一音が太く厚く濃く、解像度が非常に高く、セピア的な音色感で、衝動性をパッケージ（或いは解放）したかのような凄まじい音の情報と熱量。それでいて籠もった感じは一切ありません。スリリング・・どこか破滅的な危うさを有しながら、強靭なまでのタフネスさでクリアネスなグルーヴ表現がギリギリのラインで踏みとどまり、破格のサウンドセンスを生み出しています。

《高域》
密度的で立体感があり、シルキーで優しくもシャープな質感が特徴的です。
ウェットな金物音が全体に潤い注ぐようなイメージで、丁寧な印象もあります。ストロークの加減やタッチ感のニュアンスまで見える解像感です。

《中高域》
抜け感に優れつつも、写実的なリアリティさと芳醇な陶酔感が入り混じったような世界観がトリップさせてくれるような中毒性が特徴的です。
各セパレーションと細部表現が美麗で、ギターではコーラスエフェクトの揺らぎや空間的なディレイ、スペーシーな音色、EDMなどウィープの効いた特殊な残響感まで多彩で高い表現力が万能性を感じさせます。

《中域》
アナログ的で澄んでいながらも、まるで透明な水にインクを落とすかのような染み渡るボーカルが余韻と共に継続の満足感を与えてくれます。
ギター音には押し出すようなニュアンスがあり、また叩きつけるような生々しいスネアドラムも印象的です。

《中低域》
半端ではない表現力で、ベースラインの明瞭度と解像感は脱帽レベルの一言です。ドリーミーなフレーズからクリーントーン、速弾き、爆撃のようなブレイクダウンまで完遂的に対応し、魔性なまでの高次倍音が圧巻。包括的で且つ楽曲を最大限開かせるようなイメージです。

《低域》
器の大きさを感じさせます。重厚的で深みのあるバスドラ音はキックの迫力も満点で気持ち良い余韻も残します。インパクトに優れつつもブーミー的な重苦しさはありません。
黄昏シリーズらしい熱量、エネルギッシュさ全開の音楽性で、音場はかつてなく広く深く解き放たれており、それでいて澄んだクリア感であるため重苦しさ、聴き疲れはほとんど感じません。
マスターテープのような再現系とは全く異なりますが、グッと引き込まれる圧倒的なライブ感、暴力的なまでの力強さに加えて滑らかで抜けて行くスピード感もあるというズルさ。制作の魂が込められた音源ほど、さらにその真価を発揮してくれるタイプです。是非、可能な限り大音量で聴いて頂きたい一振りです。