フジヤエービック独占販売のDan Clark Audio の開放型フラッグシップヘッドホン「EXPANSE(エクスパンス)」がついに発売開始となりました。今回は密閉型「STEALTH」との違いを音質も含めて詳しくレビューします。
Dan Clark Audio(ダンクラークオーディオ)とは
Dan Clark Audio EXPANSEの外観と特徴
Dan Clark Audio EXPANSE音質レビュー
製品仕様
まとめ
Dan Clark Audio(ダンクラークオーディオ・旧名MrSpeakers)は、その名のとおりダン・クラーク氏によって2012年に設立されたアメリカのオーディオブランドです。独自技術を搭載した平面磁界ドライバー採用のヘッドホンを多数開発、この夏には密閉型フラッグシップモデル「STEATH」をひっさげて久々に日本上陸を果たしています。
【音質レビュー】Dan Clark Audio STEALTHは久々日本登場のフラッグシップ密閉型ヘッドホン
» こちらの記事を見る
そのDan Clark Audioから、今度は開放型フラッグシップモデル「EXPANSE」(エクスパンス)が発売となりました!こちらもSTEATH同様、当店フジヤエービックの国内独占販売となります!
今回はこのEXPANSEについて、詳細と音質について詳しくお届けいたします。
EXPANSEのパッケージ内容は本体、ケーブル(約1.8m)、キャリングポーチ、マニュアル類となります。
こちらがEXPANSE本体です。「D」型のカーボンとアルミを組み合わせたハウジング、チタン合金製ワイヤーフレームのヘッドバンドと幅広のヘッドパッドという構成もSTEATHと同じですね。
このデザインはステルス航空機からヒントを得たことから「Stealth Mechanical design」と名付けられていますが、EXPANSEで用いられているのはさらにアップデートを施した機構となっているそうです。
イヤーパッドは側面にプロテインレザー(人工皮革)、内側にヴィーガンスエードという2種類の素材を組み合わせて、吸放湿性に優れた構成となっています。厚みも充分にあるため、装着感は良好です。こちらはおそらくSTEALTHと共通化と思われます。
EXPANSEのヘッドバンドはワイヤーとヘッドパッドというシンプルな構成のため、適度な側圧で装着できます。ヘッドパッドの表面にはモデルロゴがステッチされていますが、真ん中の「A」のみ青い糸が使用されています。
ヘッドパッドは内側にキルティング加工を施したレザー調の素材で、若干クッションが効いたものです。キルティング加工にも青い糸が使われており、青のEXPANSEに赤のSTEALTHという感じで並べた時にもわかりやすくなっています。両サイドが伸縮する自動調整タイプである点もSTEALTHと同じです。
重さの点ではEXPANSEは418gと、STEALTH(415g)よりわずかに重くなっていますが、ヘッドバンド・ヘッドパッドによる重量分散の効果でそれほどの重さは感じません。
EXPANSEはコンパクトに折りたたむことも可能です。なお、ハウジングを平行にするスィーベル機構はありません。
ケーブルまわりの仕様もSTEALTHと変わらず、着脱式コネクタにはヒロセコネクタ(HR10A)を採用しています。端子の向きを合わせて押し込むだけでカチッと装着でき、外す時もスリーブ部分を持って引っ張るだけで簡単に脱着可能なコネクタとなっています。
ケーブルは銀メッキ無酸素銅を導体に採用した、オリジナル設計の「VIVO Super-Premium Headphone cable」です。
EXPANSEに搭載されているのは、Dan Clark Audioオリジナルの「v-Planar Technology振動板」を採用した第4世代平面磁界ドライバーです。ETHER 2などで使用されていた第3世代ドライバーから20%大型化しただけでなく、低音のレスポンスを改善し、歪みを低減した新開発のドライバーとなります。また、左右のドライバーは、帯域20-10,000Hz・0.25dBの範囲でマッチングがされています。
EXPANSEにもDan Clark Audio独自のハニカム(蜂の巣)構造チューニング用フィルター「Acoustic Metamaterial Tuning System (AMTS)」が搭載されています。これはハニカム(蜂の巣)構造により高音域の耳障りな成分である高周波定在波を低減し、位相を改善することで滑らかなサウンドステージを実現するというものですが、EXPANSEでは5kHz以上での高域および300Hz以下の低域を改善するほか、開放型ならではの定在波や音楽信号の反射を低減する効果があるとのことです。
このEXPANSE、ここまでの比較ではほとんど密閉型のSTEALTHと変わらないように見えますがはたして「ハウジングにただ穴を開けただけ」なのでしょうか?ためしに両者を並べてみると…
微妙に左型のSTEALTHの方がハウジングに厚みがあるようですね。わかりやすいように伏せてみると、イヤーパッドの厚みは同じなのに高さがハウジングの分だけ異なっています。EXPANSEが、Dan Clark Audioの理想とする空気の流れとフィルタリング効果を実現するために開発された専用のハウジングを採用していることがわかります。
それではEXPANSEの音質についてもチェックしていきたいと思います。今回はせっかくですので、STEALTHの試聴でも使用した当店試聴コーナー最高峰の組み合わせ
・MSB Technology Discrete DAC Plus
・MSB Technology PREMIER HEADPHONE AMPLIFIER
でふたたび聴いてみました。
ウォーム寄りのサウンド傾向で、ややカッチリした感じのスピード感ある高域にしっかりと深く沈み込む低域、頭部の周囲に前後左右にぐるりと展開される音場といったポイントはSTEALTHと非常によく似ていますが、中低域の表現に関してはEXPANSEではやや引いたところから聴いているかのような距離感が出ています。
音場についても開放型になったためか左右方向への拡張がされたように広がり、演奏者・歌手のすぐ目の前で聴いているような近距離型のSTEALTHに比べると、EXPANSEは全体をちょっと俯瞰的に見渡しているかのような鳴らし方となっています。開放型ということで低域はやや量感が抑え気味になった感じもありますが、質感の方は損なわれることもなく沈み込みも充分です。
また、EXPANSEもSTEALTH同様、やはり相応の出力の高さがないとその能力は充分に発揮できないヘッドホンであるようです。どちらもコンパクトに折りたためるのでポータブル用途に向いていそうに見えますが、その際の組み合わせにはCHORD Hugo2など高出力な機器をおすすめします。
ドライバー | 平面磁界型 (51 mm x 76mm) | 歪率 | 0.02% ( 94dBSPL@1 kHz) |
---|---|---|---|
周波数特性 | 20Hz - 20kHz (0.03%以下、94dB@ 1kHz ) | 感度 | 86dB/mW |
抵抗 | 23 ohm | 重量 | 418g |
【商品情報】Dan Clark Audio EXPANSE
» 詳細を見る
Dan Clark Audioの開放型フラッグシップヘッドホン「EXPANSE」は
・ステルス航空機からヒントを得て、さらにアップデートを施した「EXPANSE Mechanical design」
・v-Planar Technology振動板を採用した平面磁界ドライバーとオリジナルテクノロジー「AMTS」を搭載
・ウォーム寄りでSTEALTHに似ているものの、全体をちょっと俯瞰的に見渡すようなサウンド
と、先に登場した密閉型のSTEALTH同様に高い完成度と異なるキャラクターをあわせ持ったヘッドホンに仕上がっています。
EXPANSEは本日から発売開始。試聴機もご用意しております!日本ではフジヤエービックのみが取り扱っておりますこのDan Clark Audio製ヘッドホン、開放型のEXPANSEならびに密閉型のSTEALTHをぜひ店頭でお試しください。