「GRADO(グラド)」のヘッドホンと聞いてまず連想するであろうシリーズ”RSモデル”も久々にリニューアル。新たなドライバを搭載した開放型ヘッドホン「RS1x」と「RS2x」を試聴レビューつきでご紹介します。
GRADO RSモデルとは
RS1xの外観チェック
RS2xの外観チェック
試聴レビュー
製品仕様
まとめ
アメリカン・スピリッツあふれるヘッドホンブランドといえばまっ先に名前が上がるのが、ニューヨーク・ブルックリン発のGRADOではないでしょうか。特にラインナップの中でも「Reference Series」に位置づけられるモデル「RS1 / RS2」は、GRADOの代名詞でもあるウッドハウジングと解放感抜群のサウンドで人気を博しています。
GRADOから先日発表された「SRモデル」に引き続き「RSモデル」が、『x』型番にリニューアルしました。こちらが最新作「RS1x」および「RS2x」です!
今回のモデルチェンジの主な変化をご紹介します。
・GRADO社初の”3種類の木材”を組み合わせたスペシャルなハウジング『トライウッドハウジング』を採用(RS1xのみ)
・ドライバに「Xドライバー」(RS1xは直径50mm、RS2xは直径44mm)を採用
・ケーブルの被膜に編組シースを採用
・スーパーアニール処理を施した新開発OFC8芯ケーブルを採用
各モデルごとに、これらの変化について確認していきましょう。
まずはRS1xからご紹介。シルエットはこれまでのRSシリーズと変わらない感じですが、あとでご紹介するRS2xよりもハウジング表面の色が濃くなっています。
イヤーパッドはこれまでのRSシリーズ同様、Ear Pad Lが使われています。なお、RS1xにはこのあとご紹介するRS2xや、先に発売されているSRシリーズと異なるサイズの「50mm径xドライバー」が搭載されていますが、外観上のサイズはまったく変わりません。
ヘッドバンドも従来通りのクッションがなく、ぺったんこなタイプ。白いステッチが入ったのはSR325xと同じ変更ポイントです。
これがGRADO初となる、3種類の木材を組み合わせた『トライウッド・ハウジング』です。内側にメープル、真ん中にヘンプ(麻の高密度圧縮材)、外側にココボロが使用されています。これまでGRADOがこだわり続けた『木』という素材の集大成といえるハウジングなのではないでしょうか。
ケーブルは長さ1.7mで平均的なものより少し長めです。
線材は加工された際に生じた残留応力(素材の内部に残る加工時のストレス)を加熱処理によって除去する『スーパーアニール処理』を施した、OFC(無酸素銅)8芯ケーブルを採用しています。
プラグは3.5mmステレオミニで6.3mm変換アダプタが付属しています。
【商品情報】GRADO RS1x
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続いてRS2xのご紹介です。シルエットはRS1xとほとんど変わりませんが、RS1xに比べハウジング表面の色が薄くなっています。
イヤーパッドも同じくEar Pad Lを採用。
ヘッドバンドもやはり同じで、クッションなしタイプ。白いステッチが入っているのも同じですね。
RS1xが3種類の木材を組み合わせた『トライウッドハウジング』だったのに対して、RS2xは内側にメープル、真ん中にヘンプ(麻の高密度圧縮材)、外側にもメープルを使用したサンドイッチ構造になっています。
ケーブルは長さ1.7mで線材にスーパーアニール処理を施したOFC(無酸素銅)8芯ケーブルを採用しているのも、RS1xと共通。
プラグも同じく3.5mmステレオミニで6.3mm変換アダプタ付属です。
【商品情報】GRADO RS2x
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それではRS1x/RS2xの試聴にうつりましょう。今回は再生機器としてShanlingの「デスクトップ・ミュージックセンター」EM5を選んでみました。
まずはRS1xから。
中高域の鮮やかさと伸びやかさを強く感じる、GRADOらしい”攻めのサウンド”が味わえるヘッドホンです。低域は芯をしっかり出しつつも量感少なめ。ザ・開放型という見た目のとおり音場も広く、解像度も高めではありますが「音楽はノリよく、楽しく聴くのが一番!」というメーカーのメッセージが伝わってくるような音作りになっています。
一方で、そうしたサウンド面のこだわりとともに変わらないのが装着感。硬めのスポンジが耳に押し付けられるような独特の感覚もそのままですが、これもメーカーの個性のひとつと許せてしまう奇妙な魅力がGRADOにはあるような気がします。
続いてRS2xを聴いてみます。
こちらも攻撃力の高いサウンドではありますが、RS1xに比べると音場はやや狭く、解像感も細やかさよりあら挽きのカタマリでぶつけてくるかのようなイメージ。とはいえそれは性能が劣るという感じではなく、音の表現の違いであるように感じます。
音場は狭まりつつも低域の量感がアップしたことで、よりドスッとした迫力が増しています。解像感についてもライブ音源などではボーカルや楽器の臨場感がより強くなった印象です。RS2xを聴いたあとにRS1xを聴いてみると、なんだか上品な音のように聴こえてしまうくらいキャラクターの違いが出ている2モデルです。
GRADO RS1x | GRADO RS2x | |
ドライバー方式 | 50mm 径ダイナミック型 | 44mm 径ダイナミック型 |
形式 | オープンエア | オープンエア |
ハウジング | メープル/ヘンプ/ココボロ | メープル/ヘンプ |
周波数特性 | 12 - 30000Hz | 14 - 28000Hz |
感度 | 99.8dB/mW | 99.8dB/mW |
インピーダンス | 38Ω | 38Ω |
チャンネルバランス | 0.05dB | 0.05dB |
重量 | 320g(ケーブル含む) / 220g(ケーブル含まず) | 280g (ケーブル含む) / 180g (ケーブル含まず) |
ケーブル | 約 1.7m スーパーアニール 8 芯 OFC 線(高純度無酸素銅) | 約 1.7m スーパーアニール 8 芯 OFC 線(高純度無酸素銅) |
入力端子 | 3.5mm ステレオミニプラグ | 3.5mm ステレオミニプラグ |
GRADOヘッドホンの歴史は1991年から始まっていますが、「工芸品のような」と表現される手作り感あふれるスタイルは30年間まったく変わっていません。もちろんそのときどきで時代に合わせたサウンドチューニングは施されているものの、実際にGRADOヘッドホンで音を聴いた時の「楽しさ」は他のメーカー・ブランドでは味わえない”なにか”を持っているのではないでしょうか。
今回ご紹介したRS1x / RS2xは本日より販売開始しておりますが、入荷数が非常に少ないため品切れ時には次回入荷まで若干お時間をいただきますのでご了承下さい。また、どちらもXLR4pin仕様のバランスモデルがラインナップされていますが、こちらは現在入荷時期未定となっております。
なお、こちらのRS1x / RS2xは明日2021/12/4(土)開催の「GRADO新製品試聴会~紳士の集い~」でもじっくりとお聴きいただけますので、ぜひ中野までお越し下さい!