THIEAUDIO（セーオーディオ）は中国・深圳（しんせん）市のオーディオショップであるLinSoul Audioが、「クリエイティブな試み」として2019年に発足させたイヤホンブランドです。プロジェクトごとにその分野でもっとも革新的で有名なエンジニアを厳選し、製品のデザイン・エンジニアリング・製造を行っています。

THIEAUDIOから、本日2つの新型イヤホンが発売開始！新開発の3次元ベロシティ・トランスデューサーを搭載した「Elixir（エリクサー）」と、静電型・BA・ダイナミックの3種類のドライバーを搭載した「Monarch MKII（モナーク・マーク・ツー）」です！

今回はこちらの「Elixir」および「Monarch MKII」について、その詳細と音質レビューをお届けしたいと思います。

まずはこちら、ダイナミックドライバー1基を搭載した「Elixir」のご紹介です。ベリリウムコーティングされた多層カーボンナノチューブシートで構成する「3次元ベロシティ・トランスデューサー」の振動板は非常に緻密で硬く、応答性の高いものとなっています。

Elixirのパッケージ内容はイヤホン本体およびケーブル、シリコン製およびフォーム製のイヤーピース（各3サイズ）にキャリングケース、それにシールタイプのノズルフィルターが3種類付属しています。

Elixirのフェイスプレート部は木材を削り出したのちにコーティングを施したもので、個体により木目や模様が異なります。今回のサンプルも一見真っ黒のように見えますが、上の写真と見比べると光の当たり具合で木目が浮き出てくるのがお分かりいただけるのではないでしょうか。

Elixirのケーブルは0.78mm径の2pinコネクタを採用しています。なお、ケーブルは非常に柔らかく取り回しの良い、92本の0.06mm単結晶銅と24本の0.06mm銀メッキOCC銅の高品質2芯リッツ・アップグレード・ケーブルとなっています。

Elixirのステム（軸）は標準的なサイズとなっているため、付属品以外のイヤーピースも取り付けやすいかと思います。

それではElixirの音質はどうでしょうか。今回はプレイヤーにAstell&Kern KANN ALPHAを使用して試聴しました。

ベリリウムコーティングによる音のシャープさ、スピード感は持ちつつも、高域の刺激のない落ち着いたトーンで聴きやすいバランスのサウンドです。

ビシッと締まったタイトな低域と、歯切れの良い中域とが組み合わさることで全体的には硬質な音であるものの、高域が丁寧に先端を丸めたかのようなソフトな耳当たりになっているせいかあまり無機質な印象はありません。ジャンルを選ばず使うことのできるチューニングに仕上がっているイヤホンです。

続いてはこちら、静電型2基・BA6基・ダイナミック1基と3種類・計9基ものドライバーを搭載した「Monarch MKII」のご紹介です。MKII、ということはもちろん初代が存在したわけですが、そちらは残念ながら国内未発売のまま生産完了となった幻のモデルでした。今回のMonarch MKIIは、その初代Monarchを改良した「究極のMonarch（帝王）」となります。

Monarch MKIIのパッケージ内容はイヤホン本体およびケーブル、シリコン製およびフォーム製のイヤーピース（各3サイズ）にキャリングケース、クリーニングクロス、交換用の2.5mmおよび4.4mmバランスプラグとなっています。

Monarch MKIIのフェイスプレート部はオレンジとグレーのラメを混ぜ合わせた、まるで大地に流れ込んだ溶岩のような複雑な模様を描いています。

内蔵するドライバーのうち、ダイナミックドライバーは新開発の10mm径コンポジットダイアフラムドライバーとなっています。振動膜の張力と磁石の強度が飛躍的に向上したことで、極めて高い応答性を実現したとのことです。

このダイナミックドライバーと2基のBAドライバーとで低域の再生を行うことで、初代Monarchで指摘されていた「低域過多」という問題をクリアしつつ、中域・高域に影響のない適切なレベルの低域表現が可能となっています。

Monarch MKIIもElixir同様、0.78mm径の2pinコネクタを採用しています。ケーブルは超高純度銀メッキ26AWG OCC銅リッツ線を採用、編み込みのため若干太くはなっていますが柔らかく取り回しも良好です。

プラグはTHIEAUDIO独自の「スマートスイッチ」機構を搭載し、2.5mmバランス/3.5mmシングルエンド/4.4mmバランスの3種類の端子に交換可能となっています。交換時はまっすぐプラグを引き抜くイメージですが、ケーブル側のつかむ部分が小さいため慣れるまではちょっと手間取るかも知れません。

Monarch MKIIのステム（軸）も標準的なサイズですので、付属品以外のイヤーピースも取り付けやすいかと思います。

それではMonarch MKIIの音質もチェックしてみます。こちらもKANN ALPHAでの試聴ですが、せっかくなのでプラグを4.4mmバランスに差し替えての試聴としてみました。

こちらも全体的に落ち着いたトーンの音色ですが、Elixirと比較するとさらに高域の伸びが加わり、一方で低域にも量感と重さ・深みが増したことで表現力が格段にアップした印象を受けました。音場もより立体的に広がり、各楽器の位置関係や動きが一層際立って聴こえてきます。

中域はスッキリ目ながらやや艶のあるイメージで、低域に埋もれることもなく明瞭に耳に届くことから、初代Monarchにおける課題点はしっかりとクリアされたようです。

なお、静電型ドライバーを搭載しているモデルではありますが、ボリュームは比較的取りやすい機種となっています。

クリエイティブであることを目標に掲げるTHIEAUDIOの「Elixir」「Monarch MKII」は
・「3次元ベロシティ・トランスデューサー」(Elixir)やコンポジットダイアフラムドライバー(Monarch MKII)の搭載で応答性の高さを重視
・全体的に落ち着いたトーンの聴きやすいサウンドバランス
・上記の共通点は持ちつつも、”シャープで歯切れ良いElixir”に”深い低域と立体感のMonarch MKII”とモデルごとの個性もしっかり確立
THIEAUDIOというブランドの考える「理想の音」が明確に体現されたイヤホンではないでしょうか。THIEAUDIIO ElixirおよびMonarch MKIIは本日より発売開始、もちろん店頭には試聴機もご用意しましたので、ぜひ一度お試し下さい。