qdc EMPERORのカスタムIEMモデルを実際にオーダーしたオーディオ専門店スタッフがレビューします。片側15ドライバー搭載のハイブリッド構成の繊細かつ伸びやかなサウンドで新たな魅力を発見できるイヤモニを詳しく紹介します。
目次
qdc EMPEROR-C レビュー
EMPEROR-Cの特徴
音質レビュー
製品仕様
まとめ
qdc EMPEROR のカスタムIEMモデル EMPEROR-C をフジヤエービックスタッフがレビューします。
qdc EMPERORは、5サウンドチャンネル/5wayクロスオーバー、片側15ドライバー搭載 qdc独自技術の粋を結集したコンセプトモデルとなるハイエンドカスタムIEMです。ユニバーサルモデルとの比較を交えて紹介します。
パッケージの内容としては、イヤホン本体と3in1プラグ採用ブラック被膜プレミアムケーブル、3.5mm3極アンバランス変換プラグ、2.5mm4極バランス変換プラグ、4.4mm5極バランス変換プラグ、フライトアダプター、3.5mm to 6.3mm変換プラグ、クリーニングツール、キャリングケースとなっています。
基本的にはイヤーピースを除いて別のスタッフが行ったAnole V14-Cのレビューと同様になっています。
qdc Anole V14-C レビュー | 16種類の音質変化が楽しめるカスタムイヤホン
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付属のキャリングケースもAnole V14-Cの時と同様にEMPERORを表す刻印が入っています。
今回私が選んだEMPEROR-Cのデザインは、ユニバーサルモデルと大幅に変更を加えてみました。
まずは、フェイスプレートデザインですが、ユニバーサルモデルは『Abalone AB01+フレーム Gold+EMPERORロゴ+qdcロゴ』というデザインですが、今回は『Mosaic MO02+フレーム Silver+EMPERORロゴ+qdcロゴ』というガラリと印象をチェンジ。Mosaicデザインはグリーンベースのステンドグラスモザイクの様な印象で、角度によってキラキラと光ります。
フレームデザインに関してもシルバーに変更したので全体的にソリッドな印象になり、ユニバーサルモデルと比較するとゴージャスからシュッとしたデザインになったと思われます。
シェルカラーはトランスルーセントのチャコールグレー(19)を選択、フェイスプレートのデザインが引き立つ様にしました。EMPEROR-Cはもちろん、qdcのカスタムIEMのご注文の際に参考にしていただければと思います。
qdcのカスタムIEMは現状、『qdc 2pin』と『Custom 2pin』の2種類のコネクタが選択可能です。
それぞれのコネクタを比較すると、『qdc 2pin』はイヤホン側の端子が飛び出ていて、ケーブル側のコネクタがその出っ張りを覆いかぶせる様な形状となっています。『Custom 2pin』はフラット型になっていますので、耐久性は『qdc 2pin』の方が勝っているのではないでしょうか。
『Custom 2pin』は多くのイヤホンで採用されているコネクタになりますので、イヤホンを沢山所有されている方ですとお手持ちのリケーブルを使いまわせるので、お客様のスタイルに合わせてご選択いただければと思います。
因みに私はカスタムIEMを30個近く所有しているイヤホンマニアですので、『Custom 2pin』を選択しました。
所有しているさまざまなリケーブルと組み合わせて、EMPERORの様々な音の表情を楽しんでみたいと思います。
サウンドのインプレッションですが、基本的な傾向として弱V字バランス(いわゆるドンシャリ)のサウンド傾向だと感じました。
ただ、極端なドンシャリな音とは感じません。EMPERORはリスニング向けのサウンドチューニングがされているという事ですが、音楽を気持ちよく聴ける様に音楽を聴く上でおいしいスウィートスポットを確りと聞かせる様にしつつ、最新のドライバーやネットワークを駆使して現代の音作りが複雑な楽曲にも対応できるように設計されている印象です。
各帯域毎の説明ですが、高域は超高域に静電型ドライバー×4機、高域にBAドライバー×4機という事もあり、繊細で解像度も申し分無しで音も伸びやか、歪み感も無く聴いていて気持ちが良いですね。
中域はボーカルはもちろん、ピアノやその他の楽器類も細かく表現してくれます。残響間等の付帯音も多くないので、それぞれの音の定位感も見えやすいです。
低域に関しては、超低域に10mmのD型ドライバーと低域にBAドライバー4機という設計ですが、BAとダイナミックドライバーの繋がりに不自然さもなく、気持ちよくミッドベースからサブベースが聴くことができて気持ちが良いです。量感に関しては多くは無いですが程よい量感の印象で、ブーミーになり過ぎないので低域を多く求める方以外にはちょうど良い塩梅に纏まっていると思います。
音場表現は極端に広いということはないですが、上下左右ほどほどに表現されます。EMPEROR-Cは高域と低域に若干ニュアンスを加えて音楽を楽しく聴けますのでリスニング向けにしていますが、サウンドのバランスとしてはモニターとしても使用できるレベルです。
また、音に変なニュアンスが付いていないので各帯域の細かいニュアンスを感じやすいです。
今まで他のイヤホンで聴いていた楽曲もEMPERORで聴くと新しいアーティストやクリエイターの細かい音創りや表現を感じることができるので、新たな魅力を発見し、楽しいオーディオライフが送れますよ。
さらに多くの方が気になるであろうユニバーサルモデルとの差異についても触れたいと思います。
基本的な音質傾向はもちろん同じではありますが、イヤーピースの装着感とアクリルシェルが直接耳にピッタリとフィットする感覚の違いからかもしれませんが、サウンドが全体的により内側により頭の中心から楽曲が展開されていると感じました。
あとは、音の滲み感が少なくよりピュアに楽曲が楽しめる点もあります。音にピントがよりしっかりと合っていて、音像のブレ感が少ないのでビシッと芯を感じます。
ここは判断が難しいですが、重要なポイントは以下の3点です。
・デザイン
デザインに関してはユニバーサル版が好みじゃないという場合や、自分オリジナルのデザインをしたいという場合はカスタムを検討していただければと思います。
・リセール
リセールはカスタムIEMは売却時に極端に金額が下がってしまうという点があります、その点ユニバーサルモデルは新しいモデルを検討される際の買い替え時の下取等の際にカスタムに比べ勝ります。
・サウンド
サウンドに関しましては、ユニバーサルモデルはイヤーピースでの調整が可能という点がありますので、ご試聴の際は普段ご使用のものをご持参いただくことをおすすめいたします。
ドライバー | ハイブリッド型 | ドライバー数 | 1DD+10BA+4EST / 15ドライバー(片側) |
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形式 | 密閉型 | 周波数応答範囲 | 5 - 70,000 Hz |
入力感度 | 106 dB SPL/mW | インピーダンス | 15Ω |
【商品情報】qdc EMPEROR-C
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