エントリーからフラッグシップモデルまで、こだわりのセラミックツイーター技術「VST」を搭載したイヤホンが幅広い人気を獲得している国内メーカー・intime(アンティーム)。今回は昨年発売されたモデルの進化版「碧 (SORA) Ti3 Edition2」3タイプをご紹介します。
フランス語で「親しみ」「親密さ」といった意味を持つ"intime(アンティーム)"は2016年に設立された日本のブランドです。大手金属メーカー・電子部品メーカーで長年にわたり電子セラミックデバイスの開発に携わってきた創設者・渡部嘉之氏が、その技術をイヤホンづくりに活用。一番の特徴となるセラミックツイーター・Vertical Support Tweeter (VST)は同ブランドの最上位モデル・翔はもちろんのこと、最も安価なエントリーモデル・碧 (SORA) Light 2019Editionに至るまで、すべてのモデルで採用されている自慢の技術です。
そのintime(アンティーム)から新製品が、しかもプラグ別に3タイプ同時発売!その名も「碧 (SORA) Ti3 Edition2」!
ん?"Edition2"?ということは…そうです、こちらは昨年2月末に数量限定で発売され、あっという間に完売→特別に追加生産を実施した、という「碧 (SORA) -Ti3 Balanced-2.5」と「碧 (SORA) -Ti3 Balanced-4.4」のリニューアルモデル!
なーんだ単なるモデルチェンジか…と思った方、ちょっと待った!今回はその「モデルチェンジ」に秘められた変更点をご紹介しながら、旧・碧 (SORA) -Ti3 Balanced(以下「旧Ti3」)から碧 (SORA) Ti3 Edition2(以下「Edition2」)がいったいどんな変身を遂げたのかレビューしていきたいと思います。
ではまずパッケージ内容から見ていきましょう。旧Ti3からの変化としては外箱の「EDITION II」と、特徴的な三角形の本革ケースの色が黒からブラウンになった、それから耳掛け時に使用する「イヤーフック」が添付しなくなった、というあたりでしょうか。このへんはまだまだ小さな変化といえます。
続いてイヤホン本体の外観をチェック…といきたいところですが、正直なお話をするとハウジング部分を見てもまったく区別がつきません。旧Ti3と同じチタン合金のまるまるとしたハウジングです。どうやら内部構造はEdition2でかなり見直しを図ったそうですが、見た目的にはやっぱり変化なし。それでもよくよくイヤホン全体を観察すると…あれ、2.5mm/4.4mmモデルのケーブルがなんだかちょっと違う?!
この写真でご確認いただけるでしょうか、旧Ti3(写真上)の2.5mm/4.4mmモデルのケーブルには縦に溝が刻まれているのに対し、Edition2(写真下)はそうした加工がないツルツルの状態。また、いわゆるY字分岐のパーツ形状も変わっています。実は2.5mm/4.4mmモデルのケーブルで変わったのは外見だけでなく、中身も日本ディックス社製の線材に変更(旧Ti3の3.5mmモデルだけは元々日本ディックス社製)。さらにプラグも新旧で見比べてみると…
写真上が旧Ti3の2.5mm・4.4mmプラグ、写真下がEdition2の2.5mm・4.4mmプラグ。こちらも若干ですが形状が変わっています…が、変わったのはそれだけではありません、より信頼性の高いパーツを使いたい、というintime(アンティーム)の思いから、
2.5mmバランスモデルと3.5mmアンバランスモデルは日本ディックス社製・L型プラグ、
4.4mmバランスモデルは日本ディックス社製・L型Pentaconnプラグ
をそれぞれ採用!
ぱっと見ではなかなかわからない部分にも、しっかりと音質追及のためのこだわりが隠されています。
なお、プラグパーツ以外の見た目の違いについては2.5mm・4.4mmバランスモデルでのお話となり、3.5mmアンバランスモデルでは同じケーブルを採用しているため見た目での区別が非常に難しくなっています。唯一の見た目の違いは「ステムのメッシュフィルターの色」で、ここがシルバーであれば旧Ti3、黒であればEdition2となります。
それではいよいよ音質の違いを聴き比べてみます。intime(アンティーム)製品に搭載されているセラミックツイーター・VSTはパキッとした高域が特徴ですが、今回のEdition2では「第三世代VST2」が採用されています(旧Ti3は「第二世代VST2」を採用)。この「第三世代VST2」はフラッグシップモデル・翔で使われているものと同じで、第二世代に比べより自然に近い音場の再生が可能とのこと。といわれてもあまりピンときませんが、実際に聴いてみると「ああ、このことか!」と納得するくらいの変化がありました。
まず音場の広がりが大きく異なります。旧Ti3は左右には広いものの上下方向はあまり広さを感じませんでしたが、Edition2では上下左右の広がりが感じられ「音に包まれている感覚」が強くなっています。また、音の濃さ・密度もEdition2になって一層増しているようです。旧Ti3があっさり目でクールな鳴らし方であるのに対し、Edition2は音場の変化に加え低域の量感・質感がアップしたことでエネルギッシュな鳴らし方に。逆に、VSTの特徴である高域はEdition2では若干先端が丸くなったような印象で、刺激は少なめになっているように感じます。鋭角な高域は聴いていて楽しいところもあるのですが、時にはその部分のみが強調されてしまうので今回のEdition2が目指した「自然に近い音場」にはこの"先端が丸い高域"の方が合っているのかも知れません。
また、今回のEdition2はプラグ別に3モデルが用意されているのですが、そのうち一番大きな変身を遂げているのは3.5mmアンバランスモデルでした。
旧Ti3ではアンバランスモデルとバランスモデルとでそれなりに音質差があり、やはりバランス接続の方が音には有利なんだなあ…と思わせるところがありましたが、Edition2の3.5mmアンバランスモデルではその差がかなり小さくなっている印象。特に旧Ti3では音場の広さにその差が表れていましたが、Edition2ではアンバランスモデルでもバランスモデルとほぼ同等の音場表現がされています。低域の量感などはさすがにバランスモデルの方がしっかりと出ている感じではありますが、前述の通り全体的な音の濃さが増していることもあるため曲によってはもう少しあっさり聴きたい…という場合があるかも知れません。そうした時には3.5mmアンバランスモデルの方が適しているように思います。
形式 |
ハイレゾ対応カナル型イヤホン |
---|---|
ドライバー |
ハイブリッド型 |
音圧レベル |
100dB/mW |
再生周波数帯域 |
10Hz~55kHz |
インピーダンス |
22Ω |
筐体素材 |
チタン合金 |
ケーブル |
日本ディックス社製ハイブリッドケーブル |
プラグ |
・3.5mmアンバランス日本ディックス社製 L型Type |
イヤピース |
Acoustune社製 AET07(S、M-、M、L) |
付属品 |
本革ケース、イヤホンポーチ |
われわれのような販売店が新製品をご紹介する場合、製品の見た目が変わっていると特にお伝えしやすいのですが、今回の「碧 (SORA) Ti3 Edition2」はその意味ではレビュアー泣かせな製品ともいえます。ですが、そこはさすが独自技術であるVSTに自信を持っているintime(アンティーム)。外見上の違いは大きくなくてもその音を聴いてみれば一聴瞭然、オリジナリティを確立したうえでイヤホンとしても確実に進化していることがおわかりいただけるのではないでしょうか。「碧 (SORA) Ti3 Edition2」3タイプは本日4月1日よりご予約受付開始、試聴機も店頭にご用意致しました。発売は4月11日(日)予定です。お手持ちのプレイヤーにあわせ、各タイプの音をご確認下さい。