Astell&Kern AURAのオーディオ専門店スタッフレビューです。片側11ドライバー搭載で明るめな音色と豊かな表現が特徴のVision Earsとアステルアンドケルンのコラボから生まれた全世界650台限定イヤホンAURAを詳しく紹介します。
目次
Astell&Kernのコラボイヤホンとは
Astell&Kern × Vision Ears AURA の外観と特徴
Astell&Kern × Vision Ears AURAの音質レビュー
製品仕様
まとめ
設立から10年を経て、今なおデジタルオーディオプレーヤー(DAP)のトップランナーとしてさまざまな製品を送り出しているのが韓国のオーディオブランド・Astell&Kern(アステルアンドケルン、以下AK)です。そのラインナップはDAPだけに限らず、小型USB-DACやポータブルアンプなど実にさまざま。その中でもリリースのたびに注目を集めているのが、世界の各実力派イヤホンメーカーとのコラボイヤホンです。昨年末にはアメリカのカスタムイヤホンメーカー・Empire Earsとのコラボモデル「Odyssey」が話題となりました。
【音質レビュー】Astell&Kern × Empire Ears Odysseyは国内30台限定の見た目もサウンドも特別なコラボイヤホン!
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そのAKから5月に発表され、登場がいつかいつかと待たれた新型コラボイヤホンがついに正式発表!それがこちら、ドイツ・Vision Ears(以下VE)とのコラボモデル「AURA(アウラ)」です!
今回はこのAURAについて、詳細および音質レビューをお届けします。
まずは外箱からご紹介。イヤホンのパッケージとしてはかなり大型ですが、これではちょっと大きさがわかりにくいですね。
ということで、A4用紙を並べてみました。
なんとその幅37.4cm!Odysseyのパッケージも大きかったのですが(33.5cm)、さらにその上をいく大きさです。
スリーブをはずしてフタを開くと、さっそくAURA本体が登場します。左から順に、シリアルナンバー入りカードとイヤホン本体保護用ポケット、AURA本体(4.4mmバランスケーブル装着済み)、円形のレザー製キャリングケースが並びます。
箱の下は引き出し状になっていて、そちらにも各種付属品が収められています。
付属品は保証書および予備用メッシュフィルター(4ペア)、レザーケーブルクリップ、レザーキャリングケース、レザーイヤホンポケット、スウェードクリーナー、シリコンイヤーピース(SS/S/MS/M/ML/Lの6ペア)、4.4mmバランスケーブル(イヤホンに装着済み)、3.5mmアンバランスケーブル(キャリングケースに内蔵)、シリアルナンバーカードとなっています。クリップやケースに用いられているレザーは、ヨーロッパで最高のタンナーから仕入れた最高品質の子牛の本革とのことです。
なお、イヤーピースはすべてAZLA製のバンドル専用モデル・SE1500で、こちらはホーン型の内部構造で音をストレートに届けるタイプとなっています。
付属の2本のケーブルは、Odysseyに引き続きEffect Audio製。UP-OCC純銅リッツ線2本と、純銀リッツ線と純銅リッツ線を組み合わせたハイブリッド線2本の合計4つのワイヤーコンポーネントを含んだ、AURAの圧倒的なサウンドを実現するために特別に設計されたカスタムメイドケーブルとなっています。ちなみに、3.5mmアンバランスケーブルの2pin端子部にはカバーが装着されており、Effect Audioロゴとピンの太さを示す「0.78」という数字が刻まれていました。
イヤホン本体に装着済みの4.4mmバランスケーブルを見ると、プラグカバーにしっかりとVEとAKのロゴが刻まれています。
こちらがAURA本体。フェイスプレートにはまるで音の伝わり方を表すかのような円形のグルーブ(溝)が刻まれています。
右側フェイスプレートのグルーブの中心にはVEロゴと「MADE IN GERMANY BY VE」の文言が、
左側フェイスプレートのグルーブの中心にはAKロゴと「AURA-LIMITED EDITION」という文言がそれぞれ刻まれており、このAURAがコラボモデルかつ限定生産品であることを示しています。ケーブルコネクタはすでに触れたとおり2pinタイプで、イヤホン側はフラット形状です。ステム(軸)にもグルーブが刻まれているという細かいこだわりも見られます。
AURAのフェイスプレートとシェルは、軽量かつ強固で耐食性にも優れるスイス製の6061-T6アルミニウムで作られています。これはアルミニウムにマグネシウムとケイ素を含んだ合金に「T6処理」とよばれる熱処理を施したもので、錆びたり腐食したりしにくく、ジュラルミンに次ぐ強度を持っていることから自動車や船舶の部品にも使用されている金属です。
ステムにはメッシュフィルターが装着済みです。実はAURAに限らず、イヤホンのフィルターって意外と見落としがちですが音質にかなり影響するポイントでもあるのです。あまりにひどい汚れがついた際には、付属の交換用フィルターに付け替えることでふたたび新鮮なサウンドを楽しむことができますよ。
AURAのドライバー構成は「2ダイナミック+9BA の計11ドライバー(片側)」となっていますが、この構成にも秘密があります。超低域・低域再生用に2基の8mm径ダイナミックドライバーを向かい合わせに配置した独自のアイソバリック構成としたほか、中高域用BAドライバー4基、中低域用BAドライバー4基、さらに高域・超高域用BAスーパーツイーター1基の計9基のBAドライバーを組み合わせたハイブリッド構成としたことで、「アナログ的でありながら正確なサウンド」(VEサウンドマスターOliver Marino氏・談)を生み出しています。
それではいよいよAURAの音質チェックです。組み合わせるDAPにはOdysseyの時と同じく、Astell&Kernのフラッグシップモデル「A&Ultima SP3000」を選んでみました。
ヌケ感の良い中高域をメインとした明るめの音作りで、ボーカルにやや艶の乗ったサウンドです。ダイナミックドライバーを2基搭載したことが効いているのか、豊かさや重厚感をしっかりと感じさせつつすっきりとした低域表現となっています。音場の広さ・前後の立体感も充分にあり、ユーザーを包み込むかのようなサウンドステージの中でリラックスしながら音楽を楽しむことのできるイヤホンではないでしょうか。
さて、DAPにSP3000を選んだ理由はもうひとつありまして、実はSP3000にはこちらもOdysseyと同じく”AURA専用イコライザー”が存在するのです。
この”AURA専用イコライザー”をONにして聴いてみると、やや音の重心が下がって高域の落ち着いた、より柔らかなサウンドになりました。Odysseyの時とは異なり、別のイヤホンになったかのような派手な変化は正直ありませんが、VEの意図するアナログ感はさらに強調される感じかと思います。オマケ的な要素とはなりますが、SP3000ユーザーの方にはぜひ一度お試しいただきたいポイントです。
ドライバー | ハイブリッド型 | インピーダンス | 10.5Ω @ 1KHz |
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感度 | 115dB @ 1KHz, 1mW | 再生周波数 | 10Hz – 24KHz |
【商品情報】Astell&Kern AURA
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Vision EarsとAstell&Kernのコラボレーションにより生まれた有線イヤホン「AURA」は、
・無数のグルーブ(溝)が刻まれた6061-T6アルミニウム製フェイスプレートとハウジング
・2つのダイナミックドライバーを向かい合わせに配置したアイソバリック構成+9基のBAドライバーの片側11ドライバー搭載
・中低域メインの明るめな音作りとボーカルの艶感、ユーザーを包み込むかのような豊かなサウンド
と、VE・AK双方の理想とするものづくりと音づくりが見事に融合したハイクラスイヤホンとなっています。
AURAは全世界650台の限定生産、発売は9月2日を予定しております。ご予約受付は本日より開始、さっそく店頭試聴機もご用意しておりますので、ぜひ店頭でお試しください!