中国の人気オーディオメーカー「Cayin」から最新のDAP(デジタルオーディオプレーヤー)「N8ii」が登場しました。ローム社製DACチップ搭載、真空管アンプNutubeモードでのバランス出力対応などの特徴を音質レビューと共にご紹介します。
Cayin N8とは
N8iiの外観レビュー
N8iiの特徴1
N8iiの特徴2
N8iiの特徴3
N8iiの音質レビュー
製品仕様
まとめ
Cayin(カイン)は、中国を代表するオーディオメーカーのひとつで、特に1993年の設立以来「真空管」に強いこだわりを持つブランドでもあります。
そんなN8も発売から3年を経過し、ついに生産完了を迎えました…が、2022年3月、新たなフラッグシップモデルが登場します!その名も「N8ii」!
今回はこのN8ii実機をひとあし早くお借りすることができたので、さっそくレビューをお届けしたいと思います。
パッケージを開けると、「N8ii」とモデル名が入ったプレートとともに保護シートに包まれた本体が登場します。
保護シートの表面を見ると…「Dual Nutube」「Fully Balanced」「Discrete Class A」というように、N8iiの特徴がこれでもか!と記載されています。なお、付属品は下の段の引き出しに格納されています。
付属品はマニュアル類にガラスフィルム、Type-C USBケーブル、イタリア製専用レザーケース、2.5mmバランス→3.5mmシングルエンド変換アダプタ、2.5mmバランス→4.4mmバランス変換アダプタとなっています。
N8ii本体には2.5mm端子はないのですが、付属品でカバーしてくれているのはありがたいところですね。
こちらがN8ii本体となります。サイズとしては縦147mm×横77.5mm×厚さ25mm、重さ442gと旧N8よりひと回りほど大きくなっており、DAPとしては大柄な部類となります。
画面サイズは5インチ(1280×720ドット)と、こちらも旧N8の3.2インチに比べかなりの大型化が図られました。
ここで外見からは見えないのですが一つ目の特徴についてご紹介します。
DAPといえばまず気になるのが搭載されているDACチップが何か、というところですが、このN8iiではローム社製フラッグシップDACチップ「BD34301EKV」を2基搭載しています。
この「BD34301EKV」は、特にクラシック音楽の鑑賞で重要な「空間の響き」「スケール感」「静寂性」をより感じる音質性能を実現しているとのことです。
ローム社は1958年に京都で設立された、歴史ある国内電子部品メーカーです。
実は4年ほど前からオーディオ向けDACチップの開発・発表を行っており、2021年2月からその第1弾となる「BD34301EKV」の販売を本格的に開始していました。据置オーディオ機器ではいくつか採用例があったものの、日本国内で正式販売されるDAPとしてはこのN8iiが初の製品となります。
なお、ローム社はローム ミュージック ファンデーションという公益財団法人を設立・運営するなど、音楽文化の発展に力を入れている企業でもあります。
右側面には電源ON/OFFおよび「曲戻し」「再生・停止」「曲送り」の4つのボタンが並びます。
旧N8ではこれらの操作が2つのボリュームスイッチに割り当てられていたのも大きな特徴でしたが、N8iiでは一般的な操作方法となりました。また、microSDカードスロットもこちらに配置されています。
本体上部にはサイズの大きな、十二芒星が刻まれたボリュームノブのみとなっています。
電源ON/OFFがボタンに変更となったこともあり、このPVD金メッキ真鍮製ボリュームノブは回転のみで押すことはできません。
左側面には樹脂パネルがはめ込まれています。この部分、機能的な意味はないのですが…
画面上部を下にスワイプして、出力モードを「トランジスタ」(写真上の赤丸)から「Nutube」(写真下の赤丸)に切り替えると…
このとおりNutubeユニットが発光!と、鋭い方はここで光が4つあることに気がついたのではないでしょうか。
ここで二つ目の特徴のご紹介です。実は旧N8では3.5mmシングルエンド出力でしか有効にならなかったNutubeモードですが、このN8iiではついにバランス出力でも有効になるようになりました!
本体下部には左から4.4mmバランス出力端子、3.5mmシングルエンド出力端子、3.5mmライン出力端子、USB-C端子とI2S(アイスクエアエス)端子が並びます。I2S端子のみ、ゴム製のカバーが付属しています。
ここでまた外見からはわからない三つ目の特徴をご紹介します。N8iiではA級・AB級の2種類のアンプ動作方式を切替可能になりました。こちらも画面上部をスワイプすると、「Class A」(写真上の赤丸)または「Class AB」(写真下の赤丸)のアイコンが表示されているのでタッチで切り替えます。
この2つのモードはそれぞれ、
Class A…歪みが少なく、最適な再生状態。絹のように滑らかで、暖かく、みずみずしい。最も適しているのはディテールに富み、マクロなダイナミックさを持つセンチメンタルな音楽。これぞ理想のボーカル。
Class AB…より高い効率性とダイナミックさ。クリーンでタイト、伸びやかで権威あるサウンド。ダイナミックレンジの広い音楽に最適。活力にみなぎったシーンに。
というメーカーからのおすすめがありますので、お好みに応じて選択してみて下さい。
付属のイタリア製レザーケースはブルーという表記になっていますが、実物はグリーンの色味が強めのカラーリングとなっています。
なお、このレザーケースはNutubeの発光が見えるよう、左側面に穴が空けられています。また、背面には放熱効果を高めるためのメタルグリルが配置されています。
それではN8iiの音質をチェックしてみたいと思います。組み合わせるイヤホンには同じくCayinのフラッグシップモデル「Fantasy YD01」を選んでみました。
音を出してみてまず気がつくのが音場の広さです。ふわっと頭の前後に空間が広がる印象で、音に包み込まれているかのような感覚をおぼえます。
定位感はあまりガチガチっとした感じではなく、全体的に柔らかく聴かせるイメージです。Fantasy YD01はキレの良さと高域の解像度の高さに定評のあるイヤホンですが、そのあたりもややソフト目な耳当たりになるように感じられます。
Nutube・トランジスタの切替は旧N8同様に変化がわかりやすく、特にNutubeモードでは中低域がやや豊かになることもあってボーカルなどがスッと耳に届くような感覚です。
反面、とにかく刺さるような刺激が欲しい!という場合にはトランジスタモードでの駆動が向いているようです。
Fantasy YD01では残念ながらバランスケーブルが用意できなかったので、バランス出力についてはSONY MDR-Z1Rで確認してみたいと思います。
こちらも全体的な印象はイヤホンでの試聴時と同じですが、驚くのはN8iiの駆動力の高さです。
N8iiには旧N8同様にゲイン切替や高出力モードも搭載されているのですが、MDR-Z1Rではミドルゲイン・標準出力モードでもボリューム値60前後で充分な音量となりました。ヘッドホン派の方にも安心してお使いいただけるDAPではないでしょうか。
また、A級・AB級の動作切替についてはNutubeモードのように切り替えてパッとわかるような変化は感じられず、しばらく聴き込んでみるとそれぞれの特色が現れてくるような印象を受けました。ここはじっくりと聴き比べた上で好みのモードを探るという楽しみ方をした方が良いかもしれません。
メモリー 容量 | 128GB | DACチップ | ROHM社製 BD34301EKVx2 |
---|---|---|---|
デジタルインターフェイス | USB Audioトランスポート (USB-C、出力) 、PS (MiniHDMI、 出力)、USB Audio DAC(USB-C、入力) 、S/PDIF 同軸(USB-C経由、出力)、Bluetooth v5.0 | Bluetoothコーデック | LDAC、AAC、UAT、UATTWS、SBC 送信と受信の両方のアプリケーションに対応 |
フォーンアウト | 3.5mmシングル、4.4mmバランス | 増幅のないラインアウト | 35mmシングル(専用) 、4.4mmバランス(フォーンアウトと共有、メニューで変更) |
サイズ | 縦147mm×横77.5mm×厚さ25mm | 質量 | 442g |
【商品情報】Cayin N8ii
» 詳細を見る
Cayinの新型フラッグシップDAP・N8iiは
・クラシック向けのローム社製DACチップ・BD34301EKVを2基搭載
・Nutubeモードでもバランス出力OK、A級/AB級の動作切替も可能
・広大な音の空間に包み込まれるようなゆったりしたサウンド
と、いずれもDAPとしては珍しい特徴を満載した、Cayinならではのこだわりを詰め込んだプレイヤーに仕上がっています。
Cayin N8iiは本日よりご予約受付開始、発売は3月30日を予定しております。(発売日は4月8日予定に変更されました。)
試聴機も早速ご用意しておりますので、ぜひ店頭でそのこだわりのひとつひとつに触れてみてください!