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2024.03.01
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iPhoneを高音質で聴く!1万円台の有線イヤホン比較レビュー × 太田タカシ|プロのエンジニアによるイヤホンレビュー

iPhoneを高音質で聴く!1万円台の有線イヤホン比較レビュー × 太田タカシ|プロのエンジニアによるイヤホンレビュー

レコーディングエンジニアの太田タカシさんがiPhone 15にドングルDAC(小型USB DAC)を繋いで有線イヤホンSIMGOT EA500、水月雨(MoonDrop) Aria2、qdc SUPERIORを比較レビューします。

太田タカシプロフィール画像
■ ライタープロフィール
レコーディングエンジニア 太田タカシ
1984年千葉県出身、バンド活動をする傍ら専門学校でレコーディングを学び、卒業後は音楽事務所のスタジオに勤務しレコーディングをしつつアレンジの基礎と制作進行を身につけた。その後、リハーサルスタジオ内のレコーディングスタジオでレコーディング・ミックス・マスタリング業務に従事した後、フリーランスに転身。現在はレコーディングの他にもサウンドプロデュースや若手の育成にも力を入れている。
主な作品参加アーティストはIndigo la End・ゲスの極み乙女。・リーガルリリー・グソクムズ・20th Centuryなど。近年はゲーム音楽やVtuberの作品にも参加している。
Twitter:@tario_ Instagram:@tario_

はじめに

みなさんこんにちは、今回は有線イヤホンの比較レビューです!

先にお伝えしておくと私自身は有線派です。それこそ利便性で言えばワイヤレスの方が圧倒的に便利なのですが、「挿せば使える」「充電がいらない」「(ワイヤレスよりも)無くしづらい」そして音質の優位性から基本的には有線のイヤホンを使っています。

とはいえやっぱりワイヤレスは便利なのと音質も有線イヤホンと遜色無くなってきているので、自分の好みやライフスタイルで選んでいけたらいいのではないかと思っています。

レコーディングやライブの現場では接続の簡易さやワイヤレスでのラグが演奏に影響を与えてしまうので有線を使用しています。

ドングルDACを使えばiPhoneが高音質に

有線が好きだ!と言っても、問題はデバイス。そうなんです。iPhoneユーザーの共通の悩みはイヤホンジャックがないことではないでしょうか。

iPhoneを有線イヤホンに繋いで聴くためには、LightningやUSB Type-Cからの変換が必要になってきます。ここが結構キモになっているんですよね。

恥ずかしながら私自身Lightningの時はヘッドホンジャックの変換くらいの感覚でいたのですが、iPhone15 Pro MAXに機種変をした際にUSB Type-Cからの変換が必要となるので色々調べてみると、どんなに安かろうと高かろうと変換ケーブルにはDACが搭載されていることを知りました。

iPhoneとLitning変換ケーブルを接続した画像

見た目がシンプルな変換ケーブルの時はiPhone側でデジタルからアナログへ変換していると思っていたのですが変換ケーブル側でデジタルからアナログ変換をしているのです。

ドングルDACの導入

それを知ってしまうと「聴ければ良いや」と思いつつ、やっぱり良い音質で聴きたいのが人の常、そして実際どうなのかを調べてしまうのがエンジニアの常、500円くらいの変換と2万円弱のドングルDAC「FIIO KA3」を導入し、聞き比べて違いを確認したところ、あまりの違いに愕然としました。

FIIO KA3

FIIO KA3の画像

iPhoneってこんなに音良かったっけ?と思うほどレンジ、奥行き解像度全てにおいてバージョンアップされる感覚でした。

その体験以降ドングルDACは大事な持ち物のひとつとなっており、iPhoneのみならずMac Book Airに接続して音楽を聴く時や、外でちょっとした編集作業をする時もPCのヘッドホンアウトを使わずにドングルDAC経由でモニターして作業したりしています。

iPhone15 Pro MAXに機種変してからずっと使っているKA3は、あまり味付け感がなく解像度が上がるのでお気に入りです。

【商品情報】FiiO KA5

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FiiO KA5

iPhone 15 Pro MAXにドングルDACを繋いで有線イヤホンを聴くようになり、多種多様な有線イヤホンも試してみたくなりました。ということで今回は1万円台の有線イヤホンの聴き比べをしていきたいと思います。

KA3ともうひとつ、ドングルDAC「iBasso Audio DC-Elite」をお借りしましたので、この2機で比較していきます。

iBasso Audio DC-Elite

iBasso Audio DC-Eliteの画像

DC-Eliteは、パキッとしっかりとした音色が印象で各楽器が鮮明になるイメージです。

【商品情報】iBasso Audio DC-Elite

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iBasso Audio DC-Elite

1万円台の有線イヤホンを音質比較

試聴環境

それでは試聴していきます。

iPhone 15 Pro MAXとiBasso Audio DC-EliteとFiio KA3の画像

iPhone15 Pro MaxからドングルDAC「iBasso Audio DC-Elite」と「Fiio KA3」それぞれ経由して3種類のイヤホン「SIMGOT EA500」「水月雨(MoonDrop) Aria2」「qdc SUPERIOR」を試聴していきます。アプリはApple Musicをロスレスオーディオに設定しています。

SIMGOT EA500レビュー

EA500の製品特徴

最初にSIMGOT EA500です。EA500は「いい音を楽しむ為の敷居を低くする」という理念のもとフラッグシップのEA2000のノウハウを応用して作られたイヤホンです。

通常のダイナミック型イヤホンと異なり内磁型と外磁型のデュアル磁気回路を搭載していて、広い周波数特性と低い歪み、ダイナミクスと臨場感をを実現しています。

また、交換可能なノズル設計によってチューニングの変更ができるという点もユニークですね。

EA500のイヤホン本体アップ画像

外見はシルバーのメッキで手に持った感触ではずっしりとした重みがありますが、装着してみるとそれほど重さを感じません。

EA500のイヤホン本体内側の画像

KA3に繋いで試聴

まずは自分の手持ちのKA3で試聴してみました。

最初の印象はエレキベースなどの低音の楽器の居心地がいいと感じました。適度な定位感と位置関係で聴くことができます。特に印象的なのが、低域を担う楽器が何をやってるか鮮明に聞こえてくるのでその辺りも楽しむことができました。ただ、高域に関しては若干シャリシャリした印象があります。

DC-Eliteに繋いで試聴

試聴環境をDC-Eliteに変えると中高域のシャリシャリ感はだいぶ抑えられ、全体的に腰が据わった印象に変わります。低音楽器の再現性も向上しました。クラシックやオーケストラ系音楽は特に心地よい派手さを楽しめます。

EA500の総評

低域の位相がしっかりしていて、高域は少し散る印象がありますが、相性の良いドングルDACやリケーブルでコントロールできるレベルです。

【商品情報】SIMGOT EA500

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SIMGOT EA500

水月雨(MoonDrop) Aria2

Aria2の製品特徴

次は水月雨 Aria2です。Aria2は特許構造のダイナミックドライバーとTiNセラミックドームでフラットな高域特性と特殊なダイナミックレンジ、低歪を可能にしています。

また、技術だけでなく高級音響エンジニアの主観も取り入れ、測定器の高域精度の問題を解決、自然で開放的、そして原音に忠実な音を再現しています。

Aria2のイヤホン本体アップの画像

見た目は落ち着いた堅牢感のあるイメージです。こちらも手に持つと重量感がありますので、人によってはちょっと重さを感じるかもしれません。

Aria2のイヤホン本体内側の画像

KA3に繋いで試聴

こちらもまずは手持ちのKA3で聴いていきます。第一印象は中高域がとても綺麗だと感じました。ドラムのシンバルやハイハットがとても生々しく生ドラムの繊細なタッチ感が見えます。女性ボーカルも心地よい響きで聴こえます。かといって重心が高いわけでもなくギターアンプの低域の箱が鳴っている感じもしっかりと出ています。

DC-Eliteに繋いで試聴

DC-Eliteでは個々の楽器のディティールが上がって、より立体感が増します。クラシックなどでは空気の細部まで聴くことができます。中高域の再現性はやはり凄く気持ちいいです。低域までしっかり出ていてバランスがいいのですが、人によっては少し散っているように感じて物足りなさがあるかもしれません。

Aria2の総評

中高域から高域にかけての原音再生力が高く、低域は少し散っている印象がありますが、包み込む感じともとれるくらいなので好みの問題だと思います。

【商品情報】水月雨(MoonDrop) Aria2

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水月雨(MoonDrop) Aria2

qdc SUPERIOR

SUPERIORの製品特徴

最後にqdc SPERIORです。独自の同軸デュアル磁気回路とデュアルキャビティ構造で優れた過度特性を実現したモデルです。ブランド初の10mmフルレンジドライバーを搭載し、幅広い帯域と調和の取れたサウンドを再生します。

SUPERIORのイヤホン本体アップの画像

qdcはカスタムIEMを作っているブランドということで、見た目もその雰囲気を帯びています。重量感はあまりなく自然にフィットする感じがします。

SUPERIORのイヤホン本体内側の画像

KA3に繋いで試聴

まずはKA3で聞いてみます。最初に印象に残ったのは音場の近さ、特にボーカル帯域を中心にしっかりと音が出ていると感じました。位相の良さが際立つイヤホンで低域から中域に関してはセンターラインがしっかりと際立っています。

DC-Eliteに繋いで試聴

DC-Eliteで聴くと過度特性の良さが際立ち、出音のレスポンスの速さに少し驚くレベルでした。そのおかげか曲のダイナミックレンジをしっかり楽しむことができます。

フルレンジドライバーということもあり、音域のレンジ自体は中域に纏まっていて一聴きして派手さやずっしり感はあんまりないのですが、カスタムIEMで培った技術なのか位相とレスポンスの正確性が特徴的なイヤホンです。

SUPERIORの総評

声の帯域を中心として低域から中域にかけての位相とレスポンスが凄くいい、ただそこのエネルギーが強い分、人によっては地味なサウンドに感じるかもしれません。

【商品情報】qdc SUPERIOR

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qdc SUPERIOR

まとめ

SIMGOT EA500、水月雨(MoonDrop) Aria2、qdc SUPERIORのケースの画像
3機種とも専用のケースが付いているので持ち運びに便利です。

今回は今までと趣旨が変わってイヤホン聴き比べという企画でした。ヘッドホンもイヤホンも値段はピンキリですが、1万円台の有線イヤホンはエントリーからミドルクラスに当てはまることが多いと思います。

1万円台クラスだからできること、できないこと、そのブランドの得意なところがしっかり出ていて、3機種とも音の狙いが明確に違いました。手に取りやすい価格帯で違いがわかるので、自分好みの音・装着感を探すという楽しみ方ができるのではないでしょうか。

皆さんもぜひ色々試してみてほしいと思います。

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