Shanling H2のオーディオ専門店スタッフレビューです。DACにCS43198を搭載、ポータブル運用に最適化した仕様と中高域メインでタイトな低域のサウンドバランスが特徴のローカルファイル再生機能でプレイヤーとしても活躍するDACアンプです。
目次
ShanlingのHシリーズとは
H2の特徴
H2の音質レビュー
製品仕様
まとめ
Shanling(シャンリン)は昨年に設立35周年を迎えたばかりの中国のオーディオブランドです。日本では「M0Pro」「M3 Ultra」などポータブルオーディオプレイヤーのMシリーズや、「UA3」「UA5」など小型USB-DACのUAシリーズが人気を博していますが、そこに昨年加わったのがポータブルヘッドホンアンプの”Hシリーズ”です。
2023年1月にやや大柄なサイズの「H7」を、7月にはそれよりも小柄なサイズの「H5」をそれぞれリリース。入力はデジタル接続のみという割り切った仕様、ポータブルアンプでありながらmicroSDカードを挿すことでプレイヤーとしても使えるローカルファイル再生機能などのユニークな個性を持ったポタアンとして話題となりました。
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そのHシリーズに、今回新しくもう1モデルが加わりました!それがこちらの「H2」です!
今回はこのH2について、詳細および音質レビューをお届けします。
H2は昨年発売されたH7やH5と同じく、ポータブルDAC兼ヘッドホンアンプという位置づけの製品です。カラーはブラックとシルバーの2色展開で、今回はサンプルとしてブラックを使用しました。
H2のサイズは100×71.5×21.5mm、重さは185gです。H5(102×85×25mm/270.4g)に比べサイズではやや小さくなった程度ですが、重さはかなり軽くなっています。H7(142×85×25mm/352.5g)と比べるとほぼ半分の重さです。
付属品はUSB-C to USB-C OTGケーブル、USB-A to USB-C 充電用ケーブル、グリップシール(ゴム足)、マニュアル類となっています。
ところで、今回のH2の外観がH7・H5と異なっていることにお気づきでしょうか。シリーズの大きな特徴ともいえる”突き出た2つのダイヤル”が、H2では本体内に収納されたようなデザインとなり、以前のモデルではダイヤルが突き出ていた部分にはわずかにボタンが飛び出しています。
フロント面にも大きな変化が見られます。ノートPCの横など、デスクトップ用途も想定していたH7・H5と異なり、H2はDAPとの組み合わせをメインに設計したとのことで、端子類がすべて背面に配置されることとなりました。そのためフロント面にはダイヤルを押し込むためのボタンが2つだけ配置されています。
また、この2つのダイヤル(ボタン)の配置も「フロント面を上にした場合」を元に、左側が入力切替や各種機能の切替をおこなう「コントロールダイヤル」、右側が音量調整と電源のオンオフ、設定の決定などをおこなう「ボリュームダイヤル」となっています。
ダイヤルに挟まれるように配置された0.99インチのLCDディスプレイには、現在の入力設定、ボリューム値、ゲイン設定(High/Lowの2段階)、バッテリー残量が表示されます。また、ディスプレイ下部には充電ステータス・再生中のサンプリングレートをそれぞれ示すLEDランプが設けられています。
ちなみに、このディスプレイ表示に関してはH2の設定で上下を反転させることも可能です。
背面には左から充電用USB Type-C端子、デジタル接続用USB Type-C端子、microSDカードスロット、3.5mmシングルエンド出力端子、4.4mmバランス出力端子が並びます。H7/H5と比べると、ライン出力用RCA端子と同軸デジタル入力端子が削除されたかたちです。入力はUSBもしくはBluetooth(LDAC / AAC / SBC)となり、アナログ入力はありません。
先にご紹介したとおり、端子類はすべて背面に配置されているのでDAPとイヤホンを接続するとこのような状態になります。運用時は基本的にフロント面を下にして持ち運ぶことになります。
また、楽曲データを入れたmicroSDを挿すことでH2をプレイヤーのように使える「ローカルファイル再生機能」はこのH2にも引き継がれています。Shanlingの公式アプリ「Eddict Player」からSyncLinkで接続することにより、スマートフォンから操作できるので非常に便利です。
H2が搭載するDACチップは、さまざまなDAPや小型USB-DACで多く使用されていることでも知られるシーラスロジック社製「CS43198」です。低電力設計のためバッテリー消費も少なく、音質面でも定評のあるDACチップです。
別売とはなりますが、H2には専用のPUレザー製ケース「H2 Case」も用意されています。機器の重ねあわせなどでキズが気になる場合はこちらもご検討ください。
それではH2の音質をチェックしてみましょう。今回はHシリーズの大きな特徴である「ローカルファイル再生機能」を使って、microSDに入れた楽曲データを聴いてみました。イヤホンにはiBasso Audio「3T-154」を組み合わせています。
なお、このローカルファイル再生機能を使う際は、スマートフォンと接続して公式アプリ「Eddict Player」上から操作することでDAPのように曲を選択することが可能です。
【商品情報】iBasso Audio 3T-154
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やや硬質さを感じさせる、中高域メインのサウンドバランスでボーカルものが聴きやすい音作りとなっています。タイトで量感控えめな低域と、全体的にスッキリした印象はH7やH5ゆずりという感じです。
組み合わせたイヤホン・3T-154はその名のとおり直径15.4mmという大口径のダイナミックドライバーを搭載しているのが特徴ですが、ローゲイン設定でもその大口径ドライバーを悠々と鳴らしているかのようなドライブ能力の高さを感じさせます。
また、H5発売時あたりから「Eddict Player」と組み合わせた際の使い勝手も格段に上がっていることもあり、特に今回のようにローカルファイル再生で使ってみると「手元で操作可能な便利さ」と「充分なドライブ能力を持ったプレイヤー」とのコンビネーションが非常に快適です。
さすがに価格差もあるので、H7やH5と厳密に聴き比べてしまうと解像感や奥行き感などは甘いところはありますが、アンプのパワーが求められる大口径ドライバーや平面駆動ドライバーを搭載したイヤホン・ヘッドホンなどを手軽に楽しみたいという場合にはぜひお試しいただきたい製品です。
DACチップ | CS43198 | ディスプレイ | 0.99 inch LCDディスプレイ |
---|---|---|---|
Bluetoothコーデック(受信のみ) | LDAC、AAC、SBC | ストレージ | 最大2TBまでのMicroSDカード |
サイズ | 71.5×100×21.5 mm | 重量 | 185g |
【商品情報】Shanling H2
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