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2023.04.11
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SONY MDR-MV1レビュー ソニー初の背面開放型モニターヘッドホン

SONY MDR-MV1レビュー ソニー初の背面開放型モニターヘッドホン

SONY MDR-MV1をオーディオ専門店スタッフがレビューします。ソニー初の背面開放型モニターヘッドホンが遂に登場しました。フラットな音質傾向に俯瞰的に音をとらえることができるサウンドで多用途に楽しめるヘッドホンを詳しく紹介します。

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ソニーのモニターヘッドホンとは

スタジオ録音や編集作業の際に欠かせないのがモニターヘッドホンです。国内・国外を問わずさまざまなメーカーから発売されているアイテムですが、その中でも最も知名度が高いモデルといえば「ソニーの赤帯」こと、1989年に発売開始されたMDR-900STではないでしょうか。最近ではYouTubeの人気コンテンツ・THE FIRST TAKEでアーティストが着けているヘッドホンとして知られています。

1989年発売のMDR-900STの画像
1989年発売のMDR-900ST

発売から30年以上を経過する今も変わらず愛用され続けるMDR-900STに加え、2019年にはハイレゾ対応モデルとしてMDR-M1STも登場。

ソニーのモニターヘッドホンの歴史はこれからもこの2モデルによって語り継がれる…と思いきや、なんと2023年に”ソニー初の背面開放型モニターヘッドホン”が登場することになりました!それがこちらの「MDR-MV1」です!

MDR-MV1の画像
MDR-MV1

今回はソニーさんから特別にサンプルをお借りすることができたので、この注目のモデルについて詳細とレビューをお届けしたいと思います。

MDR-MV1の外観と特徴

内容物

MDR-MV1の内容物は本体とケーブル、保証書のみと非常にシンプル。本体の重さは約223g(ケーブル含まず)と軽量です。

パッケージはサンプルのため撮影できませんでしたが、近年のソニー製品と同じく環境に配慮したプラスチックフリーパッケージとなっています。

MDR-MV1本体の画像
MDR-MV1本体

ケーブル

付属の着脱式ケーブルは長さ約2.5m、6.3→3.5mm変換のプラグアダプターは長さ約20cmです。付属ケーブルが6.3mmの標準プラグになっているあたりは、いかにもモニターヘッドホンという感じの仕様です。

付属ケーブルとプラグアダプターの画像
付属ケーブルとプラグアダプター

ケーブルコネクタ

ヘッドホン側のケーブルコネクタはMDR-M1STと同じ仕様の3.5mm4極プラグで、ネジで固定するタイプの着脱式となっています。なお、結線の仕様もやはりMDR-M1STと同じとのことなので、いわゆるリケーブルの幅も広そうですね。

ケーブルはネジ固定の着脱式の画像
ケーブルはネジ固定の着脱式

ヘッドバンド

ヘッドバンドは充分にクッションをきかせたもので、長時間の装着でも疲れにくくなっています。

ヘッドバンド部の画像
ヘッドバンド部

ヘッドバンド側面

左右を示すL/R表記はヘッドバンド側面に、もちろんRは赤、Lは青で示されています。「Professional」というシールも含め、このモデルがMDR-CD900STの系譜にあることを表しているかのようです。

モニターヘッドホンの歴史を感じさせるデザインの画像
モニターヘッドホンの歴史を感じさせるデザイン

アームを伸ばすと、1~10刻みのメモリが現れます。カチカチとしたラッチ音も含め、ヘッドバンド部はほぼMDR-M1STと同じ仕様となっています。

アーム長は10段階に調節可能の画像
アーム長は10段階に調節可能

ハウジング

「開放型」をうたうとおり、小判型のハウジングにはその形状に沿った形でびっしりと穴が開けられており、側面にはスリットが無数に設けられています。この”背面開放型音響構造”により、ヘッドホン内部の反射音を低減し、制作者が意図する正確な音場再現が可能となっているとのことです。また残念ながら見えない部分ではありますが、ドライバーユニットの前面と背面をつなぐ開口部に音響レジスターを大面積で使用することで、通気を最適にコントロールし、空間共鳴の排除と色付けの少ない自然で充実した低音域再生を実現しています。

ハウジングの中心にはおなじみのSONYロゴのみが刻まれていて、表面にはモデル名すら記載されていません。ちなみにモデル名は伸ばしたアームの裏側に小さく記載されていました。

ハウジングには無数の穴とスリットありの画像
ハウジングには無数の穴とスリットあり

左側のハウジング

左側のハウジングにはケーブル装着用のネジ式ジャックが設けられています。

ネジ式のケーブル装着用ジャックの画像
ネジ式のケーブル装着用ジャック

イヤーパッド

イヤーパッドにはスエード調の人工皮革を採用し、長時間の装着でも蒸れにくくなっています。

このイヤーパッドの奥には、MDR-MV1の特徴である背面開放型音響構造に適した40mm径の専用開発ドライバーユニットが搭載されています。このドライバーユニットは背面にダクトを備える構造で、中域と低域とのセパレーションを維持しつつ、充分な量感とクイックでタイトな低域再生を実現しているとのことです。

スエード調の人工皮革採用イヤーパッドの画像
スエード調の人工皮革採用イヤーパッド

MDR-MV1とMDR-M1STと画像で見比べ

さて、ここまでいくつかこのMDR-MV1とMDR-M1STとの類似点・相違点について挙げてきましたが、やはりここは直接見比べてみるのが一番!ということでまずはハウジングの比較から。右のMDR-MV1の方が明らかに大きくなっていることがわかります。

左:MDR-M1ST、右:MDR-MV1の画像
左:MDR-M1ST、右:MDR-MV1

ハウジング

続いてハウジングを横から見たのがこちらです。MDR-MV1がただ単に「MDR-M1STに穴を開けただけ」ではないことがおわかりいただけるのではないでしょうか。

左:MDR-M1ST、右:MDR-MV1の画像
左:MDR-M1ST、右:MDR-MV1

イヤーパッド

イヤーパッド側から見比べてみたのがこちら。レザー調素材のMDR-M1ST(左)に比べ、スエード調素材のMDR-MV1(右)のイヤーパッドは厚く、大きさもひと回りほど大きくなっています。

左:MDR-M1ST、右:MDR-MV1の画像
左:MDR-M1ST、右:MDR-MV1

また、MDR-CD900STやMDR-M1STは『業務用製品』ということで無償修理期間がなく、すべて有償での修理対応となっているのに対し、このMDR-MV1には1年間のメーカー保証がつくという違いもありました。

MDR-MV1音質レビュー

それではMDR-MV1の音質をチェックしてみたいと思います。今回は同じソニーのヘッドホンアンプ「TA-ZH1ES」を組み合わせてみました。

MDR-MV1とTA-ZH1ESの画像
MDR-MV1とTA-ZH1ES

フラット傾向ですが、高域の伸びや低域の量感といった部分は物足りなさを感じない程度に強調されているサウンドです。モニターヘッドホンというと「あまりリスニングには向かないのでは?」と思われるかもしれませんが、このMDR-MV1に関してはその心配はいりません。広めの音場とやや回り込むかのような前後感もあり、楽曲の一体感を崩すことなく音楽を楽しむことができる表現力を持っているヘッドホンです。

それでは密閉型モニターヘッドホンのMDR-M1STと比べてみるとどうでしょうか。どちらも「ソニーの考えるモニター用途」を実現しているためか音質傾向は非常に似通っていますが、音場表現に大きな違いが現れているようです。
MDR-M1STはイヤーパッドが薄めでドライバーユニットがより耳に近くなるためか「音の真ん中に飛び込んでいるかのような立ち位置」であるのに対し、MDR-MV1はハウジングの容積やイヤーパッドの厚みで耳周りの空間が広がったためか「音の真ん中から一歩引いたところから音場全体を眺めているかのような立ち位置」であるように感じました。

モニター用途としての使い分けでいえば、細かいポイントにフォーカスしながらチェックできるMDR-M1STに対し、全体を俯瞰しながら形を整えることのできるMDR-MV1となるでしょうか。

リスニング用途としての使い分けなら、ヘッドホンらしい迫るような臨場感を味わえるMDR-M1STに対し、スピーカーで聴いた時のような空間表現を味わえるMDR-MV1と、同じモニターヘッドホンでありながらキャラクターの違いを楽しめるかと思います。

もうひとつ、この2つのモデルの大きな違いが装着感です。MDR-M1STはイヤーパッドが薄いためどうしても長時間装着していると耳がしびれたり痛みが出たりしますが、MDR-MV1はイヤーパッドが厚く耳への直接の接触がないため、長時間の装着でもそうした痛みは感じません。一方でイヤーパッド素材の違いから、スエード調のMDR-MV1は装着位置が若干ずれやすくなっているので作業に集中している場合などは気になるかもしれません。

製品仕様

型式 オープンバックダイナミック ドライバーユニット 40 mm
音圧感度 100dB/mW 再生周波数帯域 5Hz 80,000Hz(IEC/国際電気標準会議 規格による測定値)
インピーダンス 24Ω (1kHz にて) 質量 約 223g (ケーブル含まず)

【商品情報】SONY MDR-MV1

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SONY MDR-MV1

まとめ

ソニー初となる背面開放型モニターヘッドホン「MDR-MV1」は
・ヘッドホン内部の反射音を低減し、制作者が意図する正確な音場再現を可能とした”背面開放型音響構造”
・約223gの軽量な本体に、厚みのあるスエード調の人工皮革イヤーパッド採用で装着感良好
・モニター用らしいフラット傾向かつ、より俯瞰的に音をとらえることができるサウンド

が特徴の、モニター用途・リスニング用途どちらも楽しめるヘッドホンとなっております。

MDR-MV1は本日からご予約受付開始、発売は5月12日を予定しております。お手元に届くまでちょっとお時間をいただきますが、その分のご期待に応えられる仕上がりのヘッドホンですのでぜひご予約を!

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