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2022.12.09
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OLLO Audio S5X レビュー 今注目の「イマーシブ」向けヘッドホン

OLLO Audio S5X の画像
クリエイターの間で人気のOLLO Audioから、イマーシブ・ミキシングのためのヘッドホン「S5X」が登場しました。今回はこのちょっと立体音響のレコーディング・再生におすすめの個性的な開放型ヘッドホンをレビューをまじえてご紹介します。

フジヤエービック店舗イメージ
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OLLO Audioとは

OLLO Audio(オーロオーディオ)は中央ヨーロッパに位置するスロベニア発のヘッドホンメーカーです。CEOであるロック・グリック氏が、ホーム・スタジオで自分自身のバンドの楽曲をミックスする際に市販品では適切な作業ができない、と理想のヘッドホン作成を開始したことからスタートしています。

2016年に作り上げたプロトタイプモデルが多くのサウンドエンジニアの間で話題となり、日本にも2020年末に開放型ヘッドホン「S4X」で市場デビュー。以来、密閉型ヘッドホン「S4R」、それらのバージョンアップモデルとなる「S4X 1.1A」「S4R 1.1A」などをリリースし、主にDTMや動画編集を行うユーザーの方から人気を集めるブランドとなっています。

密閉型モデル「S4R 1.1A」の画像
密閉型モデル「S4R 1.1A」

そのOLLO Audioから今度は”イマーシブ・ミキシングのために新開発されたモニターヘッドホン”が登場します!それがこちらの「S5X」です!

OLLO Audio S5Xの画像
OLLO Audio S5X

今回はこのS5Xについて、詳細および音質レビューをお届けします。

OLLO Audio S5Xの外観と特徴

まず「イマーシブ・ミキシング」ってなに?というところからお話したいと思います。イマーシブ(immersive)は「没入感のある」「実態感のある」という意味の形容詞で、いわゆる立体音響(3次元音響)向けのミックス処理を表します。

立体音響といえば映画館やホームシアターでおなじみの、スピーカーをユーザーの前後左右(あるいは上下にも)に設置するサラウンドシステムが有名ですが、実はヘッドホン・イヤホンの世界でもApple Musicが「空間オーディオ」として実装したり、ソニーの「360 Reality Audio」技術認定機器がさまざまなメーカーから発売されたりと、このところ注目度の高い技術なのです。

こちらがそのイマーシブ・ミキシングのために作られたヘッドホン「S5X」です!…といってもなにか特別な機械や仕掛けが施されているわけではなく、いたって普通の開放型ヘッドホンといった印象ですね。

OLLO Audio S5X全体の画像
見た目はいたって普通のヘッドホン

ハウジング

ハウジングの素材はアメリカンウォールナット製で、外径は95mmとS4X・S4R(90mm)より大きくなっています。◇型に開けられたグリルデザインが印象的です。

S5Xのハウジングの画像
S5Xのハウジング

ヘッドバンド

ヘッドバンドはステンレススチール製のフレームに人工皮革のバンドを組み合わせたシンプルな構成。長さ調節はロッドをスライドさせることで行います。

ヘッドバンドの画像
長さ調節はロッドをスライド

ハウジングの左右を示すマーキングはどこだろう…と思ったらヘッドバンドの左側にシリコン製のリボンが巻き付けてありました。なかなかデザイン面にも強いこだわりを持ったメーカーですね。

ヘッドバンド左側
左側のみに目印あり

イヤーパッド

イヤーパッドは人工皮革とベロアのハイブリッド構成で、厚みは20mmとクッション性は充分です。内径も57.5mmあるので耳をすっぽりと覆ってくれます。

S5Xイヤーパッドの画像
クッション性の高いイヤーパッド

ケーブル

ケーブルは両出しの2.5mmプラグを採用した着脱式となっていますが、ハウジング側のジャックが奥まった位置にあるためかなり細めの端子でないと刺さらないかと思われます。

S5Xケーブルの画像
ケーブルは両出しの2.5mmプラグを採用

プラグ

再生機器側のプラグは3.5mmで、6.3mmへの変換アダプタも付属しています。なお、S4X/S4Rがスマートフォンなどのデバイスでの利用を想定して低インピーダンス(32Ω)となっていたのに対し、こちらのS5Xは50Ωとオーディオインターフェースなどの出力の高い機器での使用を推奨しています。

S5Xプラグの画像
インピーダンスは50Ωと高め

OLLO Audio S5X音質レビュー

それではS5Xの音質を確認したいと思います。試聴にはTEACのUSB-DACつきヘッドホンアンプ「UD-505-X」を使用してみました。

TEAC UD-505-XとOLLO Audio S5Xを接続

S5XとUD-505-Xの画像
S5XとUD-505-X

「イマーシブ・ミキシングのためのヘッドホン」といっても、いわゆるリスニング用途での使用ももちろん問題ありません。ウォーム方向に振ったフラット目なサウンドで、音場は左右よりも前後・上下方向へやや広さを感じさせます。後ろへの音の回り込みもしっかりと表現されるあたりは、このS5Xならではのキャラクター性が発揮されているポイントではないでしょうか。特にS5Xで聴いていて面白かったのが、ASMR音源の再生です。虫が自分のまわりを飛び回る羽音、背後でドアがきしみながらゆっくり開かれる音などは、一般的なヘッドホン以上にぞわぞわとした感覚を味わえます。

ここで試しに、同じくOLLO Audioの人気開放型モデル「S4X 1.1A」と比較してみましょう。

奥:S4X 1.1A、手前:S5Xの画像
奥:S4X 1.1A、手前:S5X

音質面ではS4X 1.1Aの方が若干硬さを感じさせるほか、やはり音場の広がりに大きな差がみられます。S4X 1.1Aの音場表現は左右方向への広がりが増している分、前後方向はやや浅め。反対にS5Xは前述のとおり後ろ方向への回り込みも感じるなど、同じミキシングという目的のために作られたヘッドホンでありながら、目的地が異なるとこれほど音の表現も変わるのか、と驚かされます。

製品仕様

周波数レスポンス 15 Hz - 22 kHz sweep 1/3 oct p-p range (+/-1) 14.5 dBSPL、20 Hz - 20 kHz sweep 1/3 oct p-p range (+/-1) 12 dBSPL 感度 @ 0 dBu RMS 1 kHz produces (+/-1) 108 dBSPL、@ -23 dBu RMS 0.5-2kHz pink produces (+/-1) 85 dBSPL
インピーダンス +/ - 5% 50 Ohm 重量 414g

【商品情報】OLLO Audio S5X

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OLLO Audio S5X

まとめ

OLLO Audioの限定イヤホン「S5X」は
・立体音響向けのイマーシブ・ミキシング用に開発された開放型ヘッドホン
・シンプルな構造のヘッドバンドとクッション性の高いイヤーパッドで装着感良好
・特にASMR音源の再生で実力を発揮する、音の回り込みまで再現する音場表現

と、いま注目の立体音響のレコーディングおよび再生に最適な、非常にユニークなヘッドホンとなっております。

S5Xは本日より発売開始、試聴機も店頭展示しておりますので、普通のヘッドホンではなかなか味わえないこの独特の音場感をぜひASMR音源などでお試しください。