FIIO Q15 のオーディオ専門店スタッフレビューです。片手で操作しやすいコンパクトなサイズながら余裕がありワクワクするサウンド表現としっかりとした音圧感で十分な聴き応えのAKMセパレートDACシステムを搭載した最新ポタアンを詳しく紹介します。
目次
FIIOのDAC内蔵ヘッドホンアンプシリーズ
FIIO Q15の外観と特徴
Q5Sとの機能比較
新たに追加されたデスクトップモード
FIIO Q15の音質レビュー
製品仕様
まとめ
FIIO(フィーオ)は、中国の広州に本社を置く音響機器メーカー「FiiO Electronics」のポータブルオーディオブランドです。2007年の設立以降、特にポータブルヘッドホンアンプの分野でコストパフォーマンスの高さと、最新トレンドにも柔軟に対応した製品づくりで、高い評価を獲得しています。
FIIOのポタアンシリーズは幅広いラインナップで人気がありますが、今回は「Q5s」の後継機として5年ぶりに登場したDACポータブルアンプ「Q15」を紹介します。
サイズは、上位機種のQ7よりコンパクトな 143.5×71.8×21.8mm の手に取りやすいサイズ感です。
本体上部にはフルカラーIPSディスプレイを搭載しています。バッテリー残量や、ゲイン設定等が視覚的に確認できます。
左側側面に操作ボタン類が、上から電源、戻し、再生・停止、送りと配置されています。
本体下部は、USB-Cポートが2つと同軸入力、デスクトップモードの切り替えスイッチ、フォーンモードのスイッチが設置されています。
2つのUSBポートは、電源用とUSBデコード用と分かれています。これは、デスクトップモードを使用する際に電源用のUSBポートを使用することで内蔵バッテリーを使用せずに外部電源から電源が供給される仕組みとなっています。
電源供給に関してもうひとつ、スマホと組み合わせて使用する際にフォーンモードをONにするとQ15の内蔵バッテリーで駆動し、スマホのバッテリー消費を抑えることができます。
本体上部には、ボリュームノブ・操作ボタン、3.5mmアンバランス出力、4.4mmバランス接続端子が設置されています。ボリュームノブの下部は電源ONの状態では光るようになっています。
DACは、同じくFIIOの据え置き型USB DAC「K9 AKM」にも採用されている最新のAKMフラッグシップ・セパレートDACシステム 「AK4191EQ+AK4499EX」を搭載しています。
これは、デジタル処理用チップAK4191EQとAK4499EXがセットで動作するもので、デジタルセクションとアナログセクションを分離させた”セパレートDAC”となっています。このことにより、SN比の向上や低ジッタークロックを用いた高精度なD/A変換を実現するというものです。
Q15は、BluetoothチップQCC5125(CPU+DSP デュアルコアデザイン)を搭載、対応コーデックは、AAC、SBC、aptX、aptx LL、aptX Adaptive、aptx HD、LDACとなっており、Bluetoothレシーバーとしても使用できます。
Q15は、Q5Sの後継機としてあらゆる性能・機能を最新版にアップデートしたDAC内蔵ポータブルヘッドホンアンプとなっていますので、Q5Sと比較して紹介していきます。
まずは見た目ですが、Q5Sと比べるととても進化しました。同じくFIIOから発売されているヘッドホンアンプ、Q7をそのまま小さくしたようなコンパクトなデザインで、薄くて軽くて外に持ち出すには丁度良い大きさです。Q5Sよりも少し縦長になりましたが、手のひらサイズの大きさなので、片手で操作もしやすいのが良いです。
電源ボタン・曲送り・戻し・一時停止がすべて正面向かって左側面にあり、直感的な操作もできます。本体上部、ジャック部の隣にあるボリューム調整や入力切替、Gainの設定といった細かな調整が出来るマルチボタンは、ダブルクリックや長押しで簡単に切り替えが出来るので慣れれば楽です。
Q15の性能面での特徴としては、新たに「デスクトップモード」を搭載し、そのための独立したType-C電源コネクター(POWER IN)を装備した事ですね。
通常モードでは、Gainの設定が、Super Highまでですが、USB PD電源アダプターに付属のTypeC-Cケーブルを接続、本体側はPOWER INに接続し、デスクトップモードをオンすると、Ultra Highを選択できるようになります。
内臓バッテリーではなく、完全に外部から電源を供給するので、据え置きレベルのパワーで再生できます。コンパクトで軽量で持ち運びも便利で、出力不足の心配もなく、大活躍してくれそうです。
次に音質ですが、新機能であるデスクトップモードを使用しGainはUltra Highで、様々なイヤホン・ヘッドホンで試聴してみます。
ボリュームを上げても音割れすることなく、クリアな音でしっかり鳴らしてくれます。出力が足りないと、ベースラインが薄くなったり、全体的な解像度が落ちてしまい、聴き応えがなくなるように感じますが、Q15ではその心配はありません。出力不足で頑張って鳴らしている、という感じがなく、余裕を持って鳴らしてくれるので、様々な音源で試聴したくなるような、そんなワクワクするような感じがして楽しいです。
【商品情報】SENNHEISER HD 660S2
» 詳細を見る
ミドルクラスのDAPで試聴しているような鳴らし方でした。サウンドバランスが崩れることもなく、しっかりとした音圧感、ベースラインのアタック、高音域の伸び、どの帯域にフォーカスを当てても十分な聴き応えはあります。ただ、狭い空間で頑張って鳴らしているというような窮屈な鳴らし方でしたので、余裕はありません。
このクラスを鳴らすのであれば、しっかりとしたDAPを用意する必要がありますね。しかしながら、7万円台のヘッドホンアンプでここまで鳴らすのは技術力の進化が感じられます。
【商品情報】Noble Audio VIKING RAGNAR Damascus
» 詳細を見る
入力端子 | USB2.0 Type-C端子、RCA同軸デジタル入力端子 | 出力端子 | 3.5mmシングルエンドヘッドホン端子、4.4mmバランスヘッドホン端子 |
---|---|---|---|
DACシステム | AK4191EQ+AK4499EX | 充電方法 | PD 9V、DC給電による充電 |
再生時間 | 約9時間(UACモード/バランス再生時) | 充電時間 | 約3.5時間(急速充電時) |
寸法 | 約143.5×71.8×21.8mm | 重量 | 305g |
【商品情報】FIIO Q15
» 詳細を見る