デジタルストリーマーVolumio Rivoをレコーディングエンジニアの太田タカシさんがレビューします。低ノイズ電源設計、最新OS Volumio 3の搭載、クリアでノイズが少なく、音が滲まない高い再生精度を特徴としたRivoを詳しく紹介します。
目次
はじめに
Volumio(ボリューミオ)とは
Volumio Rivo の特徴
Volumio Rivo の機能・操作性のこだわり
Volumio Rivo の機能・ローノイズへのこだわり
Volumio Rivo の音質レビュー
製品仕様
まとめ
こんにちは、レコーディングエンジニアの太田です。今まではヘッドホンやヘッドホンアンプ、DACなどのレビューが中心でしたが今回はデジタルストリーマーのレビューです。
デジタルストリーマー?PCやスマホでいいんじゃない?と思っている方もいるのではないでしょうか。いやいや、そこは音楽プレーヤー専用機、さまざまなこだわりを感じられる逸品でした!今回は、デジタルストリーマーVolumio Rivo について詳しくお伝えします。
Voliumioは、Raspberry Pi(ラズベリーパイ)で音楽再生をするためのOSの開発で広く知られているイタリアのメーカーです。
名前の由来は「音量」を表すボリュームとイタリア語で「私」を意味する「ミオ」を合わせた造語で自分に合った形で最高の音を楽しんで欲しいという意味が込められてるそうです。そんなラスベリーパイ向けのOSを作っていた同社ですがソフトだけでは理想の音を届けるのが難しいということでハードウェアの製造を開始しました。
一番の特徴は見た目です。シンプルながら洗練された落ち着いた佇まいと、薄いブルーのフロントパネルのセンターに映える赤く少し大きめのスイッチ。リスニングルームだけではなくリビングに置いてあったらそれだけで一気におしゃれな空間になりそうです。
フロントパネルは非常にシンプルで、電源のスイッチがひとつのみ。スイッチにLEDライトが付いていてRivoの状態を表してくれます。(赤:待機中、緑:読み込み中、青:準備完了)
背面にはWiFiアンテナや主電源、電源アダプター差し口と入出力がまとまっています。USBが3口ありますが、真ん中のUSB2.0ポートは周辺機器接続用です。
フロントパネルにはスイッチがひとつだけでディスプレイなどが何もないので「一体どうやって使うんだ...」と思いきや、操作は簡単でスマートフォンやタブレットに専用のアプリをダウンロードして起動するだけで近くのRivoを認識します。UIもシンプルなので特に説明書などがなくてもすんなり使える仕様になっています。
また、アプリがなくてもHDMIでタッチセンサー付きのモニターを繋げば直接操作をすることも可能です。
Spotifyでの再生も簡単に操作できます。使用してみて便利に感じたのがVolumioのプラグイン上でもSpotifyのアプリでも、どちらからもコントロールすることができることです。
慣れている方でコントロールできるのは強みですね。ハードディスクなどに入れている曲もリッピングしたSpotifyの曲も同じように扱える点もメリットだと思います。
Bluetoothの接続もスマホ側で接続機器を検索するとすぐに表示されます。これも何気にすごく便利です。ボタン長押しでペアリング...よくある接続方法ですがなかなか読まなかったりするとモヤモヤしますもんね。
電源はセクション毎に分離されていて、内部クロック専用の独自のスタビライザーを備えています。また回路に電力を供給する前にフィルタリングセクションを設けているので高いパフォーマンスと安定性を供給しています。
電源に含まれるノイズをいかに除去し、機材本来の力を引き出すか、こういった点にもきちんと対応していることに好感が持てます。
構造をシンプルにすることによってデジタル信号をクリーンに伝送しつつガルバニック・アイソレーション技術を採用してデジタル出力からのノイズを低減しています。
ちなみにひとつ注意点があります。それは、アナログアウトがないことです。
Rivoを使用する際には別途DACが必要になります。すでに構築されたオーディオシステムに柔軟に導入できるところが魅力ですね。
Rivoには、Volumioの最新のOS「Volumio 3」のプレミアム版と同等のものが導入されています。通常プレミアム版はサブスクリプションサービスですが、それが含まれたバージョンとなっており、リッピングや曲のクレジット表記、プラグインの使用ができるようになっています。
個人的に使用してみて嬉しかったのが、曲のクレジットが表記されることです。プロデューサー、参加ミュージシャンは誰か、どこでレコーディングしたのか、曲によっては曲の説明やアーティストの説明が表示されることにサブスク時代となった今、忘れかけていたCDを聴きながらクレジットを読むワクワク感を思い出しました。
Rivoはディスプレイ必須ではないのですが、小型のディスプレイを接続してクレジット表記まで楽しむこともおすすめですよ。
今回の視聴環境ですが、RivoからAES/EBUでApoge Symphony I/OをDACとして接続、モニターセレクターSPL Model2381を経由してIK multimedia iKoud precision MTMで主にSpotifyを視聴しました。
クロックマスターはRivoになっています。
音の傾向としてはすごくクリアな印象です。ローノイズへのこだわりがしっかり感じられるのが無音にしたときの静かさです。そのためか、低音がすごくクリアでしっかりとした定位感を感じられます。高域もクリアで音と音の隙間を感じることができます。
最初硬めの音かな?と思いましたが、ノイズが少なく、クロックの精度が高いので音が滲まず、再生精度の高さがしっかりと出ています。トランジェントもしっかりと感じられるのでリズムが心地よく身体に入ってきます。
次にBluetooth接続を試してみました。こちらも印象は同じですが、無線接続のため再生環境として不利といえるBluetooth接続でも広いレンジ感とダイナミクスを感じることができました。
これでスマホゲームができたら最高じゃん!ということで試してみましたが、遅延があるためゲームには向いてませんでした。
システム的にはDACが別途必要なので、既にある程度環境が整っていてPCMやDSDにリッピングした音源をよく聴く方や高音質でサブスク音源を聴きたい方、過去の音源から最新の音楽までディグリたい方におすすめしたいです。
2023年の後半にはハイレゾ配信サービスQubuzが日本で開始するということなので、Qubuzに対応しているRivoはかなり有利な再生機器のひとつだと思います。(VoliumioはTIDALも対応してますがTIDALは日本ではサービス対応外...)
デジタルオーディオ出力 | USB2.0 オーディオ出力:PCM 768 kHz/32 bit、DSD256 同軸S/PDIF出力:PCM 192 kHz/24 bit AES/EBUオーディオ出力:PCM 192 kHz/24 bit | 接続端子 | USB:USB3.0×1、USB 2.0×1 LAN:Gigabit 10/100/1000M Wireless:Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac、2X2 MIMO with RSDB |
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Bluetoothコーデック | SBC | 内蔵ストレージ | 16 GB EMMCz |
サイズ | 270 x 150 x 50 mm | 重量 | 1.14㎏ |
【商品情報】Volumio Rivo
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今回は今までとは毛色が違うレビューでしたがいかがでしたでしょうか?
「ラズパイオーディオ」はマニア向けのイメージだったのですが、Volumioを触ってみて高い利便性と可能性を感じました。
すでにApple Musicではロスレス配信を開始していますが、これからはサブスクサービスもどんどん高音質化していくことが予想されます。しかし、どんなにデータが高音質になっても再生する機器のクオリティが低いと意味がないのはCD時代から変わりません。
「インスタントに曲を聴ける」と「高音質の感動」を両立したVolumio Rivoは、音楽をしっかり楽しみたい人の必須アイテムの先駆けになるかもしれないですね。