FIIO K9 AKM のオーディオ専門店スタッフレビューです。豊富な入力に加えてBluetoothレシーバーも搭載、音の情報量が多く濃厚なサウンドと味付けが少なくヘッドホンの個性を活かす据え置き型USB DACアンプを詳しく紹介します。
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FIIO の据え置き型ヘッドホンアンプ FIIO Electronicsは中国の広州に本社を置く、世界最大級のポータブルオーディオ機器メーカーです。2007年の設立以来、特にポータブルヘッドホンアンプのマーケットでは、いち早く有名ブランドとしての地位を確立し、進化し続けています。
FIIOの据え置き型ヘッドホンアンプ 上:K9 AKM、中:K9 Pro ESS、下:K9 そんな中、FIIOの据え置き型のヘッドホンアンプシリーズは、比較的手に入れやすい価格帯ながら、バランス接続対応のラインナップで人気となり、2022年4月に発売開始したES9038PROデュアル構成のUSB DACヘッドホンアンプ「K9 Pro ESS」は当店でもロングセラー製品となっています。 そして今回は、新たに登場したAKMのフラッグシップ・セパレートDAC「AK4191EQ+AK4499EX」を搭載した「K9 AKM」をレビューします。
K9 AKM K9 AKM の特徴 全体サイズ 上:K9 AKM、中:K9 Pro ESS、下:K9 背面パネル K9 AKMのサイズは、W200×D224.5×H72mmとなっており、K9、K9 Pro ESSと同じサイズです。K9とは外観の違いはありません。
フロントパネル左側 ボリュームノブを中心として左側にヘッドホン出力(4ピンXLRバランス×1系統、4.4mmバランス×1系統、6.3mmシングルエンド×1系統)が並びます。
フロントパネル右側 右側にインジケータ(USB、OPT、COAX、LINE、BT)とアウトプット(LO、PRE、PO)、ゲイン(H、M、L)、インプット、電源、ミュートの切り替えスイッチが並びます。
背面パネル 背面パネルにデジタル入力(USB Type-C×1系統、USB Type-B×1系統、RCA同軸×1系統、TOS光×1系統、Bluetooth×1系統)とアナログ入力(4.4mmバランスライン×1系統、RCAライン×1系統)
側面右側 USB Type-Cポートは側面右側に設置されています。
DACシステム DACは、旭化成エレクトロニクス製の最新デジタル・アナログ完全セパレートDAC「AK4191EQ+AK4499EX」を採用しています。 これは、デジタル処理用チップAK4191EQとAK4499EXがセットで動作するもので、デジタルセクションとアナログセクションを分離させた”セパレートDAC”となっています。このことにより、SN比の向上や低ジッタークロックを用いた高精度なD/A変換を実現するというものです。
ヘッドホンアンプ回路 ヘッドホンアンプ回路は、THX社とFIIOが共同開発した「THX-AAA 788+」を2基搭載しています。
K9 AKM の試聴レビュー それでは、レビューをしていきたいと思います。複数のヘッドホンで試聴しました。
試聴環境
音源:Galaxy / S23 Ultra Spotify ヘッドホン:FiiO FT3(4.4mm)、Meze Audio EMPYREAN(6.3mm)、final D8000S Pro Edition(XLR4pin)、AUDEZE LCD-X 2021(6.3mm) Focal UTOPIA SG(6.3mm) 試聴楽曲:LiSA/Catch the Moment、月詠み/夢と知りせば、生きるよすが、緑黄色社会/Shout baby、Taylor Swift/Sparks Fly、家入レオ/Winter、Acid Black Cherry/ピストル
音質レビュー
総合的な印象 総合的に評価すると、旭化成のDACチップを搭載しているので、分析的な鳴らし方というよりも、リスニングライクな音楽を楽しく聴かせるような鳴らし方をイメージしておりましたが、いい意味で裏切られました。
音の情報量が多く濃厚なサウンド で、各楽器の細かなニュアンスまで緻密に表現し、楽曲を余すところなく楽しませてくれます。キラキラとした派手なサウンドではないものの、一音一音を丁寧に鳴らすので、
腰を据えてじっくりと音楽を楽しむ にはとても良いですね。味付けが少なく、ヘッドホンの個性をしっかりと鳴らしくれる製品です。逆に、個性を求める方には不向きだと感じました。
FiiO FT3 まず初めに、FiiO FT3で試聴します。FT3は、程よい解像度の高さとドライブ感が特徴的で、音楽を楽しく聴くには最適な製品ですが、K9 AKMと組み合わせると、
迫力はそこそこに芯のある音 で鳴らします。ボーカルは艶感があって、鳴っている距離も近いため、
ボーカルメインで楽しむには良い ですが、スネア・バスドラのアタックにインパクトが感じられにくく、もう少しメリハリが欲しいですね。
Meze Audio EMPYREAN Meze AudioのEMPYREANで聴くと、Highゲインでボリュームを13時くらいにしても、音は歪まず左右のバランスも崩れません。LiSA/Catch the Momentを14時くらいで試聴すると、音圧高めですが、音割れもなく、
迫力満点なサウンド で楽しく聴けました。
final D8000S Pro Edition final D8000S Pro Editionの場合、アタック感が強めで明るめな音色が特徴的ですが、K9 AKM と組み合わせると
音の角が取れてマイルドになり聴きやすく なりました。シンバル・ハイハット・女性ボーカルのハイトーンなどの高音域は、ボリュームを上げても音割れせずクリアに鳴らします。長時間の試聴でも問題なさそうです。
AUDEZE LCD-X 2021 AUDEZE LCD-X 2021でも試聴してみます。こちらのヘッドホンだと、とても鳴らしにくさを感じます。Highゲインで、ボリュームを15時くらいにして丁度良いくらいですが、低域は厚みがなく、高音域も伸びを感じられませんでした。鳴らしにくいヘッドホンではありますが、やはりK9 AKM では鳴らし切るのは難しいように感じます。
Focal UTOPIA SG 最後に、Focal UTOPIA SGで試聴します。分析的な鳴らし方で解像度の高さが特徴的なヘッドホンですが、その良さは劣らず、聴き応えのあるサウンドで楽しめます。
伸びのある高音域とかっちりとした安心感のあるベースラインが心地よく長時間聴いていたい と思える音質です。
K9 との比較レビュー K9は派手で明るめなサウンド、K9 AKMは、派手さはそこそこに情報量の多さと楽曲の楽しさを感じさせる両立したサウンドです。
製品仕様
DACシステム AK4191EQ+AK4499EX アンプテクノロジー THX AAA-788+×2 デジタル入力 USB Type-C×1系統、USB Type-B×1系統、RCA同軸×1系統、TOS光×1系統、Bluetooth×1系統 アナログ入力 4.4mmバランスライン×1系統、RCAライン×1系統 アナログ出力 XLRバランスライン×1系統、RCAライン×1系統 ヘッドホン出力 4ピンXLRバランス×1系統、4.4mmバランス×1系統、6.3mmシングルエンド×1系統 Bluetooth対応コーデック SBC/AAC/aptX/aptX HD/aptX LL/aptX Adaptive/LDAC 対応サンプリングレート USB:PCM768kHz/32bit、DSD512 (Native)、RCA同軸:192kHz/24bit、TOS光:96KHz/24bit
まとめ
FIIO K9 AKM は、・サイズは、K9 Pro ESSとK9 と同じサイズ ・ヘッドホン出力(4ピンXLRバランス×1系統、4.4mmバランス×1系統、6.3mmシングルエンド×1系統)搭載 ・最新デジタル・アナログ完全セパレートDAC「AK4191EQ+AK4499EX」を採用 ・THX社とFIIOが共同開発した「THX-AAA 788+」を2基搭載 ・音の情報量が多く濃厚なサウンド ・味付けが少なく、ヘッドホンの個性をしっかりと鳴らしくれる 豊富な入力に加えてBluetoothレシーバーも搭載されているので幅広い使い方が可能で、しかも比較的お求めやすい価格帯も魅力の据え置き型USB DACレシーバーアンプとなっています。