LUXURY & PRECISION E7 4497 PREMIUMをオーディオ専門店スタッフがレビューします。サウンドチューニング機能・PA電圧調整機能を搭載、落ち着いたトーンと広いダイナミックレンジが特徴のDAPを詳しく紹介します。
目次
LUXURY & PRECISIONとは
E7 4497 PREMIUMの特徴
E7 4497 PREMIUMの音質レビュー
製品仕様
まとめ
LUXURY & PRECISION(ラグジュアリーアンドプレシジョン、以下L&P)は2014年、世界的な半導体メーカーで経験を積んだエンジニアたちが中心となって立ち上げた中国のオーディオブランドです。ブランド名は中国語で「楽彼(ルー・ビー)」と発音します。より忠実な音の再現、より贅沢な使い心地を追求し、高性能HIFIポータブルミュージックプレイヤーを中心に人気を誇るブランドです。
そのL&Pが昨年の『春のヘッドフォン祭2023』で参考展示していたポータブルプレイヤーを覚えている方はいらっしゃるでしょうか?
その参考展示から1年、ついに製品として正式発表される日を迎えました!それがこちらの「E7 4497」です!
今回はこの最新DAP「E7 4497」についてご紹介いたします。
さて、詳細に入る前にひとつご説明しなければなりません。
このE7 4497、参考展示から1年という時間を経る間に
それでは改めて、E7 4497 PREMIUMの本体がこちらです。サイズは横71mm×縦133mm×厚さ20mm、重さは300gとハイクラスDAPとしては一般的なサイズです。
本体上部にはボリュームノブと4.4mmバランス出力端子、3.5mmシングルエンド出力端子が並びます。先に触れたとおり、今回はPREMIUMモデルを使用しているためボリュームノブは金色です。
本体下部にはmicroSDカードスロットとUSB Type-C端子を備えます。なお、E7 4497には内蔵ストレージがありませんのでご注意ください。ちなみにこれまでのL&P製DAPと異なり、このE7 4497ではexFATフォーマットのmicroSDカードが使用可能です。
また、PCやスマートフォンと接続することでUSB-DACとしての利用も可能となっています。
左側面にはなにもなし。
右側面には「進む」「再生・停止」「戻る」、そして電源の各ボタンが並びます。
背面の上部にはL&Pのロゴが。そして背面の70%ほどがこのE7 4497の特徴のひとつである”交換式モジュール”で占められていることがわかります。
交換式モジュールを採用したDAPはこれまでもさまざまなメーカーからリリースされていますが、このE7 4497用モジュールの特徴は「イヤホンジャックを本体側に配置することで広大なスペースを確保した」という点です。これにより、DACアナログ部へ独立電源回路を多数配置、各チャンネルのコンデンサの増設、各オペアンプへの±独立電源供給回路の設置、可変電圧供給設置など、どうしても物理的スペースを必要とする音質アップのための設備を搭載することが可能となりました。
交換式モジュールのフチには、このモジュールがPREMIUMモデル用であることを示す「EXCLUSIVE」の文字。
なお、現時点ではまだ他のモジュールに関する情報は発表されていません。
E7 4497にはモデル名にも表れているとおり、旭化成のDACチップ「AK4497」がデュアル搭載されています。このAK4497は2016年にリリースされて以降、さまざまなハイクラスDAPや据置機器に採用されるほどの高い評価を得たDACチップなのですが、2020年の工場火災の影響により惜しまれつつ生産を終えてしまった”伝説のDACチップ”でもあります。
E7 4497 PREMIUMではSTANDARDモデルにはない2つの機能が使用可能です。そのひとつが「LP Tune」。これは通常のEQとは別に用意されたサウンドチューニングで、Low Distortion / High Dynamic / Harmonic Tuneの3種類を切り替え可能となっています。
つまり、PREMIUMモデルではプリセット6種+カスタム3種のEQ、DAC内蔵のデジタルフィルター6種、そしてこのLP Tune3種をそれぞれ組み合わせて設定することができるのです。
もうひとつのPREMIUMモデルならではの機能が「PA電圧調整機能」。これはE7 4497 PREMIUMに搭載されているオペアンプにかける電圧の値をユーザーが設定可能という機能で、2019年4月に発売されたL&Pの限定DAP「LP6 Ti199」のオーダー時に指定可能だった項目と同じです。
「えっ、でも電子部品のことをよく知らないと適当にいじって壊してしまうのでは?!」という方もご心配なく、設定できる電圧はもちろん安全な範囲に制限されています。また、どう設定したらよいのかわからなければ「自動」にしておけばメーカーの推奨する電圧に設定されますのでご安心ください。
E7 4497に搭載されているOSは、オーディオ再生に特化した新開発の「LE OS」です。そのため、アプリの追加やストリーミング再生などは一切できません。ファイルの管理も(これまでのL&P製DAPをご存知の方にはおなじみですが)タグ情報は”曲名”や”アーティスト名”くらいしか読み込まず、曲順はA-Z順またはZ-A順の表示となります。
このあたりは「タグ情報の曲名の先頭に『01』など番号を振る」といった運用が必要になるなど、ちょっとクセがありますね。
Bluetooth機能は搭載していますが、こちらも「レシーバー機能のみ」に対応しています。つまり、このE7 4497と完全ワイヤレスイヤホンを組み合わせて…という使い方はできません。
スマートフォンなど送り出し側の機器で再生した音楽を”E7 4497で聴く”ための機能となっています。単体ではサポートしないストリーミング再生をこの機能でカバーするようなイメージでしょうか。
それではE7 4497 PREMIUMの音を聴いてみたいと思います。イヤホンには業界で初めてとなる4基のダイナミックドライバーを搭載した「Oriolus Monachaa」を組み合わせてみました。
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柔らかさを感じる落ち着いたトーンの音質ですが、それぞれの音がいきなり鳴りだすのではなく”なにもないところからスッと立ちのぼる”かのように現れるような感覚をおぼえます。
高域は強く主張こそしないものの自然な伸びやかさを持ち、中域には生々しさを感じさせる艶、低域には豊かさと深みがそれぞれ備わりつつも、すべての音域がなめらかにつながるナチュラルサウンドという印象です。逆にいえばパッと聴いた瞬間に感じる派手さやキャラクターの強さはありませんが、じっくりと聴けば聴くほど良さに気がつく音作りであるように思います。
とはいえ、この音質を実現するためのトレードオフが存在することもたしかです。まずはなんといってもバッテリー消費の激しさ。満充電状態から1時間ほどのアルバム(24bit/96kHz)を再生したところ、残りが70%ほどまで減少しました。
またそれにともない本体がそこそこ熱を持つ(もちろん触れないほどではありませんが)ので、運用時にはちょっと気をつかう必要がありそうです。
そしてすでに挙げたような曲順表示やレシーバー限定のBluetooth機能など、一般的なDAPに比べるとクセが強めでもあります。そういった部分はさておき音質に関しては誰にも負けないんだ!という製品としての魅力を持ったプレイヤーがこのE7 4497 PREMIUMです。
サイズ | 71 x 133 x 20 mm | 重量 | 300g |
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DACチップ | AK4497 x 2 | OS | LE OS |
出力 | 3.5mmシングルエンド出力ポート(LO、PO、SPDIF間切替可能)、4.4mmバランス出力ポート(LO、PO間切替可能)、USB TYPE-Cポート(データ転送、USB-DAC間切替可能) | Bluetooth対応コーデック(受信) | LDAC、APTX、APTXHD、APTXLL、AAC、SBC |
【商品情報】LUXURY & PRECISION(L&P) E7 4497 PREMIUM
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