低域は量感で迫るのではなく、速度と解像度を重視するように設計しています。一瞬で発生し、素早く減衰する低音は、音楽の躍動感をそのまま、細かい音の動きも見逃さず、すべてのジャンルにおいて「軽やかで息の長い」聴感を実現します。

Azure が最もこだわったのが、中域、特に女性ボーカルの表現です。声の芯をしっかりと捉えながらも、耳に直接刺さるような鋭さは排除。息づかいやビブラートの細かい揺らぎまでをも繊細に再現し、透明感がありながらも、どこか温もりと甘みを感じさせる独自のボーカルトラックを構築します。J-POP の透明感のある歌声や、アニメソングの可愛らしいボーカル、さらにはジャズの深みのある女性ヴォーカルまで、その細やかなニュアンスをくっきりと浮かび上がらせ、聴く者の心に直接に響く、情感豊かな再生を実現します。

高域は、繊細でありながら明るい輝きを放ち、音楽の細部をくっきりと浮かび上がらせます。ハイハットのシンバルの残響、バイオリンの弓の擦れる質感、そして歌声の裏側に潜む微細な息遣いまでをも、驚くべき解像度で再現。しかし、単に上げすぎた「刺さるような高音」とは一線を画します。耳に痛みを感じる鋭さは徹底的に排除され、あくまで「透明で心地よい輝き」として表現されるのです。これにより、音楽のディテールを存分に楽しみながら、最高の聴き心地を両立させました。

低域の軽快さ、中域の自然さ、高域の透明感。これら 3 つの特性が相まって生み出されるのが、Azure の圧倒的な「抜けの良さ」と「広がり」です。ひとつひとつの音が独立して明確に定位し、混ざり合うことなく、立体感のあるサウンドステージを構築します。オーケストラの各楽器の位置関係、ポップスにおける多重コーラスの層までもを容易に聞き分けられる、高い定位精度は、この抜けの良さがもたらす恩恵です。