ブランド創立100周年記念モデルbeyerdynamic DT 770 PRO X Limited Editionのオーディオ専門店スタッフレビューです。DT 770 PROをベースに長く使えるつくりと最新ドライバーを搭載した特別モデルを詳しく紹介します。
目次
beyerdynamicは創立100周年
DT 770 PRO X Limited Editionの特徴
DT 770 PRO X Limited Editionの音質レビュー
製品仕様
まとめ
beyerdynamic(ベイヤーダイナミック、以下「beyer」)は1924年、オイゲン・ベイヤー氏によってドイツ・ベルリンで設立されたオーディオメーカーです。ということは…そう、今年2024年はブランド創立100周年!という記念すべき節目の年なのです。
そのbeyer創立100周年を記念する、特別なヘッドホンがこの春登場します!それがこちらの「DT 770 PRO X Limited Edition」です!
今回はこのDT 770 PRO X Limited Editionについて、詳細及び音質レビューをお届けします。
紙製のボックスを開けた様子がこちら。beyerに限らずヨーロッパのメーカーは環境に配慮したパッケージを採用することが多く、このモデルでもパッケージのほとんどに紙素材が使われています。
こちらがDT 770 PRO X Limited Editionの内容物です。本体、ケーブル(ストレート・3m)、ポーチ型キャリーバッグ、マニュアル類となっています。
ヘッドホン本体を見ていきましょう。100年の歴史を持つbeyerですが、製品ラインナップが非常に長く安定して供給されていることでも有名です。今回のDT 770 PRO X Limited Editionも、1985年(約40年前)に発売された定番モニターヘッドホン・DT 770 PROがベースモデルとなっています。
DT 770 PRO X Limited Editionはベースモデルと同じく密閉型ヘッドホンです。ハウジングの帯状部分にはモデル名が刻まれています。
ヘッドバンドとアームとの接合部分には「y」のブランドロゴと、100周年記念モデルであることを示すようにブランド設立年(1924)とDT 770 PRO X Limited Editionの発売年(2024)とを刻印。
ヘッドバンドのつくりや…
薄いクッションでくるっと包み込んでスナップボタンで留めただけのようなヘッドクッションも、ベースモデルそのままといった感じです。
唯一異なるのは、ベースモデルが無地なのに対し、DT 770 PRO X Limited Editionでは頭頂部にブランド名が刻印されてるあたりでしょうか。
なにしろ40年前から変わらないデザインとつくりなので、ヘッドバンドの構造も非常にシンプルです。クッションのスナップボタンを外してみるとこのとおり。単純な仕組みではありますが、だからこそ壊れにくく側圧の調整もしやすいという側面を持っているパーツです。
イヤーパッドもbeyerファンには見慣れた、シルバーグレーのベロアタイプです。
ベースモデルとの決定的な違いは主に2つあります。ひとつめはケーブルが着脱式かつストレート(ベース)になった点。ケーブルコネクタはmini XLRの3ピンタイプとなっています。
プラグ部分はシングルエンドの3.5mmで、6.3mm変換アダプタも付属しています。ちょっと注意が必要そうなのが、このアダプタのネジ留め部分。プラグの根元よりやや上に設けられているので、他のネジ式アダプタではうまく接触しないかもしれません。うっかりなくしたりしないようお気をつけください。
そしてもうひとつのベースモデルとの決定的な違いが、内蔵ドライバーが現時点での最新モデル「DT 700 PRO X」や「DT 900 PRO X」で採用されている”STELLAR.45ドライバー”になっている点です。
つまりこのDT 770 PRO X Limited Editionは、外見こそ昔ながらのモデルでありながら中身は最新という”ギャップ”が特徴のヘッドホンなのです。
それではDT 770 PRO X Limited Editionの音質チェックとまいりましょう。今回はTEACのUSB-DAC内蔵ヘッドホンアンプ・UD-505-Xを組み合わせて試聴してみました。
【商品情報】TEAC UD-505-X
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高域の刺激と低域の深み、というベースモデルのDT 770 PROが持っていたキャラクターの強さを受け継ぎつつ、最新ドライバー「STELLAR.45」により解像感が格段にアップグレードしたサウンドという印象です。
ベースモデルはよく「暗い音」と表現されるように深く沈み込む低域と量感とが特徴的でしたが、このDT 770 PRO X Limited Editionでは量感部分がかなりスッキリと整理されたようで、ヌケ感もよくやや晴れやかな音色のように感じます。音場はリスナーの周辺に集まるかのようにやや狭いものの、定位感・立体感は良好でモニター用途にもしっかりと応えてくれるかと思います。
デザイン面では刻印など凝っている部分はあるものの大きくは変わらないのでもうちょっと変化が欲しい気もしますが、ご紹介したように”シンプルなつくりだからこその丈夫さ”がこのモデルの魅力でもあるように思います。
記念モデルだからと大事にしまい込むのではなく、日々愛用できるような製品として送り出したい、というのが長年に渡ってヘッドホンを作り続けてきたbeyerの想いなのではないでしょうか。
形式 | 密閉型 | インピーダンス | 48 Ω |
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SPL @ 1 mW/500 Hz | 98 dB | SPL @ 1 V/500 Hz | 112 dB |
コネクタ | Gold-plated mini stereo jack plug (3.5 mm)& 1/4" adapter (6.35 mm) | 重量 (ケーブルを除く) | 305 g |
【商品情報】beyerdynamic DT 770 PRO X Limited Edition
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