A 3000 HVは、デュアルモノ構成で「最高度の演奏」を可能にするというアイデアを見事なまでに具現化に成功した、極めて保守的なアプローチを最先端技術で開発されたT+Aが誇る逸品です。

パワーアンプの構成は、パワーサプライ、入力段、出力段の三つに大別されます。それぞれのステージにおいてピュアでハイスピード、ダイナミックレンジが広く、なおかつパワーに余裕のある出力を実現できたことで、A 3000 HVは優れたパフォーマンスを誇ります。

オーディオ界においてプリアンプとパワーアンプを切り離して設置するには理由があります。プリアンプは微細な信号を、引き起こされる干渉を排除して増幅しコントロールします。一方、パワーアンプは、パワーサプライの安定性により比較的大きな信号でスピーカーをドライブする、という役割があり、スピーカーロードに関係なく、電流を安定的に送り込む能力が要求されます。そのため、両アンプ個別に左右、+/−回路とも特性のそろった部品を厳選しているのです。オーディオ製品の品質を維持するためには最適な部品管理がとても大切だと考えています。

・強靱なシャーシに納められた強力なパワーステージ
1000Wの大型高性能トランスと並列接続12個の大容量電解コンデンサーによる強力なパワーサプライを搭載。完璧を期してハーメチックシールドされたトランスは周囲に放射してしまう磁場(ストレィフィールド)についても十分にシールド対策がされており、漂遊磁場の発生を排除しています。

コンデンサーは低ESRの電解タイプコンデンサーを12個並列に使用することで、120,000μFの容量を得、内部抵抗を抑たことで、パワーサプライとしての能力が倍化された強力な電源となっています。しかもスルーレートの速い信号に対しても大電流を超高速で瞬時に供給するハイスピードパワーサプライです。

出力段とパワーサプライとは10mmのアルミ厚板によって分離されています。電圧増幅段と電流増幅段もケース毎に分割され、相互干渉を防いでいます。徹底的に妥協を排除したアンプを、という理念に基づくA 3000 HV。スピーカー逆起電流がアンプにフィードバックも当然考慮されています。スピーカーロードに拘わらずにアンプが存分に能力を発揮するには、初段と後段を完璧に分離する必要があるのです。

初段、電圧増幅段はリニアリティが非常に優れた広帯域、クロスカップル・ディファレンシャル・カスコードアンプで、クラスAの信号ステージへと向かいます。出力段はMOSFETドライバーによる完全対称で、最新の温度センサーつきバイポーラトランジスタを使用。この異なるタイプのソリッドステート素子の組み合わせにより、高い電流供給能力を備えた音楽性の優れた出力段を得ることに成功しました。バイポーラトランジスタは温度をしっかりコントロールするので、回路の歪に対して絶対的な動作ポイントを一定的に保ち、安定性を保証します。構造的に完全対称性を維持しているので、全ての信号電流を安定させることができました。最終的に、電磁ストレィフィールドを排除し、入力段に対して電磁的フィードバックをブロックすることができました。

ターミナルも純真鍮から削り出しロジウムメッキで強固な接続を期しています。ロジウムは銀と同様の通電性、プラチナと同様の耐久性、金と同様の耐腐食性を備えています。

■仕様
・連続実効出力(ステレオモード)
250 w x 2 RMS (8Ω) / 380 w x 2 Peak (8Ω)
500 w x 2 RMS (4Ω) / 700 w x 2 Peak (4Ω)
・連続実効出力(モノラルモード)
380 w RMS (8Ω) / 430 w Peak (8Ω)
650 w RMS (4Ω) / 800 w Peak (4Ω)
・定格入力(RCA):7 x 250 mV ... 3 V / 20 kΩ
・定格入力(XLR):4 x 500 mV ... 6 V / 5 kΩ
・入力感度(RCA):0.7 V(8Ω / 300 w)
・入力感度(XLR):1.4 V(8Ω / 300 w)
・入力インピーダンス:24 kΩ
・パワーバンドワイズ:1 Hz - 150 kHz
・周波数帯域:0,5 Hz – 180 kHz, + 0/ – 3 dB
・スルーレイト:60 V/µs
・ダンピングファクター:65以上
・S/N比:115 dB以上
・THD+N:0,03 %以下
・電源コンデンサー容量:120000 µF
・消費電力
1500 W(100 V/60 Hz or 50 Hz)
0,5 W以下(スタンバイモード)
・寸法 (H x W x D):46 x 17 x 46 (H x W x D / cm)
・重量:38 kg