iFi Audio NEO iDSD2をオーディオ専門店スタッフがレビューします。iFiらしいシャープなサウンドに加え、aptX Lossless対応やゲイン調整機能など、大幅アップデートしたDAC内蔵ヘッドホンアンプを詳しく紹介します。
目次
iFi AudioのNEOシリーズとは
NEO iDSD2の外観と特徴
NEO iDSD2の音質レビュー
製品仕様
まとめ
最先端の技術を活かした製品づくりで気軽に導入できるアクセサリーからポータブルやデスクトップ、据置にいたるまで幅広くモデルを展開することで知られるのがイギリスのオーディオブランド・iFi Audio(アイファイオーディオ)です。
そんなiFi Audioが据置のミドルレンジとして展開しているのが「NEO」シリーズ。2021年1月に発売されたDAC内蔵ヘッドホンアンプ NEO iDSD、2022年9月に発売されたオーディオストリーマー NEO Stream の2モデルで展開していたこのシリーズですが、その片方がモデルチェンジをはたすことになりました!それがこちらの「NEO iDSD2」です!
今回はこのNEO iDSD2について、前モデルとの比較をまじえつつ詳細と音質レビューをお届けいたします。
パッケージはiFi製品ではすっかりおなじみ、白ベースに製品写真の載ったわかりやすいものとなっています。モデル名の下にはハイレゾならぬ「Ultra-Res」という文字が刻まれているあたり、音質に対する自信があふれているかのようです。
付属品はクイックセットアップカード(英語)、RCAケーブル、USBケーブル、ゴム足、縦置き用アルミニウム製スタンド、アルミニウム製リモコンおよびボタン電池、3.5mm→6.3mm変換プラグ、そして電源アダプターはiFiならではの超ローノイズACアダプター・iPower II(12V)となっています。旧NEO iDSDに付属していたiPower(5V)とは電圧が異なりますので、ここだけはご注意ください。
マニュアルは同梱されていませんので、こちらはiFi Audio日本語サイトの製品ページからダウンロードして参照することとなります。
※付属品は予告なく変更されることがございますのでご了承ください
さて、続いてNEO iDSD2の本体も確認してみましょう。まずは天板から…おっと、旧NEO iDSDと大きく異なるのが、左奥の扇形の部分でしょうか。こちらはBluetooth用アンテナを内蔵型に変更したことによるものです。
正面からは旧NEO iDSDと重ねて比較してみます。上が旧NEO iDSD、下が今回のNEO iDSD2です。
ぱっと見はどちらも似たデザインとなっていますが、一番の違いはヘッドホンジャックの左に配置されているボタン類の数になります。旧NEO iDSD(上)では入力切替ボタンと電源ボタンの2つのみでしたが、NEO iDSD2(下)では丸い電源ボタンの上下左右を囲むように4つのボタンが配置されています。これらはそれぞれ「入力切替」「XSpace」「XBass II」「Gain」となっており、入力切替以外はこのNEO iDSD2から追加された機能です。
XSpaceはヘッドホンのいわゆる”頭内定位”を補正して広がりを持たせる機能、XBass IIは低域強化機能でどちらもiFi製品ではおなじみの機能ですね。
Gainは文字どおりゲイン切替で、イヤホン向けのIEMatch、デフォルトのNormal、Turbo、さらに強力なNitroという4段階に切替可能となっています。現在の設定はディスプレイにアイコン(IEMatch:イヤホン、Normal:水滴、Turbo:炎、Nitro:イナズマ)で表示されます。
こちらは本体背面の比較となりますが、やはりもっとも大きな違いは白いBluetooth用アンテナの有無でしょう。
その他の端子類については配置場所も含めあまり大きな変化はないようですが、実はよく見るとNEO iDSD2から
・外付けクロック用入力端子(10MHz)
・アナログ入力端子(3.5mm)
の2つが追加されています。
外部クロックについては現時点ではiFi Audioのラインナップにはありませんが、これは今後どうなるのか期待ですね。
もちろん旧NEO iDSD同様、付属のスタンドで縦置きも可能です。縦置き時には自動的にディスプレイも縦表示になってくれるところも変わりません。
ただし、ボリューム表示には違いがありました。旧NEO iDSDがデシベル表示(マイナスからボリュームを上げていくとゼロに近づき、ゼロがボリューム最大値)のに対し、NEO iDSD2では絶対値表示(ボリュームを上げると数値も大きくなる)となっています。
なお、NEO iDSD2のサイズはスペック的には幅214 × 奥行158 × 高さ41mmと旧NEO iDSD(214 × 146 × 41mm)に比べ奥行のみ大きくなっていますが、これは新たに搭載された外付けクロック用入力端子の分かと思われます。
ここまで新旧モデルの外観を比較してきましたが、今度は内部の比較です。先にご紹介した「XSpace」「XBass II」「Gain」の各機能、外付けクロック用入力・アナログ入力の各端子追加のほかにも、
それではいよいよNEO iDSD2のサウンドを確認してみましょう。今回は組み合わせるヘッドホンとしてHiFiMAN Arya Organicをセレクト、USB接続でいくつかの音源を聴いてみました。
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iFi Audioらしさを感じるシャープなサウンドにキレのある力強い低域が加わり、非常にクリアネスの高い音が楽しめるモデルです。音場の広さはほどほどですが、音の分離感や前後の立体感などもはっきりと際立たせるような音作りとなっているので組み合わせるヘッドホン側の実力も充分に活かしてくれるかと思います。
それでは旧NEO iDSDと比較した場合はどうでしょう。全体的な音の傾向そのものは変わりませんが、音質面で一番変化を感じるのが「XBass II機能」と「ゲイン調整機能」が追加されたことによる低域表現の違いでしょうか。旧NEO iDSDではこうした機能がないため、低域の力強さを増したい場合にはボリュームを上げることでしか対応できませんでしたが、このNEO iDSD2ではXBass IIとゲインの切り替えで「全体のボリューム自体は上げずに低域だけ強調したい」が可能となります。”あとちょっと”を調整できるかどうか、というのは小さなようで大きな変更ではないでしょうか。
また、実際に操作している中で「ライン出力のボリュームパスON/OFF」切替の方法がより手軽になっている点も見逃せません。旧NEO iDSDでは「電源OFF状態からボリュームノブを押したまま電源ON」で切替メニューを呼び出す、というちょっと手間のかかる方法でしたが、NEO iDSD2は電源ONの状態からボリュームノブ長押しで切替メニューが呼び出せるようになりました。この切替方法は旧NEO iDSDユーザーの方でもよほど頻繁に使っていないと「あれ、どうやって切り替えるんだっけ?」となるところなので、より直感的に操作できるようになったのは良い改善点かと思います。
デジタル入力 | USB3.0-Bメス(USB2.0互換)、S/PDIF(同軸/光)、Bluetooth 5.4 | アナログライン入力 | アンバランス入力 |
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ライン出力 | XLR、RCA | ヘッドフォン出力 | 4.4mmバランス、6.3mmシングルエンド |
対応フォーマット | aptX Lossless、aptX Adaptive、aptx、LDAC、HWA/LHDC、AAC and SBCコーデック | サイズ | 214×158×41mm |
【商品情報】iFi Audio NEO iDSD2
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