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2025.03.18
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Audio-Technica ATH-R70xa・ATH-R50x 比較レビュー × 太田タカシ|プロのエンジニアによるヘッドホンレビュー

Audio-Technica ATH-R70xa・ATH-R50x 比較レビュー × 太田タカシ|プロのエンジニアによるヘッドホンレビュー

プロのレコーディング・ミックスマスタリングエンジニア太田タカシさんによるAudio-Technica ATH-R70xaとATH-R50xの比較レビューです。2つのモニターヘッドホンの音質の違いや用途によるおすすめのユーザーなど詳しく紹介します。

太田タカシプロフィール画像
■ ライタープロフィール
レコーディングエンジニア 太田タカシ
1984年千葉県出身、バンド活動をする傍ら専門学校でレコーディングを学び、卒業後は音楽事務所のスタジオに勤務しレコーディングをしつつアレンジの基礎と制作進行を身につけた。その後、リハーサルスタジオ内のレコーディングスタジオでレコーディング・ミックス・マスタリング業務に従事した後、フリーランスに転身。現在はレコーディングの他にもサウンドプロデュースや若手の育成にも力を入れている。
主な作品参加アーティストはIndigo la End・ゲスの極み乙女。・リーガルリリー・グソクムズ・20th Centuryなど。近年はゲーム音楽やVtuberの作品にも参加している。
Twitter:@tario_ Instagram:@tario_

はじめに

みなさんこんにちは。レコーディングエンジニアの太田です。今回は、Audio-Technica ATH-R70xa・ATH-R50xの比較レビューです。

過去の記事やYouTubeでも紹介していますが、前モデルのATH-R70xはリスニング感とモニタリング感のバランスが良いため、ミックスやマスタリングの確認で普段から使用しているヘッドホンです。

プロが選ぶ!普段使いにおすすめのモニターヘッドホン × 太田タカシ|プロのエンジニアによるヘッドホンレビュー

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 プロが選ぶ!普段使いにおすすめのモニターヘッドホン × 太田タカシ|プロのエンジニアによるヘッドホンレビュー ブログイメージ

Audio-Technicaのモニターヘッドホン

Audio-Technicaのモニターヘッドホンは、レコーディングだけでなくライブ現場でも多くのプロに愛用されています。その理由はさまざまですが、特にコストパフォーマンス、堅牢性、そして音質のバランスが優れている点が選ばれる大きな理由だと思います。

適度な周波数特性と適度なトランジェント、非常に味付けの少ないシンプルなサウンドが音を創るという場面ではとても重宝するのだと思います。

周囲のエンジニアにもボロボロになっても手放さずにずっと使っている方がたくさんいます。それだけ信頼性の高いヘッドホンだと言えます。

そんな信頼のおけるAudio-Technicaのモニターヘッドホン、かつ普段から使用しているATH-R70xの後継機ということで、自然と期待が高まります。

ATH-R70xaの特徴

「トゥルーオープンエアーオーディオ」を掲げたATH-R70xaは、一般的な密閉型やセミオープンヘッドホンとは異なる構造です。

密閉型やセミオープン型のヘッドホンは、ハウジング内部の共鳴を利用して低音の調整をしていますが、ATH-R70xaは、ハウジングで低音の補強を行わないことで共振を抑え、ドライバーの振動を直接耳に届けることが可能です。このことにより、純粋でリアルな音場を実現しています。

シリーズ専用設計のφ45mm大口径ドライバー

ドライバーは、前モデルのATH-R70xと同様に全帯域を高純度で再現するシリーズ専用の「φ45mmの大口径ドライバー」を採用しています。

ハニカムアルミニウムパンチングメッシュ

ハウジングは、ハニカムアルミニウムパンチングメッシュを採用。ナチュラルな空間の広がりを再現しています。

5~40,000Hzまでの周波数帯域

周波数特性はハイレゾ音源までカバーできる5〜40,000Hzとなっています。

新規設計のヘッドバンドとヘッドパッド

ATH-R70xaは、ヘッドホンバンドとヘッドバンドが一新されました。スライダー機能が付き、ヘッドバンドの調整が可能です。堅牢性も上がったように感じます。

「L」と「R」が見やすくなった点も特筆したいところです。付け外しをする場面が多いため、すぐに装着したいときにパッと見てわかるのは非常に助かります。

ATH-R70xaの装着感・音質レビュー

実際に装着してみると、ATH-R70xを装着したときと印象は変わらず、ふわっとしていて音の聴き心地が良いです。着圧は強くないですが、程よくホールドされている感じがします。

僕の場合はバンドの長さを一番短くしても少し大きいため、頭部が小さいという方は一度お試しいただくと安心だと思います。

サウンドの特徴は、「解放すぎない開放型」という印象です。開放型のヘッドホンは、少し音が遠く抜け出ていく印象がありますが、ATH-R70xaは、そういった印象が少なく、低音域から高音域までシームレスに感じられます。

トランジェントに関しては、強くもなく弱くもなく適度でフラットな印象です。味付けや面白さといった意味では薄いかもしれませんが、制作環境では非常に適した音質です。

「このヘッドホンで良く聴こえないとダメだぞ...!」と、自戒も込めてシビアに見えてしまうヘッドホンです。

リスニング用途としては、オールジャンルに対応していると思います。自然なローエンドとハイエンドなので、ゲームや映画音楽、オーケストラもおすすめです。

【商品情報】Audio-Technica ATH-R70xa

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Audio-Technica ATH-R70xa商品イメージ

ATH-R50xの特徴

続いてはR50xです。

ATH-R70xを継承した開放型専用設計ドライバー

こちらはATH-R70xと同じサイズのφ45mm開放型専用設計のドライバーです。見た目が少しだけ異なります。

モバイル端末やDAPでのモニタリングに対応

ATH-R70xのインピーダンス値が470Ωに対して、ATH-R50xのインピーダンス値は50Ωとなっています。

ATH-R70xはアンプのパワーがないと少し鳴りきらず音量が足りない可能性がありますが、こちらは50Ωなのでモバイル端末やDAP、オーディオインターフェイスのヘッドホンアウトからでも十分に鳴らすことができます。

ATH-R50xの装着感・音質レビュー

ヘッドバンドもだいぶ違いがあります。直接クッションがネジ留めされています。ATH-R70xaと比較すると、ヘッドホンを着けているという感覚が強いです。サイズの余裕もあるので、頭の小さい方もフィットしやすいかもしれません。

肝心の音質ですが、ATH-R70xaよりも全体的にタイトにまとまっており、スッと集中して聴けるようなサウンドです。中低域の密度感については、ATH-R70xaの方がありますが、どちらが優れているということではなく、好みによるところという印象です。

ATH-R70xaと価格差があるため、下位モデルという位置づけかと思っていましたが、非常に優れたサウンドで、とてもコストパフォーマンスの良さを感じました。

【商品情報】Audio-Technica ATH-R50x

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Audio-Technica ATH-R50x商品イメージ

ATH-R70xaとATH-R70xを比較レビュー

ここからは、普段使用している前モデルATH-R70xとの違いを比べてみます。

特徴の違い

いちばん最初に目が行くのは、ヘッドバンドの調整が可能になった点です。ハウジングも変更になってます。重さも11g軽くなっていますが、ATH-R70xも非常に軽かったため、そこまで大きな差は感じません。

音質の違い

聞き比べると音質の差を明確に感じました。ATH-R70xaの方が密度感が高く、低域から高域にかけて非常に綺麗に繋がっていきます。ATH-R70xもずっと好きで使っているのですが少し重心が下がったらいいなぁと思っていたところがカバーされている印象です。

おすすめのユーザー

どちらのヘッドホンもオーディオテクニカらしく、いい意味で得手不得手のないヘッドホンだと思います。

ATH-R50x

音楽制作で使うならATH-R50xをおすすめします。開放型なので外出先で使用することは難しいですが、いろんなデバイスで手軽に聴けるのは強みです。

ATH-R70xa

ATH-R70xaは、モニター寄りのフラットな音作りで、テンションが上がる感じも欲しいという方のリスニング向けにもピッタリだと思います。

厚みを感じる中低域の密度とダイナミックレンジが、シネマチックなサウンドにとてもマッチするので、ゲームや映画なども楽しめるヘッドホンだと思います。

まとめ

今回はオーディオテクニカのATH-R70xa、ATH-R50xの比較レビューをしました。

ATH-R50xは、開放型の入門機や制作用のモニターヘッドホンを探しているという方にもおすすめしやすいコストパフォーマンスの良いヘッドホン。ATH-R70xaは、前モデルからさらに音質に磨きがかけられ、サウンドチェックをする場合にも隙のないヘッドホンとなっています。

どちらもAudio-Technicaらしいクオリティで価格差はありますが、音質面での好みの差とお伝えできるところにも驚きました。モニターヘッドホンとして、また、長時間のリスニング用ヘッドホンとしてもぜひ一度お試しください。

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