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2024.12.12
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GRADO Signature HP100 SE レビュー | 個性的な音作りの特別なヘッドホン

GRADO Signature HP100 SE レビュー | 個性的な音作りの特別なヘッドホン

GRADO Signature HP100 SE をオーディオ専門店スタッフがレビューします。随所に改良点や新開発のパーツを採用し、刺激のある高域や生っぽいボーカル域など個性的なサウンドが特徴的な節目を記念するにふさわしいヘッドホンを紹介します。

フジヤエービック店舗イメージ
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GRADOとは

今から100年前の1924年、アメリカ・ニューヨークのブルックリンである人物が生まれました。彼はその後、時計職人として活躍する一方で趣味のオーディオにのめり込み、やがて自分の名を冠したオーディオブランドを立ち上げます。その人物こそ、現在も人気を集めるGRADOの創設者ジョセフ・グラド氏(2015年没)です。

1953年の設立当初はジョセフ氏の高い技術力で作り上げたレコード用カートリッジが人気を博しましたが、時代の変化にともないGRADOはレコード市場からヘッドホン市場へと活躍の場を移します。他社とは一線を画するハンドメイド感や、ハウジング素材に"麻の圧縮材"を採用した「The Hemp Headphone」(生産完了品)を生み出すなど、非常に個性の強いブランドです。

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そのGRADOから、創設者ジョセフ氏の生誕100周年を記念したモデルが登場します!それがこちらの「Signature HP100 SE」です!

Signature HP100 SE 本体
Signature HP100 SE

今回はこのSignature HP100 SEについて、詳細および音質レビューをお送りしたいと思います。

Signature HP100 SEの特徴

パッケージ内容

GRADOの大型モデル・Statementシリーズではおなじみの真っ白な箱を開けると、Signature HP100 SE本体にケーブル、イヤーパッド(Ear Pad F)が収められています。

Signature HP100 SEのパッケージ内容
Signature HP100 SEのパッケージ内容

本体デザイン

こちらがSignature HP100 SE本体。
1990年代からヘッドホン市場に参入したGRADOですが、その当時から一貫して”開放型モデル”だけを作り続けているという頑固な一面を持っていることでも知られています。このSignature HP100 SEもご覧のとおり、もちろん開放型です。

ジョセフ氏が1990年代初頭にリリースした伝説のヘッドホン・Signature HP1・HP2・HP3を継承した、一目でGRADOだとわかるデザインとなっています。

GRADOらしさ全開のデザイン
GRADOらしさ全開のデザイン

GRADO史上初の着脱式ケーブル

ここまでの写真でお気づきの方もいるかもしれません、実はこのSignature HP100 SEではGRADO史上初の”着脱式ケーブル”を採用!GRADOあるあるともいえる、あのケーブルの「ねじれ」も簡単に解消できますね。

GRADO史上初の着脱式ケーブル採用モデル
GRADO史上初の着脱式ケーブル採用モデル

付属ケーブルはGSシリーズにも使われている”12芯スーパーアニールケーブル”をさらに改良、よりソフトで耐久性のある編組仕上げにすることでケーブル全体の重量が軽減されています。長さは約1.85m、プラグは6.3mmとなっています。

付属ケーブル
付属ケーブル

4pin miniXLR端子を採用

ヘッドホン本体との接続は左右とも4pin miniXLR端子です。残念ながらバランスケーブルは付属しませんが、これならサードパーティー製ケーブルや自作ケーブルなど用意はしやすいのではないでしょうか。

4pin miniXLR端子を採用
4pin miniXLR端子を採用

イヤーパッド

イヤーパッドは、こちらもGSシリーズと同じく大きなお椀型の「Ear Pad G」が装着されています。お世辞にも装着感に優れているとは言いがたいのですが、なぜかこのイヤーパッドでないとGRADOらしい音にならない、という不思議な魅力を持っています。

大型のEar Pad Gが装着済み
大型のEar Pad Gが装着済み

イヤーパッドとしてはもうひとつ、SR325xなどにも使われている「Ear Pad F」が付属します。実はSignature HP100 SEの元ネタ・Signature HP1に装着されていたのがこのEar Pad Fだそうで、そのこともあり2種類のイヤーパッドが付属することになったそうです。

ちなみにこのEar Pad Fには
「どちらのイヤーパッドを使うべきか、どう聴こえるのかは伝えることができません。それはあくまで私たち(GRADO)の意見でしかないのです。重要なのはあなた自身の意見なのですから」(意訳)
というメッセージが添えられていました。

Ear Pad G(左)とEar Pad F(右)の2種類が付属
Ear Pad G(左)とEar Pad F(右)の2種類が付属

ドライバー

大きく口を開けたグリルからは、Signature HP100 SEのために新開発された52mm径のダイナミックドライバーがのぞきます。

特徴的なグリル
特徴的なグリル

この新開発ドライバーはレアアース合金を使用した強力な高磁束時期回路に軽量銅メッキアルミニウム製のボイスコイル、新しいペーパー・コンポジット・コーンの組み合わせにより優れたダイナミクスとトランジェント・レスポンスを実現しているそうです。

新開発の52mm径ダイナミックドライバー
新開発の52mm径ダイナミックドライバー

ヘッドバンド

ヘッドバンドはこれまたおなじみ…ではなく、実はこちらも新開発!一見GS1000xのものと同じに見えますが、長時間のリスニングでも快適に使えるように牛革製ヘッドバンド内部の緩衝材を50%増量しているのです。

ヘッドバンド内部の緩衝材は50%増量
ヘッドバンド内部の緩衝材は50%増量

そのヘッドバンドとハウジングをつなぐロッド部分の機構にも、もちろん改良が施されています。ラッチ感などのないスムーズな調整感覚は従来モデルと変わりませんが、回転が105度までに抑えられているためこれまでのようにくるくる無限に回ってしまうことがなくなりました。また、ロッド先端のエンドキャップが外れてしまってもハウジングがストン!と落ちることがないように設計されているそうです。

ロッド接続部
ロッド接続部

ハウジングとロッドをつなぐ”ジンバル”

「GRADO LABS」の刻印が入った、ハウジングとロッドをつなぐ”ジンバル”も地味ながら重要なパーツです。こちらもアルミニウム合金製で、それぞれの接点強度を充分に高めています。

シンプルで地味、良くも悪くも手作り感あふれるつくりといったポイントはいつものGRADO、という感じではありますが、必要な部分にはしっかりと改良が加えられていることがわかります。

「GRADO LABS」の刻印入りジンバルはアルミニウム合金製
「GRADO LABS」の刻印入りジンバルはアルミニウム合金製

Signature HP100 SEの音質レビュー

それではSignature HP100 SEの音質チェックとまいりましょう。組み合わせるヘッドホンアンプには、TEACのデュアルモノーラル・ヘッドホンアンプ搭載DAC・UD-507を選んでみました。

Signature HP100 SEとUD-507
Signature HP100 SEとUD-507

【商品情報】TEAC UD-507

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TEAC UD-507

ここまででご紹介したようにさまざまな改良点や新開発のパーツを搭載したSignature HP100 SEですが、その音は繊細さよりもノリ重視、とにかく音楽は楽しく聴ければOKでしょ?という声が聞こえてきそうないつものGRADOサウンド!…というとなんの変化もないようですが、もちろん細かいところではこのモデルならではの聴きどころを感じさせる出来になっています。

サウンドバランスとしてはやや高域寄りの逆ピラミッドバランスで、若干の金属的な刺激も感じさせるほどスピード感のあるハイ~ミッドの主張が強い音になっています。とはいえ中域部、特にボーカルには艶が乗った生っぽさもあり、無機質な印象はありません。低域は量感控えめながら重さがあり、ドラムやベースなどのバシッと決めてほしいポイントは外すことなく届けてくれます。ほぼ同価格帯となるGS3000xと比較すると、音の柔らかさやウォーム感はぐっと抑えられてはいるもののボーカル域の生々しさ、ライブ感は充分に感じとれるという絶妙な音作りのように思います。

音場の広がりは聴いている音楽がリスナー以外にもまるわかり、というくらいに音漏れすることもあり充分に広く、前後左右に展開します。解像感・定位感についてはカリカリに高いというわけではなくほどほど、という感じですが、とにかくノリと勢いで攻めるGRADOサウンドの力強さに圧倒されてしまうのかあまり気にならないのが不思議です。

正直なところ、ビルドクオリティや個性的なサウンドなど、いわゆる「高級ヘッドホン」に求められる出来栄えを期待する方には少々お勧めしづらい点もあることはたしかです。それでも、そうした点を「GRADOらしさ」として許せてしまうようななんともいえない魅力を持っているのがこのSignature HP100 SEであり、GRADOというブランドではないでしょうか。

製品仕様

ドライバー構成52mm 口径ダイナミックドライバー形式オープンエアー
感度117dB周波数特性3.5 - 51.5kHz
インピーダンス38Ω重量 (ケーブルを除く)520g

【商品情報】GRADO Signature HP100 SE

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GRADO Signature HP100 SE

アメリカを代表するヘッドホンブランド・GRADOによる新型ヘッドホン・Signature HP100 SEは、
・GRADO創設者ジョセフ氏の生誕100周年を記念したアニバーサリーモデル
・一見いつものGRADOのように見えて、随所に改良点や新開発のパーツが満載
・逆ピラミッド型のサウンドバランスで刺激のある高域、生っぽいボーカル域など個性的な音作り
と、節目を記念するにふさわしい特別なヘッドホンに仕上がっています。

Signature HP100 SEは本日よりご予約受付開始、発売は12月19日を予定しております。店頭試聴機も本日より展示開始しておりますので、ぜひ心の中でジョセフ氏の生誕100周年をお祝いしながらご試聴ください!

ブランド

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