Empire Ears RAVEN Launch Edition のオーディオ専門店スタッフレビューです。空気伝導と骨伝導を組み合わせた4種類計12基ドライバーを搭載したフラットバランスサウンドが特徴の限定イヤホンを詳しく紹介します。
目次
Empire Earsとは
RAVEN Launch Editionの詳細
RAVEN Launch Editionの音質レビュー
RAVEN Launch Edition と Odysseyを比較レビュー
製品仕様
まとめ
Empire Ears(エンパイアイヤーズ)はアメリカのジョージア州アトランタを本拠地とするカスタムIEMブランドで、医療用・一般用・プロ用の各市場において30年以上の経験をもつメーカーでもあります。
近年では、Astell&Kernとタッグを組んだハイクラスコラボイヤホン「Odyssey(オデッセイ)」を発売。国内30台の限定販売ということもあり、あっという間に完売してしまいました。
【音質レビュー】Astell&Kern × Empire Ears Odysseyは国内30台限定の見た目もサウンドも特別なコラボイヤホン!
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そのEmpire Earsが、今度はコラボでなく単独でハイクラスイヤホンをリリースします!それがこちらの「RAVEN Launch Edition(レイブン ローンチエディション)」です!
今回はこのRAVEN Launch Editionについて詳細と音質のレビューをお届けします。
まずはこのモデルの立ち位置からご紹介しましょう。
Empire Earsが2024年の新しいフラッグシップ・ユニバーサルイヤホンとして開発したモデルが「RAVEN」なのですが、その誕生を記念した特別限定モデルとして400台のみ生産されることになったのがこの「RAVEN Launch Edition」というわけです。Launch(ローンチ)には”立ち上げ”とか”始まりの”という意味があります。
Odyssey同様に巨大なパッケージのスリーブには、限定モデルであることを示す金色のステッカーが輝いています。
パッケージを開くと真ん中にRAVEN Launch Edition本体、左側に主な付属品を収めた箱、右側にドキュメント類(その下にキャリングケース)が姿を現します。
RAVEN Launch Editionにはレザーキャリングケース、イヤーピース、クリーニングツール、マイクロファイバークロス、クイックスタートガイド、レザーケーブルクリップ、Launch Editionならではの特典としてディーン・ヴァン氏(Empire Ears創設者で技術最高責任者)とジャック・ヴァン氏(副社長)のサイン入りサンクスカード、本体と同じシリアルナンバーが入った特製コインおよび収納ケースが付属しています。
イヤーピースはfinal製TYPE Eで、XS/S/M/L/XLの5サイズとなります。ホルダーにはEmpire Earsとfinalのロゴがそれぞれ刻印されていました。
RAVEN Launch Editionのフェイスプレートは、限定400台のみの特別仕様となる”サテンゴールドメッキ”を施した316Lステンレススティール製で、右側のプレートにはブランドロゴが、左側のプレートには北欧神話の大神・オーディンの目”The Eye of Odin”がデザインされています。
「316L」は別名サージカルステンレスとも呼ばれ、もともとのステンレスからさらに耐腐食性が高く金属アレルギーが出にくいという性質を持っているため腕時計やアクセサリー、医療用器具にも使われている素材です。
なお、Empire Earsが金属のプレートを採用するのは今回が初とのことです。このプレートは内蔵する骨伝導ドライバーの性能をより引き出し、音波共鳴、増幅、拡散を助けることで相乗効果を生み出し、RAVENの音響性能を引き上げるという役割もはたしています。
ステムはシェルと一体型で音導孔(ボア)は5つ。まるで輪切りにしたトマトのようにも見えますね。
RAVEN Launch Editionのドライバー構成は、4種類の異なるドライバーを組み合わせた”クアッドブリッド12ドライバー”となっています。
9mm径のダイナミックドライバー「W9+(ウェポンナインプラス)」をデュアル構成で搭載し、轟くようなパワー感と比類なき低音再生を実現したほか、BAドライバーメーカーを代表するKnowles社とSonion社の協力によって設計された特注のBAドライバー5基が中音域を再生。さらにツイーターの役割を果たす4基のSonion社製ESTドライバーが高域を担当し、独自開発の「W10(ウェポンテン)」骨伝導ドライバー1基が音波では知覚できない超低域を再生する、という構成です。
これらの「空気伝導」と「骨伝導」の両方式の長所を活かすことのできる”デュアル・コンダクション・アーキテクチャー”により、没入感のあるピュアなステレオフォニックサウンドを実現しています。
付属のケーブルはPW Audioとのコラボレーションによる専用用カスタムデザインモデル「R7」で、0.78mmカスタムIEM 2pinコネクターとプレミアム4.4mm5極ロジウムメッキバランスプラグを採用しています。
R7というネーミングには、RAVENにふさわしいケーブルを作り上げるため7度にわたってチューニングを繰り返したという意味が込められているそうです。
それではRAVEN Launch Editionの音質チェックとまいりましょう。プレイヤーには、いよいよ2月10日の発売が決定したAstell&Kernの「A&Ultima SP3000 Gold」を用意し、イヤホン・DAPとも”フラッグシップモデルの限定ゴールドバージョン”という組み合わせにしてみました。
【商品情報】Astell&Kern A&Ultima SP3000 Gold
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やや明るめのフラットバランスなサウンドで、各音域の階層がしっかりと描き分けられているかのような分離感の良さが特徴です。音場は左右方向への充分な広さを感じさせます。
高域・中域とも少し硬質でヌケ感が良く、低域も量感より質感をズンと体感させるような重さを持っています。このあたりには音域ごとに異なる方式のドライバーを採用した効果が出ているのかも知れません。
限定モデルの先輩格 Astell&Kern × Empire Ears Odyssey と比べてみるとどうでしょうか。
ドライバー構成の違い(RAVEN Launch Editionの方が超高域用ESTドライバーが2つ多い)もあり、特に高域のパキッとした主張の有無、各音域の個性を強く出すOdysseyに対しフラットにまとめ上げるRAVEN Launch Edition、というような差異があるように思いますが、高域表現を除けばRAVEN Launch Editionは「SP3000搭載の専用EQをオンにしたOdyssey」のサウンドに近いように感じました。
まるで3段階のラミネーションで構成された9つのポリマー層によりキラキラと輝くOdysseyと、サテンゴールドメッキで控えめながら渋く光るRAVEN Launch Editionの各フェイスプレートの見た目の違いがそのまま音に現れているかのようです。
ドライバー | クアッドブリッド12ドライバー | ドライバー数 | 2DD+5BA+4EST(静電)+1BC(骨伝導) / (片側)12ドライバー |
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ドライバー構成 | 【超高域】Sonion静電ドライバー×4 【高帯/中域】SonionカスタムBAドライバー×1、KnowlesカスタムBAドライバー×4 【低域】「W9+」ダイナミックドライバー×2 【超低域】「W10」骨伝導ドライバー×1 |
再生周波数 | 5Hz - 100KHz |
感度 | 100dB @ 1KHz,1mW | インピーダンス | 2Ω @ 1KHz |
【商品情報】EMPIRE EARS RAVEN Launch Edition
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