARS を導入したこのドライバーは、アコースティック・ダイナミクスのみを使用して精密にチューニングされています。

Singolo は、Crinacle 氏のトーンシグネチャーに従ってチューニングされています。これは、長年にわたって世界で最も成功しているイヤホンに見られる最高のチューニング・プロファイルのすべてを統合したものです。8dB のサブバスシェルフを搭載し、低音は驚くほどハードでパワフルですが、300Hz で原始的にカットオフされます。これにより、ボーカルや楽器の自然なサウンドを、人工的な膨らみや濁りなく表現するニュートラルなミッドレンジを実現しています。高音域は完璧なインイヤーピナ(耳介)の補正湾曲に従い、クリーンな 3kHz のピークと高音域への自然な減衰があります。Singolo では、完璧に自然なサウンドシグネチャー、つまりサブウーファーのないサブウーファーサウンドが特徴です。

Singolo は、着脱式ケーブルシステムを採用しています。2 ピン 0.78mm コネクターを使用し、ケーブルを取り外し、他のケーブルと交換することができます。これにより、Singolo の寿命を効果的に延ばすだけでなく、リスニング体験をカスタマイズすることができます。