Shanling EC Zero Tのオーディオ専門店スタッフレビューです。真空管デュアル搭載と自社開発DACチップが生み出す、アナログライクなウォームサウンド!最新ポータブルCDプレーヤーの特徴と音質について詳しく紹介します。
目次
Shanling EC Zero Tとは
CDとは
Shanlingとは
特徴
CDをセットする
音質レビュー
製品仕様
まとめ
今回は、6月20日発売予定の最新ポータブルCDプレーヤー「Shanling EC Zero T」の特徴および音質レビューを紹介します。
・レイセオン社製真空管「JAN6418」をデュアル搭載
・自社開発R2R DACアーキテクチャ「Kunlun(コンロン)」を採用
・中低域をメインとしたウォームサウンド。アナログ感がアップするTubeモード搭載
アナログ的な温かみやリアリティを、絶妙に表現してくれるCDプレーヤーです。
【商品情報】Shanling EC Zero T
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「音楽はサブスクで聴くのがあたりまえ」となりつつある今、そもそも「CDってなに?」という方もいらっしゃるかもしれません。そこでまず「CDとはなにか」について、簡単に説明したいと思います。
CD(コンパクトディスク)は、ソニーとフィリップスという2大電気機器メーカーの共同開発によって誕生した記憶媒体です。表面に細かい凹凸(ピット)が刻まれており、再生時にはこのピットの有無をレーザー光線で読み取り、デジタル信号として扱う仕組みです。
1982年10月1日に初の据置型再生機と音楽ソフトが発売され急速に普及し、1986年にはLPレコードの年間発売枚数を上回りました。2000年代に入って音楽配信サービスが広がると生産は減少しましたが、日本では今も一般的な音楽を聴くためのメディアとして使われています。
そしてそのCDを再生するため機器が、今回ご紹介する「Shanling EC Zero T」などのCDプレーヤーです。
Shanling(シャンリン)は、1988年に中国で設立されたオーディオブランドです。小型USB-DAC、ヘッドホンやイヤホンなどの幅広い製品ラインナップを誇り、特に日本国内ではポータブルオーディオプレイヤー(DAP)の「Mシリーズ」が高い人気を集めています。
フラッグシップDAP「Shanling M8T」は、ハイクラスDACチップ「AK4499EX」×2 +「AK4191EQ」×2を搭載する一方で、アナログライクな音を奏でる真空管「JAN6418」も搭載し、マニア心をくすぐるユニークな構成が話題となりました。
Shanling M8T レビュー | 3つのサウンドモードが楽しめる真空管搭載DAP
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天板部には、曲数や再生時間などの各種設定を確認できるディスプレイや、操作ボタンが配置されています。
重さは約669g。サイズは158 x 150 x 28mmと、CDケースより2まわりほど大きい程度です。
手前のフロントパネルには、スライド式のボリュームノブと、3.5mmシングルエンドおよび4.4mmバランスのヘッドホン端子が並びます。バランス接続に対応している点は、まさに現代的なプレーヤーらしさを感じさせます。
背面には、左から4.4mmバランスおよび3.5mmシングルエンドのライン出力端子、3.5mm同軸/光デジタル出力端子、Bluetoothアンテナ、DAC入力用のUSB-C端子、充電およびリッピング用のUSB-C端子、電源モード切替スイッチが並びます。この端子類の多さからも、「Shanling EC Zero T」が多機能なCDプレーヤーであることがわかります。
Bluetoothコーデックは、SBC、aptX、aptX Adaptiveに対応しています。そのため、ワイヤレスイヤホン・ヘッドホンでも手軽に音楽を楽しめます。
右側面には、ボタンの誤操作を防止するキーロックスイッチが配置されています。
左側面のフロントパネル付近には、控えめなサイズの電源ボタンを配置。
なお、5500mAhリチウムイオンバッテリー内蔵のポータブルCDプレーヤーですので、買ったCDをすぐ開封して音楽を楽しむという、DAPにはできないCDプレーヤーならではの楽しみ方も可能です。
天板部の操作部には、上段に停止・再生、下段にファンクションキーと戻る・進むのボタンが並びます。ファンクションキーは短押しすることで、通常のCDプレーヤーモードとUSB-DACモード(背面のUSB-C端子にPCやスマホを接続し、DAC内蔵ヘッドホンアンプとして使用)との切り替えが可能です。長押しすると、ゲイン変更やリピート再生、左右バランス調整などの各種設定を呼び出せます。
「Shanling EC Zero T」最大の特徴が、先にご紹介したフラッグシップDAP「Shanling M8T」と同じ、レイセオン社製真空管「JAN6418」を2基搭載していることです。
ファンクションキー長押し。設定から「Tubeモード」をオンに切り替えると…
このとおり明かりが灯ります。なお、「Tubeモード」をOFFにするとトランジスタを通した「ABモード」での再生になるので、楽曲やその日の気分で音質を変えるのも面白そうですね。
ほかにも、NOS(ノンオーバーサンプリング)/OS(オーバーサンプリング)の切り替えや、背面の電源モード切替スイッチで「DC外部電力入力モード」に変更することで高出力化が可能。設定変更でさまざまな音質を楽しむことができる点が「Shanling EC Zero T」の魅力です。
そして、もうひとつの大きな特徴が、DAC回路に自社開発R2R DACアーキテクチャ「Kunlun(コンロン)」を採用していることです。汎用のDACチップを使うのではなく、192個もの0.1%高精度抵抗で構成されるR2R DAC回路を使うことで、よりリアリティのあるサウンド表現を実現しています。
ちなみに、コンロン(崑崙)は仙人が住むという中国の伝説上の山の名前で、中国で2番目に長い河川である黄河の源とされている山だそうです。
それではCDをセットしてみましょう。左右の側面にあるくぼみに指をかけ、手動でトップカバー(フタ)を開いて中央のディスクトレイにCDを載せます。
なお、残念ながら曲と曲の間の無音部をなくす「ギャップレス再生」には対応していないため、特にクラシック好きの方はご注意ください。
トップカバーの裏側とディスクトレイには磁気吸着パーツが搭載されており、ディスクを両面から強力に固定します。これによりCDの回転中も高い制振性能と動作安定性が確保されています。
いよいよ「Shanling EC Zero T」の音質を確認したいと思います。組み合わせるヘッドホンには、SENNHEISERの開放型スタジオモニターヘッドホン「HD 490 PRO」を選びました。
【商品情報】SENNHEISER HD 490 PRO
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まずはトランジスタを通した「ABモード」で再生します。中低域をメインとしたややウォーム系のサウンドですが、低域は締まりもありしっかりとした重さが感じられます。
続いて「Tubeモード」をオンにしてみると、全体的に柔らかさが加わる一方で輪郭は甘くなるような変化を感じます。いわゆるアナログ的なサウンドという表現がぴったりな、製品コンセプトがそのまま音になったような印象です。
音場は若干狭めではありますが前後の立体感は充分にあるので、特にライブ音源のボーカルや弦楽器などを楽しむには最適ではないでしょうか。
サイズ | 158X150X28mm | 重量 | 約669g |
---|---|---|---|
スクリーン | 1.68インチLCD | 対応サンプリングレート(USB DACモード) | 768kHz/32bit、DSD512 |
Bluetoothバージョン | 5.3 | Bluetooth送信サポート | aptX Adaptive、aptX、SBC |
【商品情報】Shanling EC Zero T
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今回は、最新のポータブルCDプレーヤー「Shanling EC Zero T」を紹介しました。
・レイセオン社製真空管「JAN6418」をデュアル搭載
・自社開発R2R DACアーキテクチャ「Kunlun(コンロン)」を採用
・中低域をメインとしたウォームサウンドで、Tubeモードではさらにアナログ感がアップ
製品コンセプトにも表れているアナログ的な温かみやリアリティが、絶妙に表現されたモデルになっております。
「Shanling EC Zero T」は、本日からご予約受付開始、発売は6月20日予定です。店頭試聴機もさっそくご用意しておりますので、ぜひお気に入りのCDでじっくりとご試聴ください!