ポータブルDAC兼ヘッドホンアンプShanling H5のオーディオ専門店スタッフレビューです。DACは「AK4493SEQ」をデュアル構成で搭載、豊富なデジタル入力端子を装備し、多彩な機能とパワーと音質を備えたポタアンを詳しく紹介します。
目次
Shanlingのポータブルアンプとは
Shanling H5の外観と特徴
Shanling H5とH7を比較
Shanling H5とM0Proを組み合わせ
Shanling H5の音質レビュー
製品仕様
まとめ
Shanling(シャンリン)は設立35周年を迎えた中国の人気オーディオブランドです。先日発売されたポータブルプレイヤー「M9 Plus」、小型USB-DAC「UA3」をはじめとした数々のポータブルオーディオ機器を生み出してきたブランドですが、そのShanlingが今年1月にリリースしたのがポータブルヘッドホンアンプ「H7」。
サブスク時代に合わせたLDAC対応のBluetooth機能搭載、RCA出力端子による拡張性もさることながら、microSDカードを挿すことでH7だけで音楽再生が可能となる「ローカルファイル再生機能」を備えた非常にユニークなポータブルアンプです。
Shanling H7レビュー 音楽再生も可能!多機能なポータブルヘッドホンアンプ
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それから半年、そのH7の小型版ともいえるポータブルアンプが登場します!それがこちらの「H5」です!
今回はこのH5について、詳細および音質レビューをお届けします。
H5は兄弟機であるH7と同じくポータブルDAC兼ヘッドホンアンプという位置づけの製品です。サイズは102×85×25mm、重さは270.4g(H7は142×85×25mm/352.5g)と、H7に比べ長さが30%ほど短くなっています。
カラーはブラックとチタニウムの2色展開となっています。今回使用したサンプルはブラックです。
付属品はポーチ、USB-A to USB-C 充電用ケーブル、USB-C to USB-C OTGケーブル、3.5mm to coaxial(同軸)ケーブル、グリップシール(ゴム足)、マニュアル類となっています。
H5のフロント面がこちら。天板部には0.87インチのモノクロ有機ELディスプレイ、正面にはH7ゆずりの左右のダイヤル、その間には3.5mmと4.4mmの各ヘッドホン出力端子が並びます。H7からダウンサイジングしたことにより、ディスプレイサイズ(H7は1.44インチ)、ヘッドホン出力端子(6.3mm削除)の変更が入ったものの、全体的にはそっくりです。
2つあるダイヤルのうち左側は「コントロールダイヤル」となっており、こちらで入力切替やH5の持つ各種機能の切替を行います。右側は「ボリュームダイヤル」で、こちらは文字通り音量調整と電源のオンオフ、設定の決定などを行います。この点はH7とまったく変わりません。
有機ELディスプレイには現在の入力設定、ボリューム値、ゲイン設定(L/M/Hの3段階)、バッテリー残量が表示されます。また、ディスプレイ上部には充電ステータス・再生中のサンプリングレート・MQAファイルのタイプをそれぞれ示すLEDランプが設けられています。ここもH7と同じですね。
背面には左からライン出力端子、3.5mm同軸デジタル入力端子、デジタル接続用USB Type-C端子、充電用USB Type-C端子、そしてmicroSDカードスロットが並びます。ライン出力用にRCA端子が用意されているので、こちらから別のアナログアンプに接続することも可能です。なお、H5もやはり入力はデジタルのみとなり、アナログ入力はありません。
このほか、LDAC/AAC/SBCの各コーデック(受信のみ)に対応したBluetooth接続機能、背面のスロットに楽曲データの入ったmicroSDを挿すことでH5単体で音楽再生可能となる「ローカルファイル再生機能」なども、H7からしっかりと受け継いでいます。
別売とはなりますが、H5には専用のPUレザー製ケースも用意されています。機器の重ねあわせなどでキズが気になる場合はこちらもご検討ください。
それではここで、実際にH7と並べてみたいと思います。まずは上から。
続いて横から。もちろん手前がH5、奥がH7ですが、本当に長さだけをギュッと縮めた感じのサイズ感となっていることがおわかりいただけるのではないでしょうか。
H7は大柄ということもあり持ち運びにはちょっと苦労するところもありましたが、H5ではサイズが小さくなったことでDAPとの組み合わせもさらにしやすくなっています。
H7と異なるのはサイズや端子類だけではありません。H7では旭化成エレクトロニクス社の最新フラッグシップDACチップ「AK4499EX + AK4191EQ」を搭載していましたが、今回のH5では同じ旭化成の「AK4493SEQ」をデュアル構成で搭載しています。
ダウンサイジングとあわせて、H5がH7の半額以下というお求めやすい価格を設定できた理由のひとつではありますが、このAK4493SEQもさまざまなメーカーのDAPや小型USB-DACに採用されている定評あるDACチップです。
こちらはShanlingの超小型DAPのM0ProとH5とを組み合わせた様子ですが、M0Proではなかなか実力を発揮しづらい大型ヘッドホンや平面駆動ドライバー搭載イヤホンなどもこれならラクラク駆動できますね。
それではH5の音質を確認したいと思います。今回はH5の大きな特徴である「ローカルファイル再生機能」を使って、microSDに入れた楽曲データを聴いてみましょう。組み合わせるイヤホンには、intime(アンティーム)の限定生産モデル「翔 Special Version」を選んでみました。
なお、このローカルファイル再生機能を使う際は、H5単体では単純な「再生・停止」「戻る・進む」くらいの操作しかできませんが、スマートフォンと接続して公式アプリ「Eddict Player」上から操作することでDAPのように曲を選択することが可能です。
キレのある高域にスッキリ目な中域、タイトな低域と、見た目だけではなく音の方もH7にかなり似通った硬質なサウンドです。特に今回組み合わせた翔 Special Versionのように高域表現の個性が強いイヤホンではそのあたりのキャラクターがさらに強調されるので、EDMなどのジャンルを聴くと非常に楽しめるかと思います。
続いてH7とじっくり比較試聴してみます。さすがに音の立体感はH7の方が優れているように感じますが、2倍以上の価格差があること、持ち運びしやすいサイズになったことを考えると単なる廉価版にはとどまらない、充分レベルの高いサウンドが楽しめるポータブルアンプとなっています。
また、今回の試聴で驚いたのが「ローカルファイル再生」の進化です。H7レビュー時にはアートワークが表示されないなど残念なポイントが目立ちましたが、H5では着実にアップデートが図られたようでアートワーク表示やフォルダの移動、ファイル参照などで気になる部分はありませんでした。これならプレイヤーと重ねて持ち運ばなくても、H5単体で充分活用できそうです。
(現在はH7のローカルファイル再生機能もファームウェア更新で改善されています)
Eddict Playerアプリからは曲選択だけでなくH5本体の各種設定変更も可能となっています。デジタルフィルターの切り替えやゲイン設定、さらにDACチップをデュアル構成で搭載しているH5ならではの「シングル/デュアルDAC」の切り替えもこのアプリから行えます。
もちろんこれらの設定変更はH5本体でも可能なのですが、やはり視覚的にもわかりやすいのでぜひこのEddict Playerアプリを活用していただければと思います。
DACチップ | AKM AK4493SEQ×2 | 画面サイズ | 0.87インチ モノクロ有機ELディスプレイ |
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Bluetoothコーデック | LDAC / AAC / SBC(受信のみ) | ストレージ | MicroSDカードスロット×1(2TBまでのMicroSDカード) |
サイズ | 102×85×25mm | 重量 | 270.4g |
【商品情報】Shanling H5
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ShanlingのポータブルDAC兼アンプ「H5」は
・DACチップに旭化成「AK4493SEQ」をデュアル構成で搭載、豊富なデジタル入力端子を装備
・microSDカードの音源を直接再生できる「ローカルファイル再生機能」がさらに進化
・上位モデルH7の半額ながら、その良さをしっかり受け継いだ硬質なサウンドが楽しめる
多彩な機能と充分なパワーと音質を備えたお手頃価格のポータブルヘッドホンアンプとなっております。
H5は本日よりご予約受付開始、発売は7月21日予定です。店頭試聴機も本日から展示を開始しておりますので、ぜひ中野の店頭でお試しください。専用の純正レザーケースも同時発売予定ですので、こちらもあわせてどうぞ!