オーディオ専門店スタッフによるTechnics EAH-AZ100レビューです。磁性流体ドライバーなどの新技術を搭載し、ノイキャン性能と装着感が向上しました。飽きのこない聴き心地の良いサウンドの最新ワイヤレスイヤホンを詳しく紹介します。
目次
Technics EAH-AZシリーズとは
EAH-AZ100の特徴
EAH-AZ100の音質レビュー(参考)
製品仕様
突然ですがここでクイズです!
『2024年、フジヤエービックで一番売れた完全ワイヤレスイヤホンはなんでしょう?』
・
・
・
答えはTechnicsのフラッグシップモデル・EAH-AZ80でした!
発売は2023年6月と少し前になりますが、イヤホンファンからの支持はもちろん、それまでTechnicsというブランドを知らなかった方、さらに海外の方からの人気も高い、TWSを代表するモデルのひとつとなっています。
ちなみにTechnics(テクニクス)という名前にピンとこない方もいらっしゃるかもしれませんが、実は日本が誇る総合電機メーカー・パナソニックのオーディオブランドなのです。
Technics EAH-AZ80・EAH-AZ60M2 レビュー | 機能性の向上と汎用性の高いサウンドが特徴のワイヤレスイヤホン
» こちらの記事を見る
そのEAH-AZ80が1年半にわたって守り続けたフラッグシップの座をついに譲り渡すこととなる、さらに進化した最新モデルが発表されました!
それがこちら、「EAH-AZ100」です!
今回はさっそくこのEAH-AZ100について、詳細および音質レビューをお送りしたいと思います。
まずはパッケージ内容からご紹介。充電ケースにイヤホン本体、充電用USBケーブル(両端ともType-C)、イヤーピース(XS/S/M/ML/Lの5サイズ、Mサイズはイヤホン本体に装着済み)、取扱説明書となっています。
なお、EAH-AZ100は今回のレビューで使用したシルバーとブラックの2色展開です。
一見、前モデル・EAH-AZ80とそっくりに見えますが…
実際に並べて比較してましょう。左が前モデル・EAH-AZ80、右がEAH-AZ100の充電ケースです。幅や高さはほとんど変わりませんが、厚さはご覧のとおりEAH-AZ100の方がやや薄くなりました。
続いてイヤホン本体の比較です。EAH-AZ80(左)はティアドロップ型のフェイスプレートが特徴的でしたが、今回のEAH-AZ100(右)ではまん丸のフェイスプレートになっています。
装着時にイヤホンが収まるコンチャ(耳のくぼみ)に当たる部分も改良されています。体積は約10%減少、重さも7.0g(左:AZ80)から5.9g(右:AZ100)へと軽量化し、装着感もさらに向上しました。
イヤーピースは前モデルAZ80の7種から5種へと数こそ減ったものの、Y字型の仕切りが設けられている点も含め基本的には同じ…いや、触ってみるとなにかが違う!
ひっくり返して気がつきました、穴の形が楕円になっています!
あわててイヤホン本体のステムも確認…やっぱり丸型(左:AZ80)から楕円(右:AZ100)になっています。さらによく見てみると、チューニングのためかAZ100の音導口は半分ほどふさがれているようですね。
EAH-AZ100付属のイヤーピースは穴の形が変わっただけではありません。従来モデルのイヤーピースが2種類の硬さによる2層構造(画像左)だったのに対し、こちらは3種類の硬さによる”3層構造”(画像右)の新型イヤーピースに進化しました。これにより、必要な音(主に低域)を外に逃がさずそのままリスナーの鼓膜に届けることが可能になったとのことです。
イヤホン内部にも大きな変更が加わっています。内蔵するドライバーは直径10mmのアルミニウム振動板搭載ダイナミックドライバーでAZ80と同じサイズ・形式ですが、なんとTechnicsのフラッグシップ有線イヤホン「EAH-TZ700」で採用されていた”磁性流体ドライバー”を完全ワイヤレスイヤホン史上はじめて搭載!
振動板と一体となっているボイスコイルがこの”磁性流体”の表面をなめらかに滑ることで、全帯域でブレのない正確なストローク動作が入力信号に忠実な超低ひずみ再生を実現するとのことです。
【商品情報】Technics EAH-TZ700
» 詳細を見る
もちろん機能面も多くの面でアップグレード!
イヤホン単体の駆動時間は、もっともバッテリーを消費する「ノイズキャンセリング機能ON・LDAC接続」状態でも約4.5時間(AZ80)→約7.0時間(AZ100)に向上。LE Audioにも対応し、LC3コーデックやAuracastといった最新BT技術もカバーするだけでなく、Dolby Atmos対応のスマホ・コンテンツと組み合わせることで空間オーディオも楽しめます。リスナーの頭の向きにあわせて音の方向が変わるヘッドトラッキングも可能です。
完全ワイヤレスイヤホンで重要なノイズキャンセリング機能も、ノイズ抑制量が一定だった従来の固定フィルター方式から、周囲の騒音状況・装着する個人の耳形状などからリアルタイムに最適なパラメータへと調整する”アダプティブ(自動最適化)ノイズキャンセリング”方式へと進化しました。
そのほか、ユーザーからの要望を反映して最大音量を約2dBアップしたり、タッチセンサー操作を細かくカスタマイズできるようになっていたり、ガイド音声を短くわかりやすいセリフに変更したりと非常に細やかなアップデートが図られています。
それではいよいよEAH-AZ100の音質チェック…といきたいところなのですが、残念ながらレビュー作成時点ではまだ専用アプリ「Technics Audio Connect」がAZ100に未対応のためコーデックの設定ができず、AACでの接続・ノイズキャンセリング機能ONでの試聴となってしまいました。そのため、今回はあくまで参考程度という形でお送りしたいと思います。
若干の柔らかさを持ちつつ全体的な見通しの良い、丁寧にチューニングされた印象の音作りです。いわゆるキャラの立ったサウンドとは異なりますが、ボーカルでも楽器でも非常に耳当たりの良い、飽きの来ない聴き心地の音になっています。
各音域の階調表現はさすがにAACでは難しいか?と思いきや、意外なほどそれぞれの音のつながりがなめらかで一体感を持った鳴り方になっています。このあたりに”磁性流体ドライバー”の実力が発揮されているのかも知れません。
正直なところ、LDACでの接続ができない以上は音質について触れなくてよいかも…と思っていたのですが、実際に聴いてみると「あれ、AACでもかなり良いのでは?」と考えを改めさせられました。もちろん高音質コーデックに対応しているに越したことはありませんが、たとえば日本国内でまだまだユーザーの多いiPhoneでは今なおSBC/AAC接続になってしまいます。また、距離や電波状況の影響を受けやすい高音質コーデックよりも安定した接続が維持できる方を優先したい場合もあると思います。そういったケースでもしっかり”聴ける”イヤホンとして仕上がっている、という点は高く評価したいところです。
…とはいえ、やっぱり「AACでこれくらい聴かせてくれるなら、LDACだとどんな音なんだろう」と気になってしまうので、Technicsさんにはなるべく早めにアプリの最新版リリースをお願いしたいですね。
ドライバーユニット | アルミニウム振動板10mmドライバー | Bluetooth | バージョン Bluetooth5.3 |
---|---|---|---|
対応コーデック | SBC、AAC、LDAC、LC3 | 防水性能 | IPX4 相当 (イヤホン本体のみ) |
再生時間(イヤホン本体) | 約 10.0 時間(ノイズキャンセリングON,AAC) | 質量 | イヤホン :約 5.9 g(左右同値) 充電ケース:約 42 g |
【商品情報】Technics EAH-AZ100
» 詳細を見る