ノイズ対策に効果があるバランス接続対応のヘッドホン・イヤホンが近年増えています。この記事ではバランス接続の仕組みと特徴、注意点を解説します。また、おすすめのバランス接続対応イヤホン・ヘッドホン、小型USB-DACを紹介します。
目次
バランス接続とは?仕組みを解説
バランス接続端子の種類
バランス接続のメリット
バランス接続のデメリット
バランス接続対応のイヤホン・ヘッドホンを選ぶときの注意点
おすすめのバランス接続対応イヤホン
おすすめのバランス接続対応ヘッドホン
バランス接続対応のおすすめ小型USB-DAC
まとめ
バランス接続とは、プレイヤー・アンプとイヤホン・ヘッドホンを接続する方法のひとつで、左右の「音の信号」を独立させて接続するというものです。
一般的なステレオミニプラグを使用する接続方法はアンバランス接続と呼ばれ、左右の信号を共有するため、音の定位や繊細な表現においてはバランス接続の方が有利となります。
バランス接続は、音域バランスや音色が変わるということはなく、あくまでも空間表現に影響するものです。
少し難しい表現になりますが、詳しく解説していきます。
ヘッドホン・イヤホンの音を出す仕組みは基本的に同じです。ケーブルを介して伝わった「音の信号」を音を鳴らす機構であるドライバーユニットに伝え、振動版(空気を振動させて音を出す非常に薄く軽い板)が空気を振動させることで音を鳴らします。
「音の信号」を出すアンプからケーブルに音を伝えますが、左右それぞれホット(+)とコールド(-)の信号L(+)、L(-)、R(+)、R(-) 合計4本のチャンネルが存在します。
この信号が一般的に使われている3.5mmプラグ(ステレオミニ・ステレオ標準プラグ)のアンバランス接続では、左右のマイナス信号を、ヘッドホン内でグラウンドに共通化する仕組みになってます。
そのため、接続する端子はL(+)、R(+)、L(-)+R(-)(グラウンド)の3極となり、端子が一つ減ることでコストダウンや量産化が容易になることから広く採用されるようになりました。
バランス接続では、グラウンドが無く、L(+)、L(-)、R(+)、R(-)の4つで構成されています。 4本全てのチャンネルがそれぞれセパレートされた状態でアンプに接続されます。
回路構成が複雑になるため、当然コスト面やサイズが大きくなってしまうといった点では不利になりますが、ノイズ低減や繊細な表現などにメリットがあるため、DAP(ポータブル音楽プレーヤー)やポータブルヘッドホンアンプにもバランス接続の採用例が増えています。
バランス接続端子は、多くの種類がありますが、主にオーディオのリスニング向けに使用されている3種類を紹介します。
ポータブルオーディオや据え置き型ヘッドホンアンプに多く採用されているバランス接続端子です。主にポータブル機器で使用される3.5mmステレオミニのバランス対応版ともいえるでしょう。
元々バランス接続の規格はXLRが主流でしたが、ポータブル向けには大きすぎることから、採用された規格が2.5mm5極プラグです。
XLRは業務用機材で多く使用されているスタンダードなバランス接続端子です。キャノンコネクターとも呼ばれます。XLRは出力にオス端子、入力にメス端子が使われます。
ヘッドホン用のバランス接続では、4ピンのバランス端子が多く採用されています。
アンバランス接続は、左右のマイナス信号がグラウンドと共通化されています。そのため、左右の信号が相互干渉してしまう「クロストーク(漏話)」という現象が起きてしまうことがあります。
クロストークは、気にする必要はないレベルとも言えますが、インピーダンス値が小さく繊細な音を聴きたいという場合や本来のステレオ感を生かした透明感のあるすっきりとした音を楽しみたいという場合は、バランス接続にすることで、クロストークなどのノイズの影響を受けにくくなります。
このように、左右の音が分離することで、定位感が良くなり、さらに立体感のある音を楽しめるようになります。
バランス接続のヘッドホンでは、左右それぞれホット(+)とコールド(-)の2系統がアンプに接続され、分担して信号の増幅を行います。そのため、ホット(正相)のみで増幅を行っているアンバランス接続のヘッドホンに比べると、アンプの仕事量が軽くなり、各アンプの出力電圧は約半分にまで低減することが可能になります。
アンプに負荷をかけずに動作させることで、応答速度(スルーレート)が向上します。これにより、音のアタックとリリースの再現性が正確になり、キメ細やかな音を再現することができるのです。
グラウンド電位は、振幅の基準となる電位のことです。片側をグラウンド、もう片方をアンプという状態で駆動している通常のアンバランス接続では、この電位に変動が生じるためノイズや音の曇りなどが発生することがあります。
一方、バランス接続では、グラウンドの電位変動が流れず、安定することで信号の揺らぎが少なくなり、音質が向上すると言われています。
バランス接続対応のイヤホン・ヘッドホンがあっても対応のアンプやケーブルでないとその素晴らしい魅力を堪能することはできません。バランス駆動対応のアンプやケーブルなど、周辺機器も対応品を揃える必要があります。そのため、全て揃えると高額になってしまう場合があります。
バランス接続端子は、統一化されておらず、各メーカーごとにさまざまな規格が入り混じっています。
2016年に一般社団法人 電子情報技術産業協会(JEITA)が音楽鑑賞用ヘッドホンの規格「RC-8141C」を改正し、ヘッドホン用バランス接続コネクタが4.4mm5極に規定されました。
これにより、3.5mmに加えて4.4mm 5極バランス接続を採用したヘッドホン・イヤホン、DAP(ポータブル音楽プレーヤー)・ヘッドホンアンプが増えていますが、対応はメーカー、機種により異なるのが現状です。
バランス接続対応のイヤホン・ヘッドホンは、オーディオプレーヤーやアンプに対応の接続端子が搭載されていないと使用できないので注意が必要です。変換ケーブルなどが必要になる場合もありますので、接続端子の規格がヘッドホン側とアンプ側で一致しているかを事前に入出力端子の種類を確認しましょう。
バランス接続に対応していないイヤホン・ヘッドホンでも、リケーブル(ケーブルを交換)することでバランス接続に対応する機種もあります。リケーブルすることで音の変化も楽しめますので、まずは試したいという方にもおすすめです。また、プラグの交換によりバランス接続に対応する機種もあります。
ただし、リケーブルが可能なイヤホン・ヘッドホンでもバランス接続に対応していない機種はバランス接続が使用できませんので注意が必要です。
【商品情報】qdc SUPERIOR
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qdc SUPERIORは、別売の4.4mmバランスケーブル「qdc SUPERIOR Cable 4.4-IEM2pin」にケーブル交換することでバランス接続が可能です。
【商品情報】qdc SUPERIOR Cable 4.4-IEM2pin
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【商品情報】AZLA HORIZON II
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【商品情報】FIIO FD15
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【商品情報】DITA AUDIO ProjectM
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【商品情報】THIEAUDIO Oracle MKIII
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イズキャンセリング性能 | ノイズキャンセリング非搭載 | 装着感・遮音性 | 密閉型ながら閉塞感を感じない装着感とサウンド |
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【商品情報】SENNHEISER HD 620S
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SENNHEISER HD 620Sは、別売の4.4mmバランスケーブル「qdc SUPERIOR Cable 4.4-IEM2pin」にケーブル交換することでバランス接続が可能です。
【商品情報】4.4mm HD 620S CABLE 1.8m
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【商品情報】aune audio AR5000
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【商品情報】TAGO STUDIO T3-01
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TAGO STUDIO T3-01は、別売の4.4mmバランスケーブル「TAGO STUDIO T3-CB41」にケーブル交換することでバランス接続が可能です。
【商品情報】TAGO STUDIO T3-CB41
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【商品情報】SONY MDR-MV1
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SONY MDR-MV1は、別売の4.4mmバランスケーブル「MUC-S12NB1」にケーブル交換することでバランス接続が可能です。
【商品情報】SONY MUC-S12NB1
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【商品情報】GRADO RS1x Balanced
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スタッフレビュー
フジヤエービックスタッフ:唐木
まずはデザインですが、ゲーム機のコントローラーを思い出させるユニークなデザインが特徴的です!重さは、約20gと軽量かつコンパクトなので、スマートフォンと接続しても全く重さは気になりません。
次に音質ですが、THIE AUDIOのHype4と組み合わせて試聴しました。
Hype4は、2DD+4BAというハイブリッド構成で、ベースラインの主張が比較的強めのイヤホンですが、本モデルと組み合わせる事で、ボーカル、メロディライン、全体的に音の厚みがグッと増して、より骨太なサウンドにパワーアップしました。
ベースラインに埋もれがちだった、ギターやコーラスの音も聴き取りやすくなり、情報量も増えてとても良いです。
接続した時の「サー」というノイズが皆無なのもおすすめポイントです。続きをみる
入力 | USB Type-C | 出力 | 3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス |
---|---|---|---|
DAC | ES9028Q2M | UAC | - |
サイズ | - | 重量 | 約20g |
Bluetooth | - | コーデック | - |
【商品情報】Kiwi Ears Allegro
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ウォームバランスの小型USB-DACコンパクトながら物理ボタンと有機ELディスプレイをそれぞれ備えたお手頃な小型ドングルDACです。
どちらも簡単な操作・表示しかできませんが、一時停止や音量の確認など、ちょっとしたことにいちいちスマホ画面を開かなくてもいいというのはやっぱり便利ですね。
ウォーム寄りのサウンドで、ボーカルものや生楽器などを臨場感たっぷりに楽しめます。公式アプリ「Eddict Player」からはゲインやデジタルフィルター、画面の向きの設定も可能ですよ。
スタッフレビュー
フジヤエービックスタッフ:唐木
コンパクトでありながら、低ノイズかつパワフルなサウンドが特徴です。音に着色がなくシンプルな鳴らし方で、各帯域をクリアに再生します。
Eddict Playerというアプリを使用すると、ボリューム調整やゲイン、8種類のデジタルフィルターの調整等が可能です。DAC本体の3つのボタンでも調整は可能ですが、アプリで簡単に操作できるのは便利です。
また、UAC1.0にも対応しており、ゲーム機にも接続が可能なので、臨場感のあるサウンドでゲームを楽しみたいという方にもおすすめです。続きをみる
入力 | USB Type-C | 出力 | 3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス |
---|---|---|---|
DAC | ESS ES9069Q | UAC | UAC1.0 |
サイズ | 約60 × 25 × 11mm | 重量 | 約20.8g |
Bluetooth | - | コーデック | - |
【商品情報】Shanling UA4
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入力 | USB Type-C | 出力 | 3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス |
---|---|---|---|
DAC | ES9069Q × 2 | UAC | UAC1.0 |
サイズ | 約64 × 27.7 × 12.7mm | 重量 | - |
Bluetooth | - | コーデック | - |
【商品情報】FIIO KA17
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スタッフレビュー
フジヤエービックスタッフ:唐木
左右の分離感が良くなり、音の情報量がグッと増え、音圧も高くなりました。一音一音のアタック感が明瞭になり、楽曲の全てを余すところなく表現しているように聴けます。
また、縦と横の音の広がり、奥行き感も感じられ、どこでどの楽器が鳴っているのか頭の中でイメージしやすく、その場で聴いているかのうような臨場感と迫力があります。音の情報量だけでなく、音に立体感もあるので、いつも聴いている楽曲も新たな発見があり楽しいです。
Astell & Kern のDAPにも搭載されているDAR(デジタルオーディオリマスター)も試聴しましたが、音質はミドルクラスのDAPレベルに仕上がっていると感じました。(スタッフレビューより引用)続きをみる
入力 | USB Type-C | 出力 | 3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス |
---|---|---|---|
DAC | AKM AK4493S | UAC | UAC1.0、UAC 2.0切り替え |
サイズ | 約29.5 × 64.5 × 14.5mm | 重量 | 約31g |
Bluetooth | - | コーデック | - |
【商品情報】Astell&Kern AK HC4
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スタッフレビュー
フジヤエービックスタッフ:根本
リスナーを中心に柔らかく広がる音場、やや中低域寄りで落ち着いた音色ながらひとつひとつの音の輪郭をハッキリ描き出す様子など、同じDACチップを搭載するDX320やDX320MAX Tiの特徴を継承した美音系のサウンドです。当然ながら細かいところまで追求していくと解像感、アタック感などはDX320系と比べれば一歩譲りますが、このDC-Eliteがバッテリーも搭載せず、たった1本のUSBケーブルでスマートフォンとつなぐだけのお手軽な構成でこれだけの音を出しているというのはなかなか驚きです。
また、今回組み合わせたMonachaaはダイナミックドライバーを片側4発も搭載していることもあり、出力の弱いプレイヤーでは音のエッジが甘くなったり、低域に締まりがなくぼやけてしまうという難しさを持ったイヤホンなのですが、DC-Eliteではキレの良さ・量感は充分ありつつ他の音をマスクしない低域などがしっかり表現されているので出力の面でも不安はなさそうです。(スタッフレビューより引用)続きをみる
入力 | USB Type-C | 出力 | 3.5mmシングルエンド、4.4mmバランス |
---|---|---|---|
DAC | ROHM BD34301EKV | UAC | - |
サイズ | 約64 × 35 × 14.5mm | 重量 | 約60.5g |
Bluetooth | - | コーデック | - |
【商品情報】iBasso Audio DC-Elite
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