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2024.09.02
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FOSTEX TH1000RP・TH1100RP レビュー | 個性が光るヘッドホン2種

FOSTEX TH1000RP・TH1100RP レビュー | 個性が光るヘッドホン2種

FOSTEX TH1000RP・TH1100RPをオーディオ専門店スタッフがレビューします。阿波藍で職人がひとつひとつ染め上げたハードメイプルのハウジングと最新のプレミアムRPドライバーを搭載した異なるキャラクターの2種を詳しく紹介します。

フジヤエービック店舗イメージ
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FOSTEXのRPテクノロジーとは

FOSTEX(フォステクス)は1973年に誕生した、日本の音響機器専業メーカーです。翌1974年にはブランド初となるヘッドホン「T50」を発売しています。

実はこのT50に搭載されていたドライバーこそ、コイルと一体化した振動板を磁石で挟み込み、振動板全体を均一に駆動するという平面駆動方式のひとつ”RP(Regular Phase)テクノロジー”を採用したドライバーだったのです。以来、FOSTEXは素材や形状、回路などあらゆる要素を改良しながら、このRPテクノロジーを絶やすことなく50年にわたり進化させてきました。

初代RPテクノロジー搭載モデル・T50の画像
初代RPテクノロジー搭載モデル・T50(1974年発売)

そして2024年、RPテクノロジー登場50周年のこの年に2つのRPフラッグシップモデルが発売されました!それがこちらの密閉型ヘッドホン・TH1000RPと開放型ヘッドホン・TH1100RPです!

左:TH1000RP、右:TH1100RPの画像
左:TH1000RP、右:TH1100RP

今回はこのTH1000RPとTH1100RPについて、詳細および音質レビューをお送りします。

TH1000RP/TH1100RPの特徴

パッケージ

まずはパッケージをオープン!SDGsの流れもあるのか、今回のTH1000RP/TH1100RPはどちらもシンプルな紙製の黒い化粧箱に収められています。

左:TH1000RP、右:TH1100RPの画像
左:TH1000RP、右:TH1100RP

パッケージ内容は本体、ケーブル、ポーチ、ドキュメント(安全上のご注意)とこちらもシンプル。付属品を含め製品仕様については基本的にTH1000RP/TH1100RP共通となっており、密閉型か開放型か(およびそれぞれに合わせたチューニング)の違いのみとなっています。

TH1000RPのパッケージ内容
パッケージ内容(TH1000RP)

密閉型TH1000RPのハウジング

続いて各ヘッドホンの外観を見ていきましょう。まずは密閉型・TH1000RPから。大人気モデル・TH900シリーズなど”木”の印象が強いFOSTEX製ヘッドホンですが、今回はハウジングにバイオリンやギターにも使われるハードメイプル(サトウカエデ)の無垢材を使用しています。

TH1000RPのハウジング部分の画像
密閉型モデル・TH1000RP

TH1000RPにおける外観上の最大の特徴は、なんといってもこの深みのある藍色!ベースであるハードメイプルの木目をそのまま活かした、自然な風合いのカラーリングとなっています。

TH1000RPのハウジングのアップ画像
木目を活かした藍染めの風合い

開放型TH1100RPのハウジング

一方、こちらが開放型・TH1100RPです。TH1000RPと同じく藍染めのハードメイプルのハウジングですが、開放型ということでTH808やTH909のように格子状のアルミニウム製エッチングパーツがはめ込まれています。

TH1100RPのハウジング部分の画像
開放型モデル・TH1100RP

ちなみに、この開口部はTH808/909よりもさらに大型化しています。その分せっかくの藍染めハウジングの面積が小さくなってしまうのがちょっと残念ですね。

TH1100RPのハウジングアップの画像
和のテイストを感じさせる格子状のエッチングパーツ

TH1000RPとTH1100RPのハウジングを深みのある藍色に染め上げているのは、徳島県の伝統技法である”阿波藍”です。着物やデニムなどの生地に用いられる藍染めですが、徳島では原料の植物・タデアイを平安時代の終わりごろから栽培、このタデアイの葉を乾燥・発酵させた藍染め用の染料である蒅(すくも)は、江戸時代には「阿波の本藍」として全国に知られる特産品となりました。

このTH1000RP/TH1100RPでは、熟練した職人の手作業によって”塗り”と”乾燥”を繰り返し、ハードメイプルのハウジングをひとつひとつ丁寧に染め上げています。

職人による藍染めの様子(FOSTEX公式動画より)

ヘッドバンド

両モデルともハウジングを支えるフレーム部分には、軽量なマグネシウム合金を新規採用。アルミの場合に比べ20%軽くなっているそうです。

ヘッドバンド部はステンレスの板バネを内蔵したバンドと、シープスキン製のヘッドパッドとの二重構造となっています。

ヘッドバンドの画像
二重構造のヘッドバンド

イヤーパッド

イヤーパッドもこの2モデルのために新規開発されたものとなっています。人間の頭部形状にあわせて前方を薄く、後方を厚くした左右非対称形状とすることで装着感を最適化しただけでなく、高耐久性のシルクプロテイン製合皮を採用しました。

これは従来の素材に比べ約3倍もの耐久性をもっており、着脱式で交換もできるため長年に渡って愛用することが可能です。

イヤーパッドの画像
新開発の高耐久性イヤーパッド

ドライバー

こちらがイヤーパッドを外した状態のヘッドホン本体です。格子状のパーツの奥には、やはりこのTH1000RP/TH1100RPのために生み出された新開発の”プレミアムRPドライバー”が内蔵されています。

FOSTEX伝統のRPテクノロジーが50年の歳月を経て誕生したプレミアムRPドライバーは、従来品の約1.4倍と大型化した振動板を片側11個、計22個の棒状マグネットで挟み込んだものとなっています。これにより音の立ち上がり・立ち下がりの鋭さや滑らかな周波数特性などを実現しています。

新開発のプレミアムRPドライバー

付属ケーブル

付属のケーブルは、7N(99.99999%)グレードの高純度OFC(無酸素銅)アンバランス・ケーブル(6.3mmプラグ)で、長さは2mと従来モデルのもの(3m)よりやや短めとなっています。外装はPVC(ポリ塩化ビニル)製で、サラサラとした手触りです。ヘッドホンとの接続は歴代THシリーズと同じ2pinコネクタで行います。

付属のアンバランス・ケーブル

なお、別売で4.4mmバランスケーブルも用意されているのでバランス接続派の方はこちらもぜひお試しください。

別売の4.4mmバランスケーブル・ET-TH4.4BL

【商品情報】FOSTEX ET-TH4.4BL

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FOSTEX ET-TH4.4BL

TH1000RPの音質レビュー

それではいよいよ両モデルの音質チェックとまいりましょう。組み合わせるヘッドホンアンプには、FIIOデスクトップオーディオシステム・K19を選んでみました。

【商品情報】FIIO K19

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FIIO K19

FOSTEX TH1000RPとFiiO K19

TH1000RPとK19

濃密な中低域の厚みと艶、ウォーム感が際立つ音作りで、ホールのような響きが特徴的です。高域はすっと立ち消え、低域は量感控えめながら芯の通った重さを感じさせます。音場はリスナーの周囲ふた周りほどにぐるっと広がるイメージで、複数の楽器による収録やライブ音源などではより活き活きとしたサウンドが楽しめるヘッドホンになっています。

続いてTH1100RPの音質チェックです。

型式密閉ダイナミック型ドライバーRP方式平面振動板
インピーダンス32 Ω感度100 dB/mW(暫定)
再生周波数帯域10 - 40,000 Hz本体質量(ケーブル含まず)約420 g

【商品情報】FOSTEX TH1000RP

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FOSTEX TH1000RP

FOSTEX TH1100RPとFiiO K19

TH1100RPとK19

こちらは開放型ということもあり、音の濃密さは薄れややあっさりとした音に仕上がっています。中低域はどちらかといえばドライになりますが、高域の伸び、低域の締まりといった部分はTH1000RPより強く感じられる音づくりです。音場もより左右方向へ広がるようなイメージで、いわゆるモニターライクなサウンドが味わえるヘッドホンになっています。

ハウジングやプレミアムRPドライバーといったベースはまったく同じTH1000RPとTH1100RPではありますが、生み出す音にはかなりキャラクターの違いが出るというのがおもしろいところです。

型式オープンダイナミック型ドライバーRP方式平面振動板
インピーダンス32 Ω感度96 dB/mW(暫定)
再生周波数帯域10 - 40,000 Hz本体質量(ケーブル含まず)約420 g

【商品情報】FOSTEX TH1100RP

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FOSTEX TH1100RP

まとめ

国内オーディオメーカー・FOSTEXによる深みのある藍色が印象的なヘッドホンTH1000RPおよびTH1100RPは、
・徳島の伝統技法”阿波藍”で職人がひとつひとつ丁寧に染め上げたハードメイプルのハウジング
・50年館進化を続けてきた独自技術”RPテクノロジー”の最新版「プレミアムRPドライバー」搭載
・濃密サウンドのTH1000RPにモニターライクなTH1100RPと、ベースが同じでもかなり異なるキャラクター

と、外観・中身・サウンドのあらゆるポイントにおいて個性が光るヘッドホンになっています。

TH1000RPとTH1100RPはただいま好評発売中、店頭には両モデルともデモ機をご用意しております。あわせて別売の専用バランスケーブル・ET-TH4.4BLのデモ機もございますので、ぜひこの”50年目のRPテクノロジー”と”日本の伝統技法”が見事に融合したヘッドホンの魅力をご堪能ください!

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