韓国のオーディオブランドAstell&KernとアメリカのカスタムイヤホンメーカーEmpire Earsのコラボイヤホン「Odyssey」が予約開始となりました。10ドライバーを搭載し、存在感と繊細さを持ち合わせた特別限定モデルを詳しくレビューします。
Astell&Kernのコラボイヤホンとは
Astell&Kern × Empire Ears Odysseyの外観と特徴
Astell&Kern × Empire Ears Odyssey音質レビュー
製品仕様
まとめ
設立10周年を迎えたばかりの韓国オーディオブランド・Astell&Kern(アステルアンドケルン、以下AK)。SP3000やSE180といったデジタルオーディオプレーヤー(DAP)で知られるAKですが、実は日本のfinal、FitEar、ドイツのbeyerdynamic、アメリカのJH Audioなど、さまざまなイヤホンメーカーとのコラボモデルを生み出してもきました。最近ではCampfire Audioとのコラボモデル「PATHFINDER」も人気を集めています。
【商品情報】Astell&Kern PATHFINDER
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そんなAKのコラボイヤホンに、また新たなイヤホンメーカーとのコラボモデルが加わります!アメリカのカスタムイヤホンメーカー「Empire Ears(エンパイアイヤーズ)」とのコラボイヤホン「Odyssey」です!
今回はこのOdysseyについて、詳細および音質レビューをお届けします。
まずは外箱から。幅33.5cmとイヤホンとしてはかなり大型なパッケージです。
フタを開けると、左側にマニュアルおよび付属品、中央にOdyssey本体、右側にアルミニウムケースが収められています。
付属品は4.4mm to 3.5mm変換プラグ、イヤーピース(final製TYPE E・5サイズ)、ブラックアルミニウムケース、マイクロファイバークロス、クリーニングツール、イヤホン保護ポーチとなっています。なお、保護ポーチのみアルミニウムケースの中に納まっていました。
こちらがOdyssey本体の外観ですが、なんといってもこのキラキラなフェイスプレート「ENIGMA(エニグマ)」のインパクトが強い!
このENIGMAは3段階のラミネーションで構成された9つのポリマー層を持っており、それぞれのラミネーションは特定の波長の光をフィルターにかけて反射させるというユニークな機能を備えているとのこと。そのため、見る角度によってまるで万華鏡のような美しい色の変化が起こります。
Odysseyのシェルを底面とケーブルコネクタ側から見た様子がこちらです。左シェルの底面にはモデル名とシリアルナンバー、右シェル底面には「ASTELL&KERN」というブランド名と同じくシリアルナンバーが入っています。ケーブルコネクタはいわゆるフラットタイプの2pinです。
ステム(軸)はシェルと一体型で、先端に向かうにつれやや太くなっています。
このシェルの中には、5つのBA型(中音域用)、2つの静電型(超高域用)、2つのダイナミック型(低域用)、そして骨伝導型(超低域用)の4種類・10基ものドライバーが詰め込まれています。Odysseyではこれらの異なるドライバーを独自の7ウェイ synX クロスオーバーネットワークによって調和させるだけでなく、さらに静電ドライバーと骨伝導ドライバー間のタイミング、位相、制御を最適化させるために特別に開発した”EIVEC MKIIエンジン”を搭載しています。
Odysseyに付属するケーブルはEffect Audio製の高純度単結晶銅リッツケーブル「Ares II(アレスツー)」をベースに、高級な4.4mm5極Pentaconnプラグを使用した特注品となっています。純度の高い銅線による、濃密で量感のある低域と自然で温かみのある音が特徴のケーブルです。
それではOdysseyの音質チェックとまいりましょう。組み合わせるDAPには同価格帯となるAstell&Kernのフラッグシップモデル「A&Ultima SP3000」を選んでみました。
瞬発力抜群の高域とズシンとくる低域、その両者に挟まれながらもまったくかき消されることのない中域とがノンストップで耳に流れ込んでくるかのような、各音域の存在感を非常に強く感じさせるサウンドです。とはいえ、これを「派手」とだけ表現してしまうと、Odysseyのもつ繊細な部分が隠れてしまっているかのように思えるかもしれません。
たしかにパッと聴きはその音の勢いに圧倒されがちですが、じっくりと聴き込んでみると音の強弱や静寂感といった細かいニュアンスもしっかりと拾い上げていることに気がつきます。表現すべき音のひとつひとつは確実に鳴らしつつ、高・中・低それぞれの音域の個性を色濃く描き出しているイヤホンです。
さて、実は組み合わせるDAPにSP3000を選んだ理由はもうひとつありました。実はSP3000には、このOdyssey専用となるイコライザー設定「Odyssey EQ」が存在するのです。ということで、そちらも試してみましょう。
「Odyssey EQ」をオンにしたとたん、まるで別のイヤホンに差し替えたかのようにガラッと音が変わります。あれだけ強烈に主張していた高・中・低の各音域が、まるでお互いの様子を見ながら協調するかのようにフラット傾向なサウンドとなります。
これはなかなか評価が難しいところで、あのOdysseyならではの強い個性が薄れてしまう、という見方ができる一方で、SP3000のもつS/N比の高さを充分に味わうためにはあまりイヤホンの個性が強すぎても…という見方もできるかと思います。とはいえ、ただSP3000のイコライザーを切り替えるだけでこれだけの音の違いが体験できるのであれば、ここはこの「Odyssey+SP3000」という特別な組み合わせを揃えたユーザーだけが得られる”特典”として、積極的に楽しむのが良さそうです。
ドライバー | ハイブリッド型(Quadbrid / デュアル・コンダクション) | ドライバー数 | 2DD+5BA+2EST(静電)+1BC(骨伝導) / (片側)10ドライバー |
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ドライバー構成 | 【超高域】Sonion静電ドライバー×2【中域】SonionカスタムBAドライバー×1、KnowlesカスタムBAドライバー×4【低域】「W9+」ダイナミックドライバー×2【超低域】「W10」骨伝導ドライバー×1 | 再生周波数 | 5Hz - 100KHz |
感度 | 100dB @ 1KHz,1mW | インピーダンス | 21Ω @ 1KHz |
【商品情報】Astell&Kern Odyssey
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Astell&KernとEmpire Earsのタッグによるハイクラスコラボイヤホン「Odyssey」は
・3段階のラミネーション・9つのポリマー層で構成された「ENIGMAフェイスプレート」
・5BA・2静電・2ダイナミック・1骨伝導の4種類・計10ドライバーを搭載
・高・中・低の各音域が強烈に主張しつつ、細かいニュアンスまで拾い上げて表現するサウンド
(SP3000との組み合わせならさらに専用イコライザー設定あり)
と、ハイクラスイヤホンらしい外観・音質を持ち合わせるだけでなく、コラボモデルとしての強みもあわせ持つイヤホンとなっております。
Odysseyは全世界600台のみの限定生産モデル、さらに日本国内の販売数はたった30台という特別モデルです。
ご予約受付は本日より開始、発売は11月12日を予定しております。試聴機も本日より店頭展示しておりますので、ぜひお手持ちのDAPはもちろん、同じく試聴機のSP3000とも組み合わせてこのサウンドをご体験ください!