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2023.12.08
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iBasso Audio DC-Elite レビュー | 美音系サウンドが際立つフラッグシップ小型USB-DAC

iBasso Audio DC-Elite レビュー | 美音系サウンドが際立つフラッグシップ小型USB-DAC

iBasso Audio DC-Elite をオーディオ専門店スタッフがレビューします。ハイクラスDAPの遺伝子を受け継ぐ構成とやや中低域寄りで落ち着いた音色ながらひとつひとつの音の輪郭をハッキリ描き出す美音系サウンドが特徴の小型USB-DACです。

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iBasso Audioの小型USB-DACとは

2006年に設立された中国の実力派ポータブルオーディオブランドといえばiBasso Audio(アイバッソオーディオ、以下「iBasso」)。主にDX170などのDAPで知られていますが、もうひとつのロングラン製品が小型USB-DACのDCシリーズです。2019年発売のDC01/02から始まり、現在は3.5mm専用のDC03PROと3.5/4.4mm両対応のDC04PROがラインナップされています。

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そのiBasso DCシリーズにフラッグシップモデルが登場!それがこちらの「DC-Elite」です!

iBasso Audio DC-Elite

今回はこのDC-Eliteについて、詳細および音質レビューをお届けいたします。

DC-Eliteの外観と特徴

サイズ

DC-Eliteは小型USB-DACやドングルDAC、またはポータブルDACアンプなどと呼ばれるジャンルの製品で、PC・スマートフォンなどと接続して有線イヤホン・ヘッドホンでより良い音を楽しむためのデバイスです。

筐体は航空機グレードのチタニウム合金削り出しにガラスパネルをはめ込んだツートンデザイン。サイズは縦64mm・幅35mm・厚さ14.5mmとこの手のデバイスとしてはやや大きめですが、バッテリーは搭載しておらずUSB給電(バスパワー)で動作します。また、Bluetooth機能も搭載していない、有線対応のみの小型USB-DACとなります。

本体上部・ボリュームノブ

本体上部には面積のほぼ半分を占めるほどの大きなボリュームノブと、PCやスマートフォンとの接続用USBコネクタ(Type-C)が並びます。実はこの大きなボリュームノブに、DC-Eliteがフラッグシップである要素のひとつが隠されているのです。

上部の半分を占める大きなボリュームノブ

その要素とは「自社開発の24段4セクションステップアッテネーター」。仕組み上”ビット落ち”と呼ばれる音質劣化がどうしても発生してしまうデジタルボリュームや無段階アナログボリュームではなく、24段階の抵抗を切り替えることで音量変更を行う方式を採用しています。

このアッテネーター方式は音質面で優れる一方、抵抗を物理的に切り替えるため音楽再生中に音量を変えようとすると「プツッ、プツッ…」とノイズが乗ってしまう点や、24段階の切り替えなので音量の微調整が難しいという点など、使い勝手としてはちょっとクセがあるのもたしかです。また、接続する機器ごとに音量が異なる場合があるため、ボリューム位置は必ずゼロに合わせてからご使用ください。

自社開発の24段4セクションステップアッテネーターを搭載

左側側面・操作ボタン

そこで役立つのが、左側面に配置された「PCMボリュームコントロールボタン」です。このボタンを1回押すと、現在の音量からマイナス1dBだけ音量が下がります。これは3回分(マイナス3dB)まで調整が可能で、4回目は元の音量に戻る仕様となっています。おおまかな音量はアッテネーターのボリュームノブで行い、微調整をこちらのコントロールボタンで行う、というのがDC-Eliteのボリューム操作方法となっています。

なお、このPCMボリュームコントロールボタンを長押しすることで同軸デジタル出力(3.5mm)が可能となる”SPDIFモード”に変更できます。

ボタンの右隣にあるのはLEDステータスインジケーターで、現在の動作状況や再生フォーマットなどを4つのカラーで表示します。

PCMボリュームコントロールボタンとLEDステータスインジケーター

右側側面

右側面はラウンド状に成型されており、ボリュームガードの役割も果たしています。

ラウンド状に成型された右側面

底面・接続端子

底面には3.5mmシングルエンド端子と4.4mmバランス端子が並びます。このうち3.5mm端子は、先にご紹介したPCMボリュームコントロールボタンの長押しで同軸デジタル出力端子として使用可能です。

3.5mmシングルエンド端子と4.4mmバランス端子

DAC

DC-Eliteの要(かなめ)ともいえるDACチップには、京都の電子部品メーカー・ローム社製のフラッグシップチップ「BD34301EKV」を搭載しています。

このBD34301EKVは主に据置用オーディオ機器やハイクラスのポータブル機器で採用されることの多いチップで、音楽再生で重要となる『空間の響き』、『静寂性』、『スケール感』の3要素を表現することに重きを置いたローム社独自の音質設計によって目標とした音質表現を実現するほか、業界でも最高クラスの低歪率・低ノイズ性を備えるため、高品質なHi-Fiオーディオデバイスが求める高い要求に応えるDACチップになっています。

ローム社製フラッグシップDACチップ「BD34301EKV」を搭載

ハイクラスDAPを受け継ぐ仕様

さて、「チタニウム合金」「24段4セクションステップアッテネーター」「ローム社製BD34301EKV」というキーワードでピンと来た方もいらっしゃるのではないでしょうか?

実はこのDC-Elite、今年6月に発売された限定生産の超ド級ポータブルプレイヤー・DX320MAX Tiで採用されたものをぐっと凝縮して仕上げたような構成となっているのです!もちろんDACチップ数やその他の回路など異なる点も多いのですが、DC-EliteがハイクラスDAPの遺伝子を受け継いだ小型USB-DACのフラッグシップモデルであるということがよくわかります。

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付属品

付属品は専用レザーケース、USB Type-C to Type-C ケーブル、USB Type-C to Lightning ケーブル、USB Type-C to USB-A アダプタ、そしてクイックスタートガイドとなっています。

DC-Eliteの付属品

専用レザーケースを装着した様子がこちらです。ボリュームノブほか、各種端子やボタンの位置はくり抜かれているので使い勝手に影響はありません。DC-Elite本体が放熱性を考慮したヒートシンクのようなエッジが立ったデザインなので、組み合わせるスマートフォンなどにキズがつかないようなるべくケースに入れた状態で使用するほうが良さそうです。

ケースに入れた様子

DC-Eliteの音質レビュー

それではDC-Eliteの音質を確認してみたいと思います。試聴には業界初のクアッド(4発)ダイナミックドライバー構成イヤホン・Oriolus Monachaaを組み合わせ、スマートフォンからサブスク音源を再生しました。

iBasso Audio DC-EliteとOriolus Monachaaを接続

DC-EliteとOriolus Monachaa

【商品情報】Oriolus Monachaa

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Oriolus Monachaa

リスナーを中心に柔らかく広がる音場、やや中低域寄りで落ち着いた音色ながらひとつひとつの音の輪郭をハッキリ描き出す様子など、同じDACチップを搭載するDX320やDX320MAX Tiの特徴を継承した美音系のサウンドです。当然ながら細かいところまで追求していくと解像感、アタック感などはDX320系と比べれば一歩譲りますが、このDC-Eliteがバッテリーも搭載せず、たった1本のUSBケーブルでスマートフォンとつなぐだけのお手軽な構成でこれだけの音を出しているというのはなかなか驚きです。

また、今回組み合わせたMonachaaはダイナミックドライバーを片側4発も搭載していることもあり、出力の弱いプレイヤーでは音のエッジが甘くなったり、低域に締まりがなくぼやけてしまうという難しさを持ったイヤホンなのですが、DC-Eliteではキレの良さ・量感は充分ありつつ他の音をマスクしない低域などがしっかり表現されているので出力の面でも不安はなさそうです。

使い勝手の点では、やはり24段4セクションステップアッテネーターを採用したことによるボリューム変更時のノイズと音量の微調整のしづらさをどうとらえるかが問題になるかと思います。ここはお世辞にも使いやすいとはいえないところですが、実際の音を聴けばこのDC-Eliteの音質を実現するためには必要な仕様であることを理解していただけるのではないでしょうか。

製品仕様

DAC ROHM BD34301EKV サイズ (W×H×D) 64mm x 35mm x 14.5mm
重量 60.5g 入力 USB
出力 4.4mmバランス、3.5mmシングル 対応サンプリングレート PCM 最大 768kHz / 32bit、DSD Native DSD512

【商品情報】iBasso Audio DC-Elite

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iBasso Audio DC-Elite

まとめ

iBasso Audioの小型USB-DACフラッグシップモデル「DC-Elite」は、
・放熱性に優れた航空機グレードのチタニウム合金削り出し筐体採用
・自社開発24段4セクションステップアッテネーターやローム社製DACチップ「BD34301EKV」の搭載など、DX320MAX Tiの遺伝子を受け継ぐ構成
・やや中低域寄りで落ち着いた音色ながらひとつひとつの音の輪郭をハッキリ描き出す美音系サウンド

と、小型USB-DACとしては高額なモデルではありますがその分充実した中身と音質を持ち合わせた製品となっています。

DC-Eliteは本日よりご予約受付開始、発売は12月15日を予定しております。店頭デモ機も本日よりご用意しておりますので、ぜひお手持ちのスマートフォンでその音質をお確かめください。