アコースティックリバイブ社新ヘッドホンケーブル "RHC-TripleC-FM" シリーズ の、気鋭の社外レビュワーさんによる集中レビューを掲載。第4弾をお送りいたします。
使用音源 いずれもハイレゾ音源です。
ハイレゾ音源を入れたPCからソフトウェアは VLC media player で再生、USBでDACとヘッドフォンアンプに接続して試聴しています。 USB D/Aコンバーター: FURUTECH ADL GT40α ヘッドフォンアンプ: BLOSSOM BLO-3090
電源タップに ACOUSTIC REVIVE YTP-4R 、電源ケーブルもアコースティックリバイブの製品で。 USBケーブル、インターコネクト(ライン)ケーブルもアコリバ!夢のような環境です。
普通のタップやケーブルを使っているのとでは、音が明らかに違います。
オーディオは本質的には聴く行為ではなく、「感じる」という行為
音は、どのくらいの距離で、どの方向から、何がどんな様子なのかを教えてくれます。
そして、その音が人の声である時、人が奏でている音である時、その人自身のエネルギーや熱量も自然と空気中に放出され、伝達され(記録され)、私たちは知らぬ間にそれを受け取っています。
人が音楽を聴いて「良い音」だと感じるのは、もはや「耳で聴いている」というより、「身体で感じている」という状態であって、それは聴覚的によく聴こえるという状態を超えた、心を震撼させるバイブレーションを身体で感じている状態のことを言うのだと思います。
そしてそれが、言葉にならない圧倒的な体験になります。
だからこそ、最も良い音の基準値というのは、よく聴こえるかどうか、論理的、技術的どうであるかのその先に、体感的に自分が「気持ちいい」「心地良い」と感じるかどうかなんだと思います。
だから私は、極論、世の中に共通する「良い音」なんてないと思っています。
最近ではあらゆるところで「良い音」「高音質」と宣伝しているけれど、オーディオは、「楽曲」と「オーディオ機器」の組み合わせでもあるし、「音質」と「あなた」の組み合わせでもある。
無限にある組み合わせやスタイルから、個人の気持ち良さを追求していく中で、万人受けする音なんて存在しない。
だからこそオーディオは面白いし、終わらないし(笑) でも唯一、その世界共通の「良い音」が存在するならば、それは究極のリアリティなのかもしれません。
色気や感情までも、届けるケーブル
今までたくさんの音を体験させていただきましたが、ヘッドフォンのリケーブルだけをここまでしっかり比較試聴させていただいたのは、実は今回が初めてでした。
アコースティックリバイブさんの計8本のケーブルを試聴し終えて感じたことは、とてもシンプルでした。
思考を紛らわせてくれるような過剰な音の派手さや、飾りたてた華やかさを付け加えることとは真逆で、ヘッドフォンの個性を伸ばすというよりは、それが持つポテンシャルを最大限活かして、リアリティのある音へと洗練させていく、という姿勢を印象強く受けました。
現状でそれなりに満足していたはずの個性あるヘッドフォンたちですが、オリジナルケーブルをリケーブル、そしてバランス型と変えていくほどに、澄んでいく空気感、過剰な演出から飾らない音へ、色気や人肌を思わせてくれるヴォーカル、エモーショナルなエネルギーを持つ音へ… まるで音の1つ1つが本来あるべき姿へと戻っていくような感覚。
洗練されていく音が感じさせるそれは、バイブレーションとして人の深いところまで浸透して、音の向こう側の世界を勝手に私の頭の中で組み立てていく。
「音だけで作られたこの世界が、もしかしたら本物かもしれない」と、身体が錯覚してしまうような、そんな圧倒的な体験ができました。
今回の体験で『唯一、世界共通の「良い音」が存在するならば、それは究極のリアリティだ。』と、音の変化を通じて改めて実感しました。
アコースティックリバイブさんが目指している音は、まさにリアリティそのものじゃないかなと、そう思わせてくれる素敵なケーブルたちでした。 素敵な音を体験できる機会を与えていただいたことに、感謝しています。
ありがとうございました。
福島花乃:2010年より「オーディオ女子」「ヘッドフォン女子」の草分け的存在として活動し、「ヘッドフォン祭」にもモデル兼プレゼンターとしてたびたび出演。その後オーディオライターに転身、関連イベントの司会やオーディオ体験イベント等を手掛ける。オーディオ専門誌を始め、J-WAVE レイチェル・チャン「SMILE ON SUNDAY」、アンジャッシュ渡部建「GOLD RUSH」、DJ TARO「HELLO WORLD」などのラジオ出演、毎日新聞、日経ビジネス(デジタル版)等、各種メディアに掲載。