デスクトップサイズながら質感たっぷりの製品づくりで知られるCHORD QUTEST RANGEシリーズにスピーカー出力可能なヘッドホンアンプが登場しました。今回は最新作「CHORD ANNI」をじっくりご紹介します。
正式名称はChord Electronics(コード・エレクトロニクス)社。
1989年、「イギリスの庭園」と呼ばれるケント州メードストンにてジョン・フランクス氏により設立された、今やイギリスを代表するオーディオメーカーのひとつです。
航空電子工学をベースとしたフランクス氏の電源思想と、CHORDが擁するもう一人の異才・ロバート・ワッツ氏による独自アルゴリズムの開発技術は、デジタルオーディオの世界でトップクラスの人気を誇っています。
そのCHORDから今回はなんとQUTEST RANGEシリーズの最新作としてアナログヘッドホンアンプが登場!
それがこちら、ANNI(アニー)です!
今回は一足早くこのANNIをお借りしましたので、その外観や仕様、音質など可能な限りレビューでお伝えしたいと思います。
【商品情報】CHORD ANNI
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CHORD ANNIはいわゆるデスクトップサイズのヘッドホンアンプとなります。
サイズとしては幅160mm x 高さ42mm x 奥行き72mm、"QUTEST RANGEシリーズ"の名が示す通り、同社製DAコンバータ・QUTESTとほぼ同じサイズ。当然ながら組み合わせての使用がお勧めですが、もちろん他の機器と組み合わせても問題ありません。
ヘッドホンジャックは真ん中のボリュームノブを挟むように、向かって左に6.3mm、右に3.5mmを搭載。バランス接続端子はありません。
なお、6.3/3.5で特にゲインを変えてはいないようです。
天板にはCHORD製品ではおなじみのボタンが2つ用意されいます。
右が電源ボタン、左がゲインスイッチですがこれはヘッドホン使用時には影響しません。というのも…
ANNIにはバナナプラグ対応のスピーカー端子が搭載!先ほどのゲインスイッチはこのスピーカー出力でのみ機能します。つまり、このANNIはヘッドホンアンプ兼小型プリメインアンプというわけです。
また、入力はRCA2系統を装備。やはり入力にもバランス端子はありません。一番左の端子は付属の専用電源アダプタ用、一番右の「DC OUT」についてはのちほどご説明します。
なお、RCA入力の1/2切替はボリュームノブを押し込むことで行います。RCA1入力ではノブの周りがブルーに光り、
RCA2入力ではレッドに光ります。
さて、このANNIはQUTEST RANGEシリーズということもあり、同じCHORDのDAC・QUTESTおよびフォノイコライザー・Hueiと組み合わせて使用することが考慮されています。
その際に便利なアイテムとして、ANNI/QUTEST/Huei専用スタンド「QSS.(QutestSystem Stand)」も別売で用意されています。
【商品情報】CHORD Qutest System Stand
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また、先ほどの背面写真にあった右端の「DC OUT」端子ですが、こちらには付属品として同梱されているANNIからQUTEST/Hueiへ電源供給が可能な給電用アダプタを接続します。そのため、QUTEST/Hueiとセットで使う時でもコンセントはANNI用にひとつ空いていればOKです。
なお、ANNIには電源ボタンがありますがこちらは「ANNIのアンプ機能のON/OFF」を行うため、電源アダプタが刺さっていれば電源OFFでもQUTEST/Hueiへの給電はされる仕様となっています。
ANNIとQUTEST、QSSを2つ用意して…
組み合わせた様子がこちら。
これなら机の上でもあまり場所を取らず、コンパクトなシステムが組めそうですね。
【商品情報】CHORD QUTEST Black
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【商品情報】CHORD Huei
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それではANNIの音を聴いてみたいと思います。
今回は上記のANNI+QUTESTという構成に、せっかくコンパクトなので音源としてはiPhone XをカメラコネクションキットでQUTESTにUSB接続。ハイレゾ音源やApple Musicのロスレス音源などを再生してチェックしてみました。
DACとなっているQUTESTの影響も大きいのでしょうが、音質的にはかなりカッチリとしたソリッドな印象。音の伸びよりも歯切れの良さを感じます。ボーカルなどはややドライ目で、情感よりもくっきりとした声の張りが強調されるようです。
低域の表現も量感抑え目で硬い質感を感じさせ、ヘッドホンをしっかりとドライブしているな、という鳴らし方をしています。
T3-01はそれほど鳴らしづらいヘッドホンではありませんが、ボリューム位置としては9時方向で充分な音量であると思います。
続いて、鳴らしづらい部類のヘッドホンとして、HEDD HEDDphoneでも聴いてみましょう。
やはりこちらも全体的に硬めな音質であると感じます。
ボリューム位置はさすがに12時くらいまで上げる必要がありましたが、低域表現も含めパワー不足を感じるようなこともなく、ANNIのヘッドホン出力の強さはハイクラスヘッドホンを鳴らすのにも必要充分なレベルであると思いました。
さて、せっかくですので今度はスピーカー出力も試してみます。組み合わせるのはFOSTEXのブックシェルフ型スピーカー・GX100MAです。
時間の都合もありデスク直置きという環境ではありますが、スピーカーでの音質もやはり硬質さを感じさせる音作りであるように感じました。
なお、この時のANNIのゲイン設定はローゲインですが、それでもボリューム位置は10時方向で普通に聴くには充分な音量が出ていました。
ヘッドホンもスピーカーも手軽に、かつ音にこだわって鳴らしたい!という方にはピッタリな製品ではないでしょうか。
非常にコンパクトながら音質も出力も充分、QUTESTやHueiといったシリーズ製品との組み合わせもバッチリなヘッドホンアンプ・ANNIは本日よりご予約受付開始、発売は10月上旬(おそらくあと数日)です!
発売開始の際には店頭試聴機もご用意いたしますので、QUTESTやその他のDAC、あるいはポータブルプレイヤーとの組み合わせでのご試聴もOKですよ。
ハイクラスヘッドホンもいろいろ出てくるようだけど、それに見合ったヘッドホンアンプはないかな…とお探しの方、ぜひ一度ANNIをお試し下さい。
【商品情報】CHORD ANNI
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【商品情報】CHORD Qutest System Stand
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