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2019.04.22
メーカー・プロインタビュー,

【スペシャルインタビュー】アーティスト2人が語る「TAGO STUDIO T3-01」の魅力とは?【AJURIKA・多胡邦夫】

【スペシャルインタビュー】アーティスト2人が語る「TAGO STUDIO T3-01」の魅力とは?【AJURIKA・多胡邦夫】

今回はT3-01の生みの親であり、ご自身もアーティストとして活躍されているTAGO STUDIO・多胡邦夫さんとAJURIKAさんのスペシャルインタビューをお届けします。

■この記事の監修
フジヤエービック(FUJIYA AVIC)
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TAGO STUDIO T3-01

TAGO STUDIO T3-01

2016年12月にフジヤエービックで試聴用デモ機を配備し、2017年1月よりメーカー直販での販売開始、2017年4月からフジヤエービックでも販売を開始した、ハンドメイドスタジオモニターヘッドホンTAGO STUDIO T3-01。発売当初からマニアの間では評価・人気とも高かったものの、やはり”知る人ぞ知る”という立ち位置のヘッドホンという感じでしたが、発売から2年を経過した2019年3月、突如として当店の週間売上ランキング・ヘッドホン部門で1位を獲得するという事件が発生。セール品になったわけでもない、発売から2年も経った製品がこれほど急に売れるのはフジヤエービックでも珍しく、これは裏になにかある…と調査を開始したところ、昨年末にこんなツイートをされた方が。

AJURIKA Twitter

AJURIKA Twitter

ゲーム・アニメファンにはおなじみの 作詞作曲家・AJURIKAさんが当店でT3-01を購入されている!
さらに

AJURIKA Twitter

ランキング1位になった前後でAJURIKAさんの新曲がゲーム実装・配信開始されてる!
そして

AJURIKA Twitter

T3-01をかなりお気に入りのご様子!
なるほど、たしかに店頭でも「AJURIKAさんと同じヘッドホンを」というリクエストをいただくことがありました。しかしこんなにもTwitter上でT3-01をアツく推していただいているのですから、これはもうご本人にお話をうかがわないともったいないのでは?!
…ということで、AJURIKAさんに直接インタビューさせて頂くことになりました!

さらに今回はT3-01の生みの親であり、ご自身もアーティストとして活躍されているTAGO STUDIO・多胡邦夫さんとの対談形式にてお送りいたします!

スペシャルインタビュー

AJURIKA :プロフィール

AJURIKA

フリーランスの音楽家。
バンダイナムコゲームス(現バンダイナムコエンターテインメント)にて鉄拳やリッジレーサー、アイドルマスター、塊魂などの有名ゲームタイトルの音楽を担当した後2013年に独立。
特に人気ゲーム「THE IDOLM@STER」(アイマス)シリーズにて作詞·作曲·編曲を手がけた楽曲は「Next Life」「Nation Blue」「Needle Light」など、曲名がすべてNで始まることからプロデューサー(アイマスファンの総称)には"Nの系譜"としておなじみ。

多胡邦夫 :プロフィール

多胡邦夫

作曲家·音楽プロデューサー / TAGO STUDIO TAKASAKI運営責任者
アメリカンロックに強く影響され、学生時代よりバンド活動を始める。群馬県で音楽を志す者の中では知らない者がいないと言われるほど、各コンテストを総ナメにし、更なるステップとして上京する。
ソロアーティストとしての修行をする傍ら、浜崎あゆみ、hitomi、Every Little Thing、柴咲コウ、AKB48等へ楽曲提供を行い数多くのヒットを飛ばす。
全国初の試みとなる群馬県高崎市のプロ専用レコーディングスタジオ「TAGO STUDIO TAKASAKI」の運営責任者として設置、運営に直接携わり、新たな才能の発掘、育成を行うとともに「高崎サウンド」の創造に尽力している。

フジヤエービック(以下「フ」):まずはAJURIKAさんにお聞きします。この「T3-01」というヘッドホンは結構マニアックな部類に入る製品だと思うのですが、どこでその存在を知られたのでしょう?

AJURIKA氏(以下「A」):初めて聴いたのは2018年末です。日本コロムビアさんの音楽プロデューサーの方に「ちょっとこれ聴いてみて下さい」と言われて聴いたところ度肝を抜かれまして(笑)、そのレコーディング翌日に「年末だから早くしないと買えないまま年を越してしまう!」とあわててフジヤエービックさんに買いに行きました。
音楽プロデューサーの方もT3-01には発売当初から目をつけていたそうで、2017年の始めにはもう購入されていたそうです。日本コロムビアのスタジオにも何本も用意されていましたね。

フ:多胡さんはそのお話、ご存知でしたか?

多胡邦夫氏(以下「多」):いや、まったく知りませんでした。レコーディングエンジニアの方が個人的に使っているという話はいくつか聞いていたんですが、スタジオで使われているということはまったく。
しかも2017年の始めというとまだ一般販売していない、ウチ(TAGO STUDIO)の直販サイトでしか販売していない頃ですよ。そんなに早い頃から!
それもあって、日本コロムビアさんのCDで、アーティストさんがスタジオでT3-01を装着している写真というのを見た時は驚きました。
(註:CD「 THE IDOLM@STER STATION!!! Long Travel~BEST OF THE IDOLM@STER STATION!!!~ 」のブックレット内に声優の沼倉愛美さん、原由実さん、浅倉杏美さんが揃ってT3-01を装着している写真が収録されている)
僕の友人にスタジオを持っていて、T3-01を何台か使っている人がいたので、「なんで3台も写真に写っているんだ?!もしかしてスタジオを撮影用に貸した?」とその人に聞いたくらい(笑)。

フ:T3-01は比較的柔らかめの音かと思うのですが、いわゆる打ち込み系の楽曲を作られるAJURIKAさんが使われるというのはちょっと意外でした。

A:いえいえ、この解像度の高さが僕の楽曲に非常に合うんですよ。
他のヘッドホンではちょっとない、「遠い音はしっかり遠く、近い音はしっかり近く」に、定位感と立体感を持って聴こえるんですね。それこそスピーカーで聴いているような感覚です。
なおかつ、T3-01はモニターヘッドホンのように音の細部を聴きこむのも得意なので、自分の曲、自分の耳には合ってるなあと思いました。
それから、海外のダンスミュージックもめちゃくちゃ良く鳴るんですよ!
リスニング用途としても本当に使えますね。

多:今のお話を聞いてうれしいなと思ったのが、元々開発時の大きなコンセプトとして「スピーカーで聴いてるようなナチュラルサウンドを開放型でなく密閉型で表現できないか」というものがあったんですね。
もうひとつ、モニターヘッドホンとかリスナーヘッドホンとか分かれていること自体どうなんだろう?という疑問があって。
これまでのモニターヘッドホンって「音を分析的に聴くにはいいけど、普段コレでは音楽は聴かないよね」というものが多くて。エンジニアやミュージシャンが作った感動的な音バランスがそのまま鳴るようにヘッドホンを追及できないか、と思っていました。
エモーショナルに音楽を聴くこと、解像度や立体感で興奮するような音体験ができること、この2つの両立は下手をしたらどっちつかずになっちゃう危険性もあったんですが、そこを求めてT3-01を作りました。

左:多胡邦夫 右:AJURIKA

音楽製作をしていても、そういう音の方がテンションも気持ちも保てる。単純に音のバランスをとるだけのヘッドホンではテンションが上がらないんですよ。曲を作っていながら自分の気分も上がるし音のバランスも適正に取れる、そんな目指した部分をAJURIKAさんに感じ取っていただけてうれしいです。
僕はアコースティック楽器、特にギターなど弦楽器をやっているので、弦の揺れている感じとかシンバルの「シャーン」と揺れている音がしっかり聴き取れるようにT3-01を作ったんですね。
自分としては生楽器のリアリティ出して聴けることを突き詰めていたので、僕もフジヤさん同様、「デジタルバキバキのサウンドを作られている方がまたどうしてT3-01を?」と最初は意外に思ったんです。
そこでAJURIKAさんの曲を何曲か、自分でも聴いてみたんですよ。

A:ありがとうございます。

多:そうしたら、その気持ち良さが分かった。立体感と音の立ち上がりの良さ、定位がすごく気持ち良い。
そういう意味では、僕は生音を突き詰めてT3-01を作ったんですけど、もしかしたら生音とか打ち込みとかは関係なく、”良い音”はひとつにぶつかるんじゃないかと。

A:そうですね、普遍的というか。「なになに用」というのはないかもしれないですね。

多:「自然に聴ける」という意味ではいいところを突けたのかな、と思っています。

A:T3-01に関しては、音の遠近感とか立体感に加えて、例えばDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション。音楽楽曲製作ソフトウェアを指す)のプラグインの設定をちょっと変えたら、それがものすごくダイレクトに音として聴こえるんですね。単に音が近いというだけでなく、まるで虫眼鏡で覗いていじっているかのような感覚があるんです。それがうれしいですね。仕事の道具としても素晴らしいと思います。

多:おそらく仕事で音楽を作っている人の方がよりわかりやすいんだと思います。
例えば自分が音楽を楽しもうと思った時、「今日はちょっとテンションを上げたいな」と派手めな音のヘッドホンを使うのもアリだと思うんですよ。ただ、僕らの場合は製作でそれをやってしまうと、無意識にバランスをとってしまって逆に地味な音づくりになってしまう。
音楽を作っている人ほど、このT3-01の解像度とナチュラルさはありがたいんじゃないかなと思います。
実際、僕自身も身の回りにそういったヘッドホンがないのでT3-01を作ったんです。

A:実は僕、以前までスタジオ作業で使っていたヘッドホンって開放型だったんです。ところが昨年末にこのT3-01を聴いてみたら「あれ、密閉型なのに自分の開放型のヘッドホンより音場が広い!」と(笑)。これはちょっと驚きでした。

多:そうなんです、「密閉型だけど開放型のような音の広さ」と「開放型の音場の広さと密閉型の音の芯の出方」をミックスしていいとこどりできないか、という夢のような(笑)話からT3-01の開発は始まったんですけど。
やっぱり密閉型だと、どうしても低音のボワつきが出ちゃうんですね。疑似的な低音というか。
そこで何ヶ月も苦労したんですが、最終的に低域の音量を単純に上げるのではなく、空間を広げることでそこにある低音を見えるように、存在感を出すことで適正な音量で聴こえるように突き詰めました。
その部分もしっかり感じ取っていただけていたので、その…報われます!

T3-01製造担当(株)TOKUMI 小山氏:低音の再生については、本当に何回も何回も、カット&トライで追及していきました。
弊社はTAGO STUDIOさんのすぐ近くにあるので、ちょっと変えてはすぐ持っていく感じで。

多:相当ブラックでしたね(笑)。ウチの社員でもないのに、小山さんには夜中でも電話して「ここをこう」とかリクエストしたりして…結局T3-01の開発には2年弱くらいかかりました。さっきの低音の問題を解消するのに、予定より4ヶ月くらい伸びてしまっています。
これ、作曲される方には伝わると思うんですが、「曲ができました、他の人に聴いてもらっても『良い曲だね』と言ってもらえる、だけど自分の中では答えが見えないものの『もう1つ上に行けるはずだ』という感覚が残っている」という…そうしたことを繰り返して、締め切りほぼ当日に小山さんが持ってきた最終版を聴いた時に「うわ突き抜けた!コレだよコレ!」とようやく僕が胸を張って「世界最高の音ができた」と言えるヘッドホンができました。

A:わかります、僕もよく締め切り直前まで…(笑)。
最後の最後、本当に煮詰まっている段階でも、なにかをちょっと変えることでまったく違う完成度につながったりするんですよね。
それにしても、T3-01のようにほぼすべてが自然に、フラットに聴こえるヘッドホンってなかなかないですよね。だいたい低音を足している。

多:これは本当にないんですよ。音楽製作という意味では。
ボイストレーニングの先生からは「吐息レベルまで聴き取れるのでニュアンスが出しやすい」という評価もいただいていますね。ボーカリストの方にも多く使っていただいています。
ボーカルの表現にはすごくこだわりました。僕はボーカルのぼやーっとした感じが嫌で、歌はセンターに、しかも近くに感じたい、で、それを聴いて泣きたい、という。

A:いや、実際にT3-01で歌モノを聴いていると泣ける時がありますよね、本当に。グーッと来る時が。

多:うれしいです。僕はボーカリストの魂が降りかかってくるように聴きたい方なので、そこはすごくこだわりました。
ナチュラルで解像度があってフラットなのに、音楽的に感動できるというのはその歌の部分の要素が大きいのかなと思います。

A:SNSなどを見ていると、最近は自分のまわりにいる音楽を作っている人々にもT3-01が広がってきたなあ、と感じます。

多:皆さんのクチコミのおかげです(笑)。
T3-01を選べる人って、やっぱり自分の中で”良い音”がわかっている人だと思うんですよ。無名ブランドで、しかも製品第1弾。金額も安くはない。それでも買っていただける。
僕だってよく知らないジャンルのモノを買う時は、有名なブランドのものにしちゃいますもの。
そんな中で、音をよくわかって下さっている方に愛されているというのは本当にありがたいことです。

フ:音質面に続いて、物理的な面ではT3-01の魅力ってどんなところでしょう?

A:一番はやっぱりこの”木”(国産の楓材を使用したハウジング)ですよね。僕のメイン楽器はピアノなんですが、やっぱり音響機器って”木”だなあと思うんです。これもヘッドホンではあるんですが、この”木”のハウジングはデザインとしても機能としても大きなプラス要素だなと。

左:多胡邦夫 右:AJURIKA

多:TAGO STUDIOのスタジオ(群馬県高崎市に設立)のコンセプトが「自然な生音をナチュラルに」ということで、T3-01でも無垢の木を使いたいと考えていました。最初は木目が1つ1つ違ってしまうことが製品の見た目的にどうなのか?という不安もあったんですが、例えばギターなど楽器の世界では木目が違うのが当たり前なんですね。人間ひとりひとりの顔が違うように、ハウジングの木目も1つ1つ違うことで自分のT3-01がかわいくなるというか…

A:愛着が湧く!

多:そうです、そうです。たまにギターでいう「虎目」みたいなのも出てきますね。
このウッド部分は楓のムク材で、飛騨高山にあるオークヴィレッジさんで作っていただいていますが、しっかり統一感が出るように基本的に左右の模様は合うようにしています。

A:このイヤーパッドの布地も気持ちいいですよね。

多:これが低音をしっかり適正に出してくれるんです。T3-01の場合は合皮とかだとダメで。素材の組み合わせも何回も試しましたね。
ケーブルも現在のものよりもっと高価なものを試したことがありましたが、やっぱりダメで。「なんか高音がチリチリするんだけどなぜだろう?」といろいろチューニングしてみたところ、実はケーブルが原因だったという…レコーディング機材もそうですが、ただ高価なものを使えばいいというわけじゃないんだな、と改めて思いました。

A:アームの部分に金属が使われているのもいいですよね。質実剛健という感じで。ヘッドパッドのパーツなんかもボタンで取り外しできるんですよね。

多:そうです、仕事道具として使えて、消耗したら交換すればいい。

A:交換といえば、T3-01はケーブル交換ができますよね。
ケーブル交換してバランス駆動にした時の音がまた良いんですよ!世界が変わりました!
通常のシングルエンド駆動でも広い音空間がさらに広がるんですよ。これは異次元だなあ!と。それ以来すっかりバランス駆動派です。
たまにシングルエンド駆動に戻すんですけど、あーもう戻れないなあ、って(笑)。
僕がこのことをツイートした時にも「バランス駆動で聴いたことない」っていう声が多かったので、これはぜひ聴いてみてほしいですね。

多:僕もだいたいバランス駆動です。T3-01の開発中からバランス駆動は想定していたんですが、なにせ当時は「本当に売れるのか?」という不安もあったので(笑)、ある程度受け入れられたらすぐにバランスケーブルを出そうと思っていました。

フ:AJURIKAさんはT3-01を普段使っていて、「ここがもうちょっとこうだったら…」というようなところはありますか?

A:いいんですか?実はぜひともココをというところが…このケーブルのY字分岐のところですが、このパーツが四角いのでテーブルの角にひっかかることがありまして…(笑)。ちょっと立とうかと思ったら「ガクッ」って。

AJURIKAさんご指摘の「Y字分岐のパーツ」
AJURIKAさんご指摘の「Y字分岐のパーツ」

あとは、以前使っていたヘッドホンが「ヘッドバンドの横で支える」タイプだったので、そんな感じのオプションパーツとかあるとうれしいな、と。
それから…たまに接続機器の都合でケーブルを自作することがあるんですが、このT3-01側のプラグがちょっと特殊なので、この端子だけ売ってもらえると助かりますね。

同じくAJURIKAさんご指摘の「プラグ」。ちょっと奥まっている。
同じくAJURIKAさんご指摘の「プラグ」。ちょっと奥まっている。

多:これは本当にヘビーユーザーさんのご意見ですね(笑)。今後の参考にさせていただきます。

フ:それでは、このT3-01でAJURIKAさんの楽曲を聴くならここがポイント!というところをご本人からぜひおうかがいできればと思うのですが。
一応こちらでAJURIKAさんの楽曲を何曲かプレイヤーに用意してきました。

A:じゃあやっぱり(T3-01で製作を行った)「Needle Light」から。
「Needle Light (M@STER VERSION)」は各音楽配信サイトにて配信中。

しばらくの間、A&ultima SP1000M Onyx Black(バランス接続)で「Needle Light (M@STER VERSION)」を聴き込むAJURIKAさん
しばらくの間、A&ultima SP1000M Onyx Black(バランス接続)で「Needle Light (M@STER VERSION)」を聴き込むAJURIKAさん

…オススメはボーカルの出だし(00:27)ですね!「Needle Light」はイントロが始まって、ボーカルが入っていくところでリード音が遠くにバーンと消えていくんですけど、このリードの消え際とボーカルが入ってくるところが。
すごくマニアックですけど(笑)ここが一番のポイントです。
(他にもさまざまなAJURIKAさん作の楽曲を聴いていただきました)
いやー、昔作った曲をT3-01で聴くと「今の技術で作り直したいなあ」と。低音、今より少ないんですよね。
今聴くと「あー、もっと直したいなあ」って思っちゃいました。
なので、どちらかというと最近の曲を聴いていただいた方がいいかなあ(笑)。
例えば少し前に僕がリミックスした「輝く世界の魔法 -Magical Step Forward Remix」(CD「 THE IDOLM@STER CINDERELLA GIRLS STARLIGHT MASTER 24 Trinity Field 」収録)では、01:20あたりの、ドラムがドン!と入ってくるあたりもいいですね。


こうやって改めてT3-01で昔の曲を聴いてみると、なんというか”4Kテレビで昔のDVDを見ている”感じですね。
今このT3-01で表現するとすごく大きな音世界が作れるんですけど、昔の曲だとこじんまりとしている印象があります。

多:よくミュージシャンから言われるのが「T3-01で良いミックスの音を聴くとすごくいいんだけど、ちょっと失敗したなあ…という曲を聴くとすぐ穴が見つかっちゃってヘコむ」と。

左:多胡邦夫 右:AJURIKA

A:(しみじみと)ああ、それはありますね…本当にあります。
デジタル機器って1年ごとに次々と良いものが出てくるんですが、アナログ機器って今ではそんなに技術革新もないのでそうそう新規に良いものが出てこない。そこにこのT3-01が出てきたのは奇跡的だなあと思います。
今年に入ってからはずっとこのT3-01を使って楽曲を作っているので、また僕の音の傾向が変わってきているんですね。その辺も今後は期待していただければと…。
例えばボーカルを録っていて、録音したマイクのハウジングで共鳴した音がミックスの時にわかるんですよ。さらにまた違う世界が見えてきたな、って。

フ:多胡さんからAJURIKAさんに何かお聞きしたいことは?

多:いや、もう本当に「こんなに使い込んでいただいてありがとうございます」としか言えませんね。
実はAJURIKAさんがツイッターでつぶやいているのを見ていて、僕がすごくうれしかったのは、こちらがT3-01を作っている時に目指していたポイントをひとつひとつ、まるで最初から知っていたかのように的確に表現して下さっていたんですよ。あんなに的確な表現をしていただけて…と思わずお礼のツイートをしてしまったくらい。
特にすごいなと思ったのが、こちらが言葉や文章にしていたわけでもないことを、音を聴いただけで感じ取ってくれたということ。「ああ、やっぱり伝わる人には伝わるんだな」と、本当にうれしかったですね。
あの開発中の苦しかった日々が報われた思いです…今日は良いお酒が飲めます!

A:今後はこのT3-01をぜひ海外にも広げていただきたいですね!

多:ありがとうございます!
僕としてはT3-01開発中のテーマのひとつに「本当に良い音で聴いた時の感動を味わってほしい」というものがありました。
最近は海外・国内ともスマホなどで音楽の聴き方が変わってきていて、なかなかスピーカーで音楽を、という環境も難しいので、こうしたヘッドホンやイヤホンが良い音楽に触れる最後の砦だと思うんです。
モニターヘッドホンというと「プロが使うものでしょ」というように捉えられがちですが、普通に音楽を楽しみたい方はもちろん、音楽を作るプロを目指している若い方たちにも高価なスピーカーや住環境をそろえなくても、T3-01のように適正に鳴るヘッドホンがあればミックスまで普通にこなせるバランスの良い環境が手に入りますよ、と伝えたいですね。

A:T3-01はリスニング的に聴いても良し、モニター的に聴いても良しで、自分の意識を向けたところの音がすごくクッキリハッキリ見えるので、本当に素晴らしいヘッドホンだと思います。
あとは…このT3-01がなくなっちゃうと僕、本当に困るので、どんどん売れていただいて「ヘッドホンの定番機」として、もしいつか壊れてしまってもすぐ手に入る、くらいのモデルになってほしいです。

多:頑張ります!

フ:AJURIKAさん、多胡さん、本日はお忙しい中ありがとうございました!

左:多胡邦夫 右:AJURIKA

TAGO STUDIOは4/27(土)·28(日)開催の「 春のヘッドフォン祭2019 」にも、出展!これまでT3-01を聴いたことがない方も、すでにお持ちの方も当日はぜひTAGO STUDIOブース(中野サンプラザ15F エトワールルーム内)にお立ち寄り下さい!
多胡さんによると 当日はなにやら面白そうな展示物が …?!

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