
今回は話題のNEW有線イヤホン「MADOO Typ930」を徹底解剖すべく、株式会社ピクセル代表の渡辺さんにインタビューしました!
Typ930の音質は?何がどう変わった?エージングの推奨時間は?などの気になるポイントを詳しく聞いてみました。ぜひ購入検討の参考にしてみてください。
目次
はじめに
MADOO Typ930の立ち位置
MADOO Typ930の特徴
MADOO Typ930の筐体
MADOO Typ930の音質
既存モデルから買替え、買増しするとしたら
MADOOユーザーが気になることを質問してみた
さいごに

インタビュアー フジヤエービック スタッフ 唐木(以下「唐木」):今回は、話題の新製品「MADOO Typ930」を徹底解剖すべく、株式会社ピクセル代表の渡辺さんをお招きしました。開発背景やこだわりを深掘り、これまでのラインナップ(Typ512/622/821)からどのように進化したのかを中心に、お話をうかがいたいと思います。
唐木:まず初めに、Typ930がMADOOラインナップの中で、どのような立ち位置の製品になるかを教えていただけますでしょうか。
株式会社ピクセル代表の渡辺さん(以下「渡辺」):Typ930は既存モデルの後継機ではなく、まったく新しいアプローチをとったMADOOブランドのマルチドライバーラインを担うモデルです。
【商品情報】MADOO Typ930
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一方、Typ821はシングルドライバーラインを担うモデルであり、Typ930とは異なる役割とコンセプトを持っています。
【商品情報】MADOO Typ821
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MADOO製品には上位・下位という概念はなく、両モデルを異なる役割を持つ別ラインとして位置づけています。
唐木:新製品Typ930は、どのような進化を遂げたのでしょうか。既存モデルとの違いを中心に教えてください。
渡辺:大きなポイントがいくつかあります。まずはorthoドライバーの大口径化です。10mm径から12mm径に大口径化し低域に余裕が生まれたことで、低音の質を大きく改善しました。ただし、プラナー型のドライバーでは質量が大きくなってしまうので、同時にマグネットもより強力なものへ変更し磁気回路を改善しています。
渡辺:また、今回搭載しているバランスドアーマチュアドライバーも特殊な形状のものを使用しているので、技術的には注目のポイントです。高域に対して味付けの役割として、スーパーツイーター的に使用しています。
渡辺:MADOOでは初の技術であるパッシブラジエータ“Dual Motion”を搭載しました。パッシブラジエータが耳道内の圧力をうまくいなすことで、閉塞感や不快な共振が軽減、音場が広く聴こえるように作用します。
渡辺:リケーブルされる方が多いので、ケーブルも大きくアップデートしております。ケーブルの芯線にPCUHDを採用していて、地味ですが大きなポイントです。高いグレードのケーブルとなっております。
渡辺:さらにTyp930にはこれまでは別売りだった人気イヤーピース「MADOO MDX30」が、S/M/Lサイズ各1ペアずつが付属します。従来型の丸型形状シリコンイヤーチップ「AET07」も付属しますので、お好みで使い分けが可能です。
【商品情報】MADOO MDX30
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唐木:次に、デザインなど筐体についてお伺いできればと思います。MADOOらしい高級感のあるデザインだと思いますが、まずコンセプトを教えてください。
渡辺:Typ930のデザインコンセプトは窓から見える夜の空と月、海の波です。内部のチタン製オーナメントに青色のアルマイト処理を施すことで夜空を、外面から見えているパッシブラジエータが月を見立てているんです。ハウジングは円を中心として波が立っているイメージでデザインされており、海の波の力強さを表現しています。
唐木:最近はスケルトンデザインのイヤホンも増えていますが、このデザインは特別感がありますね。個人的にはこれだけでも、買い替える価値があると思っています。
渡辺:自然なものを機械的なもので表現するというのが、MADOOらしさですよね。
唐木:筐体の材質について教えてください。Typ821はチタン製、Typ622がアルミニウムでしたが、Typ930の筐体はどのような素材が使用されていますか。
渡辺:Typ930もTyp821同様にチタン筐体を採用しています。筐体の作りはTyp821からほぼ変わっていませんが、内側の耳に当たる部分の角の処理に少しだけ違いがあります。この違いによってフィット感が向上しています。
唐木:続いて、肝心な音質についてお伺いしたいと思います。Typ821やTyp622と比較して、Typ930の音質はどのように変化したのでしょうか。
渡辺:音質傾向としてはTyp821に近いですが、Typ930では特に空間の広がりや音との距離感を表現しています。Typ821の音質は高解像度のフラット傾向サウンドで、パリッとした質感の迫力と臨場感が感じられるモデルでした。Typ930ではそこに音の奥行や定位感など空間表現に、さらにこだわったという点が大きな違いです。
唐木:Typ821は人によっては中高音域が鋭く感じ、聴き疲れるという声がありました。Typ930では解放感や空間表現が向上したことによって、その点も改善していそうですね。
唐木:Typ512/622/821から買替えや買増しするとしたら、どういったユーザーにおすすめか教えてください。
渡辺:もちろん聴く曲にも変わってきますという前置きがあった上でですが…
Typ821の突き抜けるような高域は好き。だけどもっと味付けがほしいという方には、音質傾向は似ているけどニュアンスが違うTyp930はおすすめです。
渡辺:Typ512/622の低域が強いと感じる方は、Typ821もしくはTyp930への買替えもよいと思います。突き抜けるような高域の伸びならTyp821、空間表現に優れたTyp930。お好みの方を選んでいただければ幸いです。
唐木:ここからはMADOOユーザーが気になっていそうなことを質問していきます。
唐木:製品クオリティについての質問です。Typ821ではネジが緩む/取れてしまうというユーザーの声がありましたが、Typ930はどうでしょうか。
渡辺:Typ930ではネジの締め付けや目材の仕様などが変更され、改善されてたと認識しております。また、今回はネジが1本しかなく、設計上製造上の工夫によって同様の問題は発生しづらいのではと考えております。
唐木:エージングの音の変化についてお伺いします。どのイヤホンに関しても共通することだとは思いますが、特にTyp821ではお客様からエージングについてのご質問が多かった印象があります。Typ930はいかがでしょうか。
渡辺:エージングについては、コメントが難しいのですが(笑)…
部品が「馴染む」という意味ではエージングした方がいいと思います。何時間が適正かはコメントが難しいですが、エージングによって変化が起きるのであれば、その変化も楽しんでいただければ幸いです。
唐木:「MDX30」と従来型の「AET07」が付属されるイヤーピースですが、それぞれの特徴やおすすめの使い方があれば教えてください。
渡辺:聴く曲によっても変わりますし、どちらがいいということは無いと思います。MADOOの大ノズルに最適化されている楕円形のMDX30と丸型形状のAET07、装着感や音のお好みで楽しんでいただきたいと思っています。
参考になるかわかりませんが、私の楽しみ方としては…
普段より大きめLサイズのMDX30を耳奥に押し込まず軽めに装着して、電子音楽ではないバンド曲のボーカルとギターリフの臨場感を楽しむのがハマっております。ギターリフが際立って聴こえる感覚が堪らないです。
唐木:いつも使用しているサイズより小さめや大きめに変えて聴いてみることで、今まで気づいてなかったお気に入りポイントが見つかるかもしれないですね。
渡辺:小さめのイヤーピースを少し奥めに装着し、より鼓膜に近いところで音を鳴らすのが適した曲。音漏れ音抜けしない程度に浅めに装着し、広がり感や空気感を確保するのが適した曲。曲との組み合わせを楽しむのも、イヤホンのおもしろさだと思います。
唐木:MDX30とAET07の両方が付属するので、別で購入せずともそのような楽しみ方を試せるのはいいですね。
唐木:今回はMADOOの新製品「Typ930」ついて、代理店ピクセルの渡辺さんにインタビューしましたが、いかがだったでしょうか。コンセプトから音質まで幅広く、そして深い部分まで話を伺うことができました。
渡辺さん、インタビューにお答えいただきありがとうございました!
渡辺:こちらこそありがとうございました!
唐木:Typ930は店頭でも試聴可能です。ぜひTyp930の音を楽しんでください。
【商品情報】MADOO Typ930
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