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2024.08.16
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Focal UTOPIA SG レビュー × 太田タカシ|プロのエンジニアによるヘッドホンレビュー

Focal UTOPIA SG レビュー × 太田タカシ|プロのエンジニアによるヘッドホンレビュー

Focal UTOPIA SGをプロのエンジニアの太田タカシさんがレビューします。ハイエンドヘッドホンの中でも不動の人気を誇るUTOPIA SGをヘッドフォン祭会場のLUXMANブースで試聴していただきました。その人気の秘密を詳しく紹介します。

太田タカシプロフィール画像
■ ライタープロフィール
レコーディングエンジニア 太田タカシ
1984年千葉県出身、バンド活動をする傍ら専門学校でレコーディングを学び、卒業後は音楽事務所のスタジオに勤務しレコーディングをしつつアレンジの基礎と制作進行を身につけた。その後、リハーサルスタジオ内のレコーディングスタジオでレコーディング・ミックス・マスタリング業務に従事した後、フリーランスに転身。現在はレコーディングの他にもサウンドプロデュースや若手の育成にも力を入れている。
主な作品参加アーティストはIndigo la End・ゲスの極み乙女。・リーガルリリー・グソクムズ・20th Centuryなど。近年はゲーム音楽やVtuberの作品にも参加している。
Twitter:@tario_ Instagram:@tario_

はじめに

ヘッドホン祭ののぼりの画像

ヘッドフォン祭が中野サンプラザから場所を変えてステーションコンファレンス東京になってから初めて会場に足を運びました。東京駅からほぼ直結というアクセスの良さもあって天候にあまり左右されずに行けていいなぁなんて思いながら会場へ到着。

今回は、夏のヘッドフォン祭mini 2024でLUXMANさんに貴重なお時間をいただき、ブースにてお話を伺いつつFocal UTOPIA SGを試聴しましたので詳しくレビューしていきます。

ハイエンドヘッドホンについて

みなさんはハイエンドヘッドホンに対してどのような印象がありますか?

私自身は実際にハイエンドヘッドホンに触れて聴いてみるまでは、良い素材やドライバーを使用している分、当然良いのだろうけど癖や色付けが強いのかもしれない、何でも良い感じに聴かせてしまうのではないかという印象が正直ありましたが、実際にさまざまなメーカーのハイエンドヘッドホンを聴かせていただく機会が増えたことで、だいぶ印象が変わりました。

どのメーカーも原音をどのくらいしっかり再生するかを研究して開発していることを感じます。例えば、過度特性や周波数特性、純粋に聴いた印象など、何を大事にしているかという点が、各メーカーのカラーとして音に表れており、ハイエンドヘッドホンはその集大成だと感じています。

Focalブランドの印象

ヘッドフォン祭LUXMAN・Focalブースの画像

Focalはレコーディングにも馴染みが深いメーカーです。Focalのモニタースピーカーを導入しているスタジオも多く、またレコーディングエンジニアが個人で所有していたりしていることも多いです。

Focalを導入しているスタジオにお世話になることが多いので、サウンドチェックなどで使用することがあります。音の印象としては癖が少なく、程よいレスポンス感とモニターでありながらシビアすぎないところもあるので、クライアントからのウケが良い印象です。モニターヘッドホンのラインになりますが、使っているエンジニアも多いです。

FOCAL PROFESSIONAL LISTEN Professionalの画像
FOCAL PROFESSIONAL LISTEN Professional

Focal UTOPIA SG

そんなエンジニアからも熱い支持を得ているFocalの製品から今回レビューするのはリスニングヘッドホンのフラッグシップモデルFocal UTOPIA SGです。

Focal UTOPIA SGの全体画像

初代UTOPIAは2016年に発売され、その音質と存在感で人気を博しました。UTOPIA SGは2022年に発売された次世代機にあたります。ちなみに「SG」は「Second Generation」の略で、大きな変更点はヘッドバンドの素材変更による軽量化と、品質の安定性の向上によっていわゆる「個体差」をなくし、製品寿命が延びたことで不動の人気を獲得しています。

Focal UTOPIA SGの試聴レビュー

試聴環境

ヘッドフォン祭LUXMANアンプにUTOPIA SGを接続した画像

今回はヘッドフォン祭のLUXMANブースで視聴させていただきました。

LUXMANネットワークワークトランスポートNT-07ーDD→SACD/CDプレイヤーD-07XーDA→ヘッドホンアンプP-750uにFocal UTOPIA SGを接続して試聴しました。通常はスピーカーを繋いで聴くような環境でヘッドホンを試聴できるという贅沢な環境です。

余談になりますが、LUXMAN展示ブースではクリーン電源のES-1200を持ち込んで電源環境を作っていらっしゃいました。どんな環境でも良い音で聴いてもらおうという姿勢にとても感銘を受けました。

それでは、試聴していきましょう。

装着感

UTOPIA SGの画像

装着感は、見た目の印象に反して思いのほか軽いです。軽いのですが、しっかりとした造形ということを感じさせる重量感はあります。この軽さと造りのため、長時間装着しても疲れにくいのではないかと思います。

アンバランス出力で試聴

まずは、アンバランス接続で試聴します。第一印象は、「あれ?ヘッドホンつけてるよね?」という印象でした。とても自然にサウンドが耳に入ってくるのでヘッドホンであることを忘れて、一流のマスタリングスタジオのスピーカーで聴いているときに感じる目の前に演奏者が見えてくるかのようなサウンド感で全ての帯域がしっかり過不足なくバランス良く鳴っている印象です。

低域は特に量感があると他の帯域が聞こえてこないことがありますが、しっかり出ているのに上の帯域を邪魔しないバランスがとても印象的です。ドライバーがスムーズかつ繊細に動いている証拠だと思います。

バランス出力で試聴

次にバランス接続で試聴します。こちらはも基本的な印象は変わらないのですが、アンバランスと比べて左右の分離感が増す感じがします。その結果トランジェントもより際立って聞こえます。このトランジェントも耳をつくような鋭さはなく、スピード感が増したという印象です。

アンバランスとバランスは、もちろん音が変わるのですが、個人的にはどちらが優れているということではないと思います。実際にLUXMANの担当者さんもどちらかを推奨しているわけではなくお好みでということでした。

私自身もUTOPIA SGでリスニングするのであれば、ゆったり長時間聴くなら「ちょいふわ」のアンバランス接続で、実作業や音源の研究で使うなら細部を聞きたいので「ちょいパキ」のバランス接続というように使い分けたいと思いました。

【商品情報】Focal UTOPIA SG

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Focal UTOPIA SG

まとめ

Focal UTOPIA SGを装着している画像

UTOPIAは発売当時から選ばれ続きてきているヘッドホンのひとつだと思います。初代UTOPIAの登場以降、多くのメーカーがハイエンドヘッドホンを発表していますが、その中でも選ばれて続けている理由はやはりサウンドに尽きると思います。
・大音量で音源を流してもどの帯域も飽和することなく音量が上がり続けるその余裕
・小音量で流してもディティールを失わずに再生できる繊細さ
・両方を兼ね備えているため、特にジャンルを問わずに記録された音をそのままのダイナミックレンジとスピードで再生できる


このサウンドが、プロからオーディオファイルまで色んな人がUTOPIA SGを選ぶ理由になっていると感じました。実際にいつかはUTOPIAをと思っている方も少なくないのではと思います。

良質なスタジオで聴いているようなヘッドホンを皆さんもぜひ一度試聴してみることをおすすめします。「良い音源を聴くと目の前にアーティストが現れる」そんな感覚にさせてくれるヘッドホンです。

AZURYSの画像
Focal AZURYS

今回LUXMANさんのブースではUTOPIA SGの他にも秋発売予定の新製品HADENYS(開放型)とAZURYS(密閉型)が展示されていました。その他にもノイズキャンセリングを搭載しているBluetoothヘッドホンBATHYSも展示されていました。

新製品はもちろん気になるのですがBATHYSは有線接続もできるようなのでかなり気になります。今度BATHYSも試聴してみようと思います。

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