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2022.12.09
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YAMAHA YH-5000SE レビュー 46年ぶりに蘇った「ヤマハのオルソダイナミック」最新ヘッドホン!

YAMAHA YH-5000SE
YAMAHA YH-5000SE
知る人ぞ知る「ヤマハのオルソダイナミック」が46年ぶりに大復活しました。メーカー初となるハイクラス平面駆動式開放型ヘッドホン「YH-5000SE」について、詳細と音質レビューをお届けします。

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YAMAHAとは

YAMAHA(ヤマハ)は1897年(明治30年)創業の音響機器メーカーです。日本で初めて本格的オルガンの製造に成功したことで知られる山葉寅楠(やまは とらくす)氏が創設、代名詞であるピアノをはじめとした各種楽器やオーディオ機器の製造はもちろん、インターネットルーターなどのネットワーク機器やゴルフ用品といったものまで手掛ける、世界的にも幅広く知られる日本企業です。

ヤマハの手掛ける製品の画像
ヤマハの手掛ける製品群(ヤマハサイトより)

そんな125年もの歴史をもつヤマハですが、実はヘッドホンも早くから開発・製造してきたメーカーでもあります。

特に今も語り継がれるのが、1976年に発売されたオルソダイナミック型ヘッドホン「HP-1」です。下位モデル「HP-2」とともにイタリアの著名なデザイナーであるマリオ・ベリーニ氏によってデザインされた美しいフォルムと、40年以上前に「HP-1/HP-2によってヘッドホンは単なるアクセサリーを脱して真実のハイフィデリティに到達し本物のコンポーネントになります(発売当時のカタログより抜粋)」という謳い文句のもと、11,000円と当時としては高額なヘッドホンを生み出していたことに驚かされます。

1976年発売のオルソダイナミック型ヘッドホンHP-1の画像
1976年発売のオルソダイナミック型ヘッドホン「HP-1」(当時のカタログより)

しかしオルソダイナミック方式は当時から製造難度もコストも高かったためか、その後ヤマハはぱったりとこの方式を採用したヘッドホンの製造をやめてしまいました。

…が、この2022年冬、令和に”ヤマハのオルソダイナミック”が大復活をとげます!その名は「YH-5000SE」、堂々のハイクラスヘッドホンとして登場です!

YAMAHA YH-5000SEの画像
YH-5000SE

今回はこのYH-5000SEについて、詳細と音質について詳しくお届けいたします。

YH-5000SEの外観と特徴

ドライバーユニット

さて、まずはここまで何度も出てきた「オルソダイナミック方式」とはなにか?について簡単にご説明したいと思います。ダイアフラム(振動板)に直接ボイスコイルを貼り付け、それを2枚のマグネットで挟み込んで駆動させることでダイアフラム全体を均一に振動させる方式がオルソダイナミック方式となります。

「あれ、それって…」と思った方はするどい!実はこの方式、現代では”平面駆動方式”として知られているものと同一なのです。ヘッドホン界ではここ5年ほどで急速に採用例が増えた平面駆動方式ですが、ヤマハはすでに40年以上前からその利点を活かした製品を生み出していたのですね。

HP-1/2のドライバーユニット破断図の画像
HP-1/2のドライバーユニット破断図(当時のカタログより)

そしてもちろん、今回発売を迎えるYH-5000SEにもHP-1で用いられていた技術がさらに進化して採用されています。たとえば、こちらがYH-5000SEに搭載されているダイアフラムなのですが、同心円状にボイスコイルが形成されている様子は上記HP-1/2の図とまったく同じであることがわかります。

YH-5000SE搭載のダイアフラムの画像
YH-5000SE搭載のダイアフラム

同梱物

と、前置きはこのくらいにして、改めましてこちらがヤマハの最新オルソダイナミックドライバー搭載ヘッドホン「YH-5000SE」です!

同梱物はアンバランスケーブル(3.5mm端子・2m)、バランスケーブル(4.4mm端子・2m)、6.3mm変換アダプター、イヤーパッド(レザーおよびスエードの2タイプ)、ヘッドホンスタンド、マニュアル類となっています。

YH-5000SEのパッケージ内容の画像
YH-5000SEのパッケージ内容

デザイン

YH-5000SEの全体的なフォルムはかなりメカっぽいものの、ヘッドバンドの機構などにHP-1の影響が現れているように見えます。カラーリングはブラックで統一されている中、ケーブルコネクタの付け根にのみイエローのワンポイントが施されています。

YH-5000SEの全体画像
メカっぽいデザイン

ハウジング

音質と軽量化を両立させるためマグネシウムを採用したハウジングには、ダイアフラム上のボイスコイルを思わせる同心円がデザインされており、国産であることを示す「MADE IN JAPAN」、さらにこのYH-5000SEがHP-1からの流れをくむことを表す「ORTHODYNAMIC EST.1976」という文字が刻まれています。その中心にはヤマハを象徴するおなじみの「三音叉」マークが。

YH-5000SEのハウジング画像
YH-5000SEのハウジング

ヘッドバンド

ヘッドバンドにはほど良い側圧を生み出すステンレス鋼を採用、直接頭にあたるヘッドパッドは薄手ながらクッションが効いており、左右のスライダーで無段階調節が可能です。

YH-5000SEのヘッドバンドの画像
YH-5000SEのヘッドバンド

イヤーパッド

イヤーパッドはレザータイプとスエードタイプの2種類が付属しており、簡単に交換可能です。レザータイプは肌にあたる部分に羊革、外周に有孔合成レザーの2種類を組み合わせたハイブリッド構成。スエードタイプも高級車の内装に使用される東レ製”ウルトラスエード”を使用した、どちらも音質・装着感にこだわったものとなっています。

付属のイヤーパッド2タイプの画像
イヤーパッドはレザー・スエードの2タイプが付属

ケーブル

ケーブルは着脱式で、3.5mmアンバランス端子と4.4mmバランス端子の2種類が付属します。どちらも芯線には明瞭感ある中高域と表現豊かな低域を実現する銀コートOFC線を採用し、緻密に編み込むことで各信号の平行配置を避け、高純度な信号伝送と自然かつ空間的な広がりのある音の再現を可能にしているとのこと。

なお、後日とはなりますが、XLR4pinバランスケーブルの販売も予定されています。本体側の端子は3.5mmモノラルの両出しとなっています。

YAMAHA YH-5000SE付属ケーブルの画像
ケーブルは着脱式

パッケージにはアルミ切削加工による専用スタンドも付属しており、YH-5000SEを飾る楽しみもしっかりと味わえます。

YH-5000SEはこうしたこだわりのひとつひとつを高品質で実現するため、ドライバーの生産から全体の組み立てまでの全ての工程をヤマハ掛川工場で行っています。掛川工場はグランドピアノやオーディオのフラッグシップモデルの生産も手掛ける、いわばヤマハのもつ技術の粋を結集した工場です。

YH-5000SE付属のアルミ製専用スタンドの画像
付属のアルミ製専用スタンド

YH-5000SE音質レビュー

それではYH-5000の音質も確認していきましょう。試聴には当店試聴コーナー最高峰の組み合わせ
・MSB Technology Discrete DAC Plus
・MSB Technology PREMIER HEADPHONE AMPLIFIER
を用意してみました。

MSB Technology Discrete DAC Plus・PREMIER HEADPHONE AMPLIFIERとYH-5000SEを接続

YH-5000SEとMSBシステムの画像
YH-5000SEとMSBシステム

やや中低域が前に出る感じのサウンドバランスと、開放型としては意外なほど質感の重い芯のある低域が印象的です。音場はふわっと頭部の周辺に広がり、それぞれで展開される音の定位も安定していますがいわゆる分析的な細やかさではなく、非常になめらかでシルキーな音の階調をもっています。

ヤマハといえばやはり気になるのがピアノの音の表現ですが、弦を叩いた時の音の立ち上がり・立ち下りの様子だけでなく、鍵盤がぐっと押し込まれた様子も耳に生々しく届くのがわかります。上品でありつつも、しっかりと腰のすわったところを感じさせるヘッドホンです。

さて、ここでちょっとした比較試聴をしてみたいと思います。せっかくヤマハが46年ぶりにオルソダイナミック方式ヘッドホンを復活させてくれたので、これはぜひ「1976年のヤマハオルソvs2022年のヤマハオルソ」で聴き比べてみたい…と私物のHP-1を自宅から持ってきました!

1976年のヤマハオルソvs2022年のヤマハオルソ

YH-5000SEとHP-1の画像
YH-5000SEとHP-1

さすがに46年間の技術の進歩は大きく、単純に音質だけを比較してしまうと音の鮮度、解像感、ダイナミックレンジの広さなど多くの点でHP-1が不利となりますが(このHP-1の状態があまりよくないというところも大きいかと思います)、シルキーな音の階調といい実体感を感じさせるボーカルの表現といい、YH-5000SEとHP-1の音傾向が非常に似通っていることに気づきます。

YH-5000SEの開発スタッフの方は意外なほどお若い方で、当然ながらHP-1の音づくりにはかかわってはいません。それでもこうした音の共通点が見つかるということは、YH-5000SE開発陣はかなりHP-1を深いところまで研究して「ヤマハのオルソダイナミック」の音を現代に蘇らせようと努力したのではないでしょうか。

このように”46年差の比較試聴”ができるのも、ヤマハというメーカーがしっかりと技術を守り受け継いでくれたことによるもので、ヘッドホン好きのひとりとしては非常に嬉しくなるところです。

製品仕様

型式 オーバーイヤー/開放型 ドライバー 平面磁界型(オルソダイナミック™ドライバー)
ドライバー口径 50mm 再生周波数帯域 5Hz~70kHz
インピーダンス 34Ω 感度 98 dB/mW
ケーブル(長さ/形式) 約 2 m/着脱式 Y 型 質量 約 320g(ヘッドホンケーブルを除く)

【商品情報】YAMAHA YH-5000SE

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YAMAHA  YH-5000SE

まとめ

YAMAHA「YH-5000SE」は
・ヤマハとしては46年ぶりとなるオルソダイナミック方式ドライバーを採用
・2種類のイヤーパッド、編み込み式銀コートOFCケーブル、専用スタンドといったこだわりの付属品を同梱
・中低域が前に出るサウンドバランスと質感の重い芯のある低域に、非常になめらかでシルキーな音の階調

と、創業から120年以上の歴史をもつヤマハだからこそ可能となる「温故知新」を実現したハイクラス開放型ヘッドホンとなっています。

YH-5000は本日よりご予約受付を開始しましたが、ヤマハ掛川工場で職人が一台一台丁寧に組み立て作業を行っているため入荷数が非常に限られております。ご予約状況によってはお届けまでかなりお時間をいただく可能性もございますのでご了承ください。

また、そのため試聴機もご用意ができるまでしばらくお待ちいただくこととなります。こちらはご用意でき次第、フジヤエービックのツイッターでお知らせいたしますのでお楽しみに。

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