中国の実力派オーディオブランド・Cayinから人気DAP・N6iiの限定モデルが登場!今回はこの「N6ii-Ti R-2R チタニウム・リミテッドエディション」について詳しくお伝えします。
中国の実力派オーディオメーカー・Cayin(カイン)が2019年6月に発売した"オーディオマザーボード交換式"のポータブルプレイヤーがN6ii DAPです。AK4497EQのA01、PCM1792AのT01、ES9038PROのE01などそれぞれ異なるDACチップを搭載したボードを展開するほか、ユニークなところではラインアウトおよびプリアウト専用(つまり直接ヘッドホンやイヤホンを繋げられない)のA02ボードも用意するなど、多彩なオーディオマザーボードのラインナップでDAPの新しい楽しみ方を開拓した名機でもあります。
発売から2年を経過した今も人気のN6ii DAPですが、実は先日メーカーより「6番目にして最後のオーディオ用マザーボード「R01」とともに、「N6ii-Ti R-2R チタニウム・リミテッドエディション」をお届けします」という発表が!なんと、最後のボード?!そしてリミテッドとは?!その答えがこちら!
こちらが最後のN6ii DAPこと、N6ii-Ti R-2R チタニウム・リミテッドエディション(以下N6ii-Ti R-2R)!今回はその実機を写真でご紹介しながら、音質についてもレビューをお届けしたいと思います。
まずはこれまでのN6iiと一線を画するその外観から。筐体はその名の通りTA2純チタンをCNC加工したもので、軽量ながら強度と腐食耐性の高さを誇ります。ポータブルプレイヤーだけでなく、イヤホンやヘッドホンのハウジングにも採用されている例は多いですが、チタン合金でなく"純チタン"の筐体は珍しいですね。
筐体サイドに配置されているボリュームノブおよび再生・戻る・送るボタンには、真鍮に24金の「PVD(Physical Vapor Deposition)コーティング」(真空装置の中で金属を蒸発・イオン化させ、素材の表面に蒸着させて硬い皮膜を作る加工技術)を施したものを使用しています。
既存のN6iiと並べると…
N6ii DAPはオーディオマザーボードの種類によりジャックの種類・数も異なりますが、ここでは一番最初に発売された"A01ボード"搭載のモデルと比較しています。正面から見るとカラーリングの違いのみ。サイズは変わりませんが、重さはアルミニウム合金筐体のN6ii DAP/A01が290gであるのに対し、純チタン筐体のN6ii-Ti R-2Rは349gと重くなっています。
A01は3.5mmアンバランス/4.4mmバランスの各イヤホン端子と3.5mmのラインアウト専用端子の3つを搭載していましたが、N6ii-Ti R-2Rでは3.5mmアンバランス/4.4mmバランスの各イヤホン端子のみとなっています。
N6ii-Ti R-2Rのオーディオマザーボードは"R01ボード"の専用版。これまでのオーディオマザーボードはすべてブラックのみでしたが、N6ii-Ti R-2R本体にあわせチタン外装となっています。背面上部の2ヶ所のネジを外すと…
オーディオマザーボードを引き出すことができます。なお、N6ii-Ti R-2Rのパッケージには取り外し用のドライバーは入っておりませんので単品オーディオマザーボード同梱のものをご使用下さい。
これがN6ii用の6番目にして最後のオーディオマザーボード・R01です。その最大の特徴は「R-2R DACの実装」。いわゆるラダー(はしご)型抵抗ネットワークによるDAC回路という、通常よく使用されるDACチップとは異なる方式でのD/A変換を行っています。
このR-2R DACでは、例えばA01ボードに搭載されているAK4497EQといったDACチップがICひとつで2チャンネル(=左右ステレオ)分の出力が可能であるのに対し、N6ii-Ti R-2Rでは片側1チャンネル分の出力になんと48個の抵抗器を使用。
つまり左右両方で96個もの抵抗器が使われているわけですが、当然ながら抵抗器ひとつひとつの精度はもちろんすべての抵抗器のマッチング精度の高さが求められるため非常に手間がかかる方式です。反面、素材の選定からサウンドチューニングまで設計者が自由に行えるという利点があります。
今回、N6ii用オーディオマザーボードの最終モデルとしてこのラダー型DAC回路が採用された理由は、Cayinがいまできる最大限の音質追及を行った結果といえます。
それではN6ii-Ti R-2Rの音質チェックとまいりましょう。比較するのはもちろんN6ii DAP。どのオーディオマザーボードにするかだいぶ迷ったのですが、一番標準的と思われるA01ボードにしての比較試聴です。組み合わせるイヤホンには同じくCayinのフラッグシップモデル・Fantasyを選んでみました。
音の違いを一番実感するのは高域のキレと低域の締まりでしょうか。硬質であまり余韻を引かない高域の出方に加え、こちらもやはり硬質かつ膨らみのないスッキリした低域で、非常にシャープな出音という印象です。また、いわゆるS/N比の向上も感じられました。
Cayinといえば本国・中国では主に据置型の真空管アンプを主力としたオーディオメーカーなので、音の柔らかさ・温かみという意味では対照的な音質になっていることに若干驚きがありましたが、考えてみればCayinがポータブルプレイヤーの分野へ本格的に進出してきた初代N5/N6の発売からすでに5年以上経過。
その間、各モデルのバージョンアップはもちろん、数々のプレイヤーを開発してきた中で追及してきた「Cayinのポータブルプレイヤーの音」として生み出されたひとつの結論がこのN6ii-Ti R-2Rの音なのかも知れません。
「N6ii-Ti R-2Rがスゴそうなのはわかったけど、今までのN6ii DAPユーザーはどうしたらいいの?」という方、ご安心を。実はこの"ラダー型DAC回路搭載"のオーディオマザーボード・R01は単品販売もされます!こちらの単品販売版は従来通りのブラックなのでカラーリングもバッチリ。素材はアルミ合金とN6ii-Ti R-2R付属の純チタン製とは異なりますが、Cayinが送り出す「最後のオーディオマザーボード」のサウンドを既存ユーザーの皆様にもお楽しみいただけますよ。
MCU |
Snapdragon 425 |
---|---|
Memory |
4GB DDR3 |
Storage |
64GB +TF (up to 1TB) |
Display |
4.2" 768×1280 IPS |
Physical Control |
Volume knob |
Bluetooth |
BT 4.2: SBC, AAC, aptX, LDAC |
Wi-Fi |
IEEE802. 11 a/b/g/n |
Battery |
3.7v 5900mAH (21.8Wh) |
Charging |
QC3.0 (~4.5 hrs) |
Dimention |
121*70*21mm (exclude volume knob) |
System |
Customized Android 8.1 |
Lossless |
DTA bypass Android SRC |
Google Play |
Preinstalled |
Bundled Applications |
Cayin Music; HiBy Music HiByLink support |
USB |
Type C: Charging, OTG, Digital Audio |
Gain Control |
High, Mid, Low |
Digital Interface |
I2S, USB Audio(in/out), Coaxial (embedded) |
Chassis |
Sandblasted CNC Titanium |
Back Panel |
Tempered Glass |
Net Weight |
~349g (with R01 Audio Motherboard) |
DAC |
24Bit Discrete R-2R Ladder Resistor Network |
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Oversampling |
All to 768kHz (4× DSP Filter) |
Digital Filters |
Sharp Roll-off |
Head-Amp |
Fully Balanced |
Phone Output |
3.5mm Single-ended |
Duration* |
3.5mm: ~12.5 hours |
Power rating |
430mW (@32Ω) |
---|---|
Freq. Response |
10Hz-30kHz (±0.2dB, Fs=192kHz) |
THD+N |
0.004% (1kHz, Fs=44.1kHz; 20Hz-20kHz, A-Weighted) |
Dynamic Range |
113dB (1kHz, Fs=192kHz/24bit; 20Hz-20kHz, A-Weighted) |
SNR |
115dB (1kHz, Fs=192kHz/24bit; 20Hz-20kHz, A-Weighted) |
Channel Separation |
92dB (1kHz; @32Ω) |
Output Impedance |
0.68Ω (@32Ω) |
Power rating |
240mW (@32Ω) |
---|---|
Freq. Response |
10Hz-30kHz (±0.2dB, Fs=192kHz |
THD+N |
0.004% (1kHz, Fs=44.1kHz; 20Hz-20kHz, A-Weighted) |
Dynamic Range |
113dB (1kHz, Fs=192kHz/24bit; 20Hz-20kHz, A-Weighted) |
SNR |
115dB (1kHz, Fs=192kHz/24bit; 20Hz-20kHz, A-Weighted) |
Channel Separation |
78dB (1kHz; @32Ω) |
Output Impedance |
0.45Ω (@32Ω) |
DACチップを使うことが当たり前となった時代にあえて手間のかかるディスクリート・ラダー型DAC回路を組むというこだわり、そしてそれがN6ii最後の専用オーディオマザーボードとして送り出すだけのものにできあがった、という自信。N6ii-Ti R-2R チタニウム・リミテッドエディションおよびオーディオマザーボード・R01は本日よりご予約受付開始、発売は7月3日を予定しております。特にN6ii-Ti R-2Rは全世界600台限定生産ですのでご予約はお早めに。
N6ii-Ti R-2Rの試聴機も本日より店頭にご用意しておりますので、Cayinのこだわりと自信をぜひ一度お試し下さい。