まず一つは、ハイクラスケーブルの定番でありベストセラーモデル「Diamond Dust type “aenigma”」「NEUTRON」「NUCLEON」で共通して使用していて、圧倒的な高精度＆高性能を誇る「aenigma wire」です。
aenigma wireはブルガリア製（USSR供給）の大変稀少な旧社会主義国家・冷戦時代の軍用オーディオ機器ワイヤーで、尚且つ世界最高峰のPTFE絶縁と高精度純銅の超高純度銀メッキ（純銀メッキ）という圧巻の仕様は、パワー感と超広域帯を実現した逸品です。これまでの実績からしても折り紙付きの高品質ワイヤーになります。

type “aenigma”最大の特徴及びずっと支持を頂けている理由は、1ランクも2ランクも上といえる位相特性の良さにあります。
ケーブル構造からくる超高域・高域・中域・低域の周波数の繋がりと定位描写が完璧なため音にスピーディーさとレスポンスの良さを強く感じる事ができ、それに伴い非常に高い解像度と空間の隙間の美しさ、美しい粒子のような音描写、そして自然な音バランスの良さが圧巻の美音を奏でます。

そしてもう一つは、同じく旧社会主義国家時代の産物であり、究極にレアな軍用ブルーシルク巻きLITZワイヤーになります。
その基礎サウンドはとても滑らかで音の繋がりが美しい質感で、ワイド感がありつつ中域を持ち上げたような芳醇の高解像度を誇ります。

このワイヤー実は二度目の登場で、約10年程前に「Samosek」というFULLブルーシルクのリケーブル作品を1本だけ特別製作を行い、会場限定で販売した時のワイヤーになります。
その当時は技術的な問題でアセンブリ作業が一際厄介なワイヤーというイメージが強く残っていて、それ以降手が出せずにおり宝の持ち腐れ状態になっていました。
今となってはその問題もとうに解消され、ふとこのワイヤーの存在を思い出し、蔵から引き上げて再び邂逅！という感じです。

この二つのワイヤーを使用して、ハイブリッド特別製作を行なったのが本作になります。

そしてAntarctica Thawed（解凍された南極大陸）という命名が指し示す通り、冷たさの奥に息づく生命・・エナジーが溢れ出るようなハイレベルサウンドに仕上がりました。
勿論ワイヤーの高いポテンシャルによるものが一番大きいですが、これには電気伝送ロスをなくし圧巻の高純度を実現する、WAGNUS.オリジナル開発の世界最高ハンダ「Aqua Augu」の導入も寄与しています。
さらに貴重な「トープラ販売製 黄銅材 銀メッキプラグ」も使用、イメージサウンドがより堅実なものとなりました。

まずシンプルに、ブルーシルク／ピュアシルバーというストライプカラーの時点で反則的なビジュアルの良さがありますが、より完璧なイメージに仕立て上げるべく、最良のカラーチョイス及び調節でロゴ＆イヤーコネクタのアートワークを施しました。
さらに極め付けとしてWAGNUS.が長年温めていた宝石「玉髄（カルセドニー）」をついに採用。元々の形から敢えて砕いて使用することで同じ形が存在せず、また氷山感も増して、最高にクールで美しい見た目のケーブルとなりました。

《高域》
まるで氷の結晶が光を受けて反射し煌めくように、極めてシャープで且つ滑らかな響きを整然と描きます。どこか高潔で、冷たい静けさを讃える雰囲気が堪らなくクール。
ハイハットやシンバルの伸びは繊細で、空気を震わせながら静かに消えていく余韻がただただ美しく、その美麗さは主張ではなくあくまでナチュラルで凛とした透明感です。

《中高域》
煌めきを携えた、広がりのあるクセのないナチュラルな音像感。豊かな倍音成分と、空間に澄み渡るような透明度になっています。
ハイハットとスネアの行き交いのアタックにロックアイス感が滲み出ていて印象的。コーラスや副旋律は奥行きを伴って重なり、その層の間にウォームで淡い光が差し込むような、微かな温度を感じさせる立体感があります。

《中域》
エモーショナルな生命感を宿したボーカルやギターが、迫力と情感満載で特徴的です。
声はメロディーから息遣い、スポークンワードの余白感までもが描かれる情報量。ギターは冷たい音色の中に確かな温度感を残し、音の流れがとても滑らかで、タイム感やリズムの呼吸が自然に伝わるようです。

《中低域》
しなやかな厚みで音楽全体を包み込むような存在感。重心低く堅実に牽引するようなベースラインと、インパクトのあるフロアタムが情緒あふれるディレイを伴い展開されます。
音の温度が一瞬溶けていくような滑らかさを持ち、ベースのうねりは波のように寄せては返し、静寂の中に心地よい振動を残します。

《低域》
重い氷塊が海の中に深く沈み込むような、曇りなくキックドラムのキックの一つ一つが明瞭な立体のローエンド表現。そこにいやみもありません。
リバーブの残響感や空間の奥行きが鮮明に感じられ、音が止まる瞬間にまで美しさが宿るような印象です。

《トータルサウンド》
音全体が分厚く迫力があり、一音一音に説得力があり、一級の反応速度でキレと粘りをも兼ね備えた、完全にワンランク上のサウンドクオリティ。
エネルギッシュでジュワッとしたヴィンテージ感のあるウォームな熱量と、現代的なスピードレスポンスと解像度にクールでクリスタルなクリア感の見事な融合・・HOTとICEが同時に展開されるサウンドに仕上がりました。

巨大で冷たく透明な氷の音場感に、太陽光線のようなアタック音がジリジリと溶かすイメージビジョンで、その様子はひたすらに美しい描写性です。
薄氷の輝きを放つミッドハイ、静かな情熱を宿すミッド、穏やかな深みを生むミッドロー・・それぞれが溶け合い、冷たくも温かい奇跡の調和が自然な音楽の感情を引き出します。