落ち着いた佇まいと金属素材の上質さが、手に取った瞬間に古さと新しさの融合を感じさせます。1795MKIIは、その印象のままに音の方向性が決められているモデルです。クラシックな設計思想と現代的な回路技術が同居し、長く触れていたくなる熟成された音を追求しました。

1795MKIIは、数多くの名機で採用されてきたPCM1795を搭載。伝統的な差動電流出力の音質は周辺回路設計などが多分に影響を与える為、エンジニアのチューニング幅を広く持っています。親しまれてきたアナログライクな質感を損なわず、電源レイアウトやアナログ段を中心に数年間の緻密な調整を行いました。Oriolusの初代1795より評価されてきた解像感ではなくゆとりのある音色と、微かに暖かみのある中域を踏襲しながら、輪郭の整った描写としっとりと沈む背景の静けさが共存し、耳に寄り添う自然な密度感を目指しました。質感に偏りすぎず、どんな楽曲でも穏やかに着地する熟成された特性が魅力です。

搭載するAK4137EQは、内蔵発振器を基準に動作するサンプルレートコンバーターで、リサンプリング時のタイミングのばらつきを抑える独立クロック構成を採用しています。Bluetoothで入力された音声信号を、高精度フィルタを通してPCM 24bit/192kHzへアップサンプリングすると同時に、ジッターを含むクロック由来のノイズ成分を低減します。
1795MKIIでは、このAK4137EQまわりの信号伝送経路を可能な限り短く設計することで外来ノイズの影響も抑制。帯域の端まで濁りの少ない伸びと、静かな背景が両立したサウンドを実現します。音像の立ち上がりはなめらかで、余韻も自然にほどけていくため、長時間のリスニングでも聴き疲れしにくい解像度とディテール表現を目指しました。

PCやスマートフォンとの接続に安定性をもたらすXMOS XU316を採用。マルチコア構成による高速処理により、多情報量のハイレゾ音源でも安定した伝送に貢献します。デジタル処理部には独立レギュレーターを配置し、USB部の負荷変動による電圧の揺らぎを抑えることで、XMOS内部のタイミング処理を安定化。ジッター抑制に配慮した設計とし、電源系にはCG5125を搭載しました。デジタル処理系の電源ノイズを低減することで、信号の純度を保ち静寂感のある背景と細部の再現性を支えます。

Qualcomm QCC5125は、デュアルコアCPUとデュアルコア Kalimba DSP を組み合わせたマルチコア構成のBluetoothオーディオSoCです。ワイヤレス伝送時の信号処理を安定させ、低遅延かつ滑らかな音の立ち上がりに貢献します。内部クロックマネジメントの精度を高めることで、処理の乱れや不要なノイズの影響を抑え、音場の見通しや背景の静けさが感じ取りやすい再生を実現。aptX、aptX HD、aptX LL、AAC、SBCといった主要コーデックに加え、高音質再生に対応するその他のコーデックにも広く対応できる設計となっており、大型アンテナの採用により障害物のない環境で約10mの安定した接続を確保します。

派手さを抑えた落ち着いたカラーリングと端正なライン構成。時を経ても印象が変わらない道具としての落ち着きのある佇まいを意識した金属フレームデザインです。CNCステンレスによる一体成形と端面が丸く仕上げられた半透明ガラスの組み合わせは持ち物として自然に受け入れられ、長く使い続けられる質感を目指しました。

通勤や作業、夜のリラックスまで、多様なシーンに寄り添う音作り。低域は量感に頼らず、締まりの良い沈み方を採用。中域は穏やかな密度感で耳に負担をかけず、高域は角を丸めながらも情報を損なわない伸びを持っています。初めて触れる人でも違和感がなく、長い時間をともにできる素直なチューニングです。

省電力化と出力性能のバランスを調整し、取り回しやすさを重視したスタミナを確保。屋外でも安心して音楽に集中できる仕様。

金属フレームは過度に重くならないよう配慮しつつ、耐久性を確保した設計。衝撃に強く内部の不要共振を抑え安定動作に貢献し音質の偶発的な劣化を抑えます。長期使用を想定した堅牢性を備えることで安心してお使いいただけます。