目次
iBasso Audioの小型USB-DACとは
Nunchakuの外観と特徴
Nunchakuの音質レビュー
製品仕様
まとめ
サブスク全盛の現在、ポータブルオーディオ界に欠かせない存在となったアイテムといえば”小型USB-DAC”です。比較的お手頃な価格の製品が多いジャンルですが、その中でなんと7万円超という驚きのお値段ながら「入荷即完売」を繰り返すほどの人気となったモデルが存在します。それがiBasso Audioの「DC-Elite」です。
iBasso Audio DC-Elite レビュー | 美音系サウンドが際立つフラッグシップ小型USB-DAC
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そして昨年末、そのDC-Eliteそっくりながら非常にユニークな特徴を持った新しいモデルが発表され大きな話題になったのですが…
え、iBassoのDC-Eliteにディスプレイが?!実はこれ、真空管を内蔵した新型ドングルDAC・DC-Nunchaku(ヌンチャク)!アッテネータを搭載していたEliteと異なり一般的なボリュームを採用、価格もちょっとお安くなるそうです。リアパネルからは真空管の光る様子も! #ポタフェス pic.twitter.com/BwvqRgWcVp
— フジヤエービック -FUJIYA AVIC- (@FUJIYAAVIC) December 14, 2024
お待たせしました、ついにそのモデルが国内発売決定!それがこちらの「Nunchaku」です!
今回はこのNunchakuについて、詳細および音質レビューをお届けします。
Nunchakuは小型USB-DAC(ドングルDAC、ポータブルDACアンプとも呼ばれます)としてはやや大柄な本体に黒いパネルと本体カラーが半々のツートンデザインなど、先輩格モデル・DC-Eliteそっくり。バッテリーは搭載せずスマートフォンなど接続先の機器からのUSB給電(バスパワー)で動作する点、Bluetooth機能も搭載せず有線対応のみである点など、基本的な仕様も同じです。
なお、DC-Eliteがチタンカラーの1色のみだったのに対し、このNunchakuでは今回ご紹介するグレーモデルとレッドモデルの2色が用意されているほか、実はサイズもDC-Eliteが縦64mm・幅35mm・厚さ14.5mmであるのに対し、Nunchakuは縦65mm・幅34.6mm・厚さ15mmとほんのわずかですが違っています。
DC-Eliteではモデル名が刻まれていた黒いパネルですが、このNunchakuではそこに0.96インチOLEDディスプレイが搭載されています。音量、再生中のサンプリングレートなどの情報のほか、デジタルフィルターやゲイン設定など各種機能の設定が確認可能です。
本体上部にスマートフォンとの接続用USBコネクタ(Type-C)と、面積のほぼ半分を占めるほどの大きなボリュームノブとが並ぶところは先輩ゆずり…なのですが、DC-Eliteが24段階の抵抗を切り替える”ステップアッテネーター”を採用していたのに対し、このNunchakuでは一般的な無段階ボリュームを採用しています。アッテネーターは音質面で有利な一方、音量変更のたびにノイズが乗るほか、微調整が難しいという面もあったため、使いやすさはアップしているかと思います。
なお、このボリュームノブを押し込むことで各種設定の変更や後述する出力モードの切替などが行えます。
無段階ボリュームを採用したことで、DC-Eliteのような微調整用のボタンも不要となったため左側側面にはなにもありません。
右側側面がボリュームガードの役割も兼ねたラウンド成形となっている点は変わりませんが、よく見るとボリュームノブ部分が露出するようにガードが短くなり操作がしやすくなっています。
底面に3.5mmシングルエンド端子(兼・同軸デジタル出力端子)と4.4mmバランス端子が並ぶところもやはり変わりません。
背面は一見、真っ黒のように見えますが…
Nunchakuの出力部にはアメリカ・Raytheon(レイセオン)社製の小型真空管「JAN6418」を2基搭載!これにより、温かみがあり滑らかでアナログライクな真空管サウンドを楽しめるのです。
Nunchakuではこの真空管サウンドの”TUBEモード”に加え、OPAMP+BUF構造を採用したAB級アンプ回路による”Class ABモード”の2種類の出力モードを搭載しているので、楽曲ジャンルやその時の気分に応じて音色を切り替えることが可能です。TUBEモードでの再生時には、背面のパネルにうっすら真空管の明かりが浮かび上がります。
DACチップもDC-Eliteと異なり、エントリー~ミドルクラスDAPや他の小型USB-DACでも広く採用されているシーラスロジック社製「CS43198」をデュアルで搭載しています。
ちなみにモデル名のNunchakuはカンフー映画などで知られる琉球(沖縄)古武術の武器・ヌンチャクが元となっています。2本の小型真空管が並ぶ様子がまるでヌンチャクのようだ、ということから名付けられたとか。
付属品は専用レザーケース、USB Type-C to Type-C ケーブル、USB Type-C to Lightning ケーブル、USB Type-C to USB-A アダプタ、クイックスタートガイドなどとなっています。
注意書きにもありますが、真空管はその特性上スマートフォンなどの電波によるノイズや振動・衝撃によるマイクロフォニックノイズが発生する場合がありますのでこの点はご容赦を。
専用レザーケースを装着した様子がこちらです。DC-Elite同様、放熱性を考慮したヒートシンクのようなエッジが立ったデザインなので、組み合わせるスマートフォンなどにキズがつかないようこのNunchakuもケースに入れた状態で使用するほうが良さそうですね。
ちなみにケースには背面の真空管が見えるように穴が空けられています。
それではNunchakuの音質を確認してみたいと思います。試聴にはプッシュプル型マイクロプラナーマグネティックドライバー“Ortho”搭載イヤホン・MADOO Typ622を組み合わせ、スマートフォンからサブスク音源を再生しました。
【商品情報】MADOO Typ622
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まずは2種類ある出力モードのうち、小型真空管を使用した”TUBEモード”から聴いてみます。
中低域をメインとしたサウンドですが、特に柔らかい低域の広がりが印象的です。加えてボーカル域などがぐっと前面に出てくるので、いわゆる音の太さを強く感じます。高域は角の丸いやさしい耳当たりですが、詰まった感じはせず自然に立ち消えていきます。一音一音の境界線は甘く、カッチリとした鳴り分けをみせるよりも音像の一体感を重視したような鳴らし方のためボーカルや生楽器などの実体感もよく表現されているようです。
バックパネルを爪でコンコンと叩くと、たしかに小さく「キーン」というマイクロフォニックノイズが発生します。とはいえ、音出ししてしまえば気にならないレベルではないでしょうか。同様に、今回使用したTyp622ではまったく気になりませんでしたが、感度が高いイヤホンで使用すると各種ノイズが聴こえやすくなるようなので、その点は注意が必要ですね。
続いてAB級アンプ回路を通した”Class ABモード”に切り替えてみましょう。全体的なサウンドバランスは変わりませんが、こちらは音の輪郭を軽く強調して各音の主張をより感じさせる鳴らし方へと変化しました。このClass ABモードは音質変化を楽しむほか、TUBEモードで外来ノイズが目立つ場合にも活用できそうです。
先輩格モデル・DC-Eliteと比べてみると、やはりDC-EliteのS/N比の高さ・音の粒立ち感などは別格であるようにも感じますが、このNunchakuが持つ音の太さ・音像の一体感などは逆にDC-Eliteにはない魅力であるように思いました。
なお実際に持ち運んで使用する際には、MagSafe対応でスマホの裏に貼りつけ可能になるLEPIC「DAC POCKET LARGE」や、モバイルバッテリーから給電しながらの使用が可能になるパワーセパレーションOTGケーブル「CB19」といった別売アイテムの併用もオススメですよ。
【商品情報】LEPIC DAC POCKET LARGE Silhouette
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【商品情報】iBasso Audio CB19
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サイズ | 65mm×34.6mm×15mm | 重量 | 約50g |
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DACチップ | CS43198×2 | 対応サンプリングレート | PCM:32bit / 768kHz DSD:Native DSD512 |
真空管 | Raytheon JAN6418×2 | 付属品 | 専用レザーケース、USB Type-C to Type-C ケーブル、USB Type-C to Lightning ケーブル、USB Type-C to USB-A アダプタ、クイックスタートガイド兼 製品保証書 |
【商品情報】iBasso Audio Nunchaku
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iBasso Audioから発売となる待望の最新小型USB-DAC「Nunchaku」は、
・0.96インチOLEDディスプレイで音量などの情報のほか、各種機能の設定が確認可能
・小型真空管「JAN6418」2基による”TUBEモード”と、OPAMP+BUF構造による”Class ABモード”の2種類の出力モードを搭載
・中低域メインの音の太さ、音像の一体感を重視したような実体感など、アナログっぽさを感じさせる音作り
と、このNunchakuならではの魅力をしっかりと備えた個性的なモデルとなっています。
Nunchakuレッドモデルおよびグレーモデルは本日よりご予約受付開始、発売は3月21日を予定しております。店頭デモ機も本日よりご用意しておりますので、ぜひお手持ちのスマートフォンでこの力強い真空管サウンドをお楽しみください。