耳型を採ってオーダーする世界にひとつだけのカスタムイヤホンのオーダー方法から耳型(インプレッション)採取から完成までの制作の流れをスタッフが実際にオーダーしたqdc Anole V14-Cを例として詳しく解説します。
目次
カスタムイヤホン(カスタムIEM)とは
カスタムイヤホン(カスタムIEM)制作の流れ
カスタムイヤホン完成
まとめ
イヤホンに興味を持った方なら一度はオーダーしたいのが、自分の耳の形に合わせて作られるカスタムイヤホンではないでしょうか。元々はステージでパフォーマンスするアーティストが、大音量の中でも必要な音や合図を聴き取れるように作られたため「カスタムIEM(In Ear Monitor)」とも呼ばれており、文字通り世界にひとつの、自分だけのイヤホンとなることからイヤホンマニアの間でも非常に人気の高いジャンルとなっています。
一方で、カスタムイヤホンには
・耳型(インプレッション)が必要となる
・メーカーやモデル、カラーなど選べる項目が多くて複雑そう
・オーダーメイドは時間がかかる
など、普通のイヤホン(カスタムイヤホンに対して「ユニバーサルイヤホン」と呼ぶこともあります)とは違う点も多いため、なかなかオーダーの決心がつかない…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回はちょうど先日、フジヤエービックスタッフが個人的にオーダーしたカスタムイヤホン「qdc Anole V14-C」が到着したので、その様子を振り返りながら「カスタムイヤホンのオーダー手順」と「カスタムイヤホンとユニバーサルイヤホンの違い」についてご紹介したいと思います。
まずは「どのカスタムイヤホンをつくるか」からスタートです。
カスタムイヤホンはたとえば国内メーカーのFitEar、Canal Works、くみたてLabをはじめ、アメリカのJH Audioや64 Audio、Noble Audioなどさまざまなメーカーが手掛けています。当然ながらそれぞれのメーカーでは複数のモデルを用意しているので、選択肢はなんと当店取り扱いモデルだけでも100種類以上!その中からどのモデルを選ぶか、というのも大変ですが、フジヤエービック店頭にはそれぞれの試聴機をご用意しておりますのでまずはお気に入りのモデルを見つけ出してみましょう。「ヘッドフォン祭」などのイベントでのご試聴であれば、メーカー・代理店の方からアドバイスももらえるのでより探しやすいと思います。
今回フジヤエービックスタッフは”今までつくったことのないメーカー”で、なおかつ”同じモデルのユニバーサル版を試聴した時に気になっていた”モデルの「qdc Anole V14-C」を選ぶことにしました。カスタムイヤホンには、このV14-Cのようにユニバーサルモデル(この場合「Anole V14-S」)が存在する製品が多くありますので、まずはユニバーサルモデルを聴いてみて気に入ったらカスタムへ…というのも面白いかと思います。
【商品情報】qdc Anole V14-S
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【商品情報】qdc Anole V14-C
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モデルが決まったら、今度はカラーの選択です。カスタムイヤホンでは多くの場合、フェイスプレート(イヤホンの表面)とシェル(イヤホン本体)の色やマーク、オプションでフェイスプレートに印刷する好きな画像(アートワークと呼びます)まで選ぶことが可能です。
カスタムイヤホン、というくらいなので自分の好きなようにカスタマイズしちゃいましょう。
…とはいえ、ここがもしかしたらカスタムイヤホンをつくる中で一番迷うところかもしれません。あまりに自由に選べるので、かえってどれにしてよいのかわからなくなってしまうのです。そんな時は、
・どんな組み合わせでも合うクリア(透明)を選ぶ
・SNSなどで他のユーザーがアップしていたカスタムイヤホンの写真を参考にする
・推しのイメージカラーやメンバーカラーを選ぶ
などはいかがでしょうか?ほかにもカスタムイヤホンに入れるネームの指定、ケーブルのコネクタ・プラグの指定などもこの時に決めることになります。オーダーシートの各項目をしっかり確認し、記入していきましょう。
※一部カラーやアートワークは有料オプションとなります
※メーカー・モデルによっては色や素材が固定の場合があります
また、オーダーシートには納期やリフィット(完成後の装着感調整)に関するご説明や諸注意が記載されています。カスタムイヤホンはオーダーメイドモデルとなるため、ご注文後のキャンセルもできません。これらをしっかりとご確認いただいた上でご注文くださいますようお願い致します。
オーダー内容が決まったら、次は耳型(インプレッション)採取です。耳型採取の方法は複数あります。
耳の中に異常がなければ、いよいよ耳型採取にとりかかります。
なお、耳型の採取方法としては軽く口を開けて行う「開口式」、バイトブロックと呼ばれるスチロール片をくわえて行う「バイトブロック式」がありますが、qdcのカスタムイヤホンはバイトブロック式を推奨しています。一般的に口を開けて採取した方が完成品の装着感がきつくなる傾向にあるとのことです。
鼓膜を保護するためのスポンジ栓を耳の奥に入れたら、印象材と呼ばれるシリコンを流し込んでいきます。この時、耳型が変形してしまうおそれがあるのでなるべく口は動かさないようにご注意ください。
カスタムイヤホンを複数持つ方の中には、この「印象材が流し込まれる時の感覚」がクセになる…という方も少なくないようです。
カスタムイヤホン作成に必要な部分まで印象材が流し込まれたら、固まるまで5~10分ほど待ちます。
これを左右ともおこなうので、耳型採取の所要時間は20~30分ほどかかります。
こちらができあがった耳型となります。耳の中の形というのはなかなか見る機会はありませんが、ご覧のとおりかなり複雑な形状となっています。また、左右の形も似ているようで結構違いが出ていますね。
あとはお会計(イベント会場では採取前)を済ませて耳型とオーダーシートをお預けいただければ、ひとまず作業は完了です。カスタムイヤホンの完成をじっくりお待ちください。
なお、カスタムイヤホンの納期はメーカーにより異なりますが、おおむね2~3ヶ月ほどとなります。また、メーカーの繁忙具合や国際流通事情により納期が延びるケースもありますので、楽しみにされている中大変申し訳ございませんが長めにお待ちいただければ幸いです。
…というわけで、オーダーから約2ヶ月ほどで完成したV14-Cが到着しました!
到着時にはオーダー内容と完成品の仕様が合っているかどうか、フィット感はどうかなどチェックをお忘れなく。
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