ヘッドホンにはいくつか種類があり、使用用途や得意性によって選択できます。気軽に持ち歩きやすいワイヤレスヘッドホン、遅延が無く高音質な有線ヘッドホン、ミックスマスタリング向けのモニターヘッドホンなどの種類や特性に合わせた選び方を紹介します。
目次
ヘッドホンの種類
ヘッドホンの形状と特徴
ヘッドホンの音質特性
ヘッドホンの選び方
まとめ
ヘッドホンは形状や機能によっていくつかの種類があります。まずはヘッドホンの種類を紹介していきます。
ワイヤレスヘッドホンは、その名の通り無線(ワイヤレス)接続ができるヘッドホンのことです。主にスマホやオーディオプレーヤー、PCなどのデバイスとBluetoothで接続して使用するケーブルがなくく、絡まったり引っ掛けて外れたりなどの煩わしさがない快適さから人気となり、今ではヘッドホンの定番となりました。
ノイズキャンセリングや通話マイク、スマホに対応アプリがあればイコライザーの変更が可能といったさまざまな機能が搭載されていることも特徴です。
機能性が高く、持ち歩きも便利なことから人気のワイヤレスヘッドホンは、ヘッドホンは利便性を重視したいという方におすすめです。
有線ヘッドホンは、再生デバイスからケーブルを介して音を届けるヘッドホンです。有線ヘッドホンは、デジタル信号で音声を届けるワイヤレスヘッドホンと違い、ケーブルで音を届けるため、音質の劣化がなく高音質な傾向があります。接続の安定性やバッテリー切れの心配がないなどのメリットがあり、ワイヤレスが主流の現在も根強い人気があります。
音質の高さから自宅でじっくり音楽を楽しみたい方や音質を追求したい方におすすめです。
レコーディングスタジオや音楽スタジオなどのプロの制作現場や、自宅で演奏を録音したり、編集したりするDTMなど、あらゆる音楽制作のシーンで正確な音をモニタリングする(作った音をチェックする)ために使われるヘッドホンです。解像度が高く、フラットな周波数特性、偏りが少なく原音に忠実な音質が特徴です。
また、プロの現場で使用されることからケーブルやイヤーパッドなどの部品を交換できるものが多く、耐久性も高い点もモニターヘッドホンの特徴となっています。フラットな音質特性のため、聴き疲れしやすい傾向があります。
楽曲制作にはもちろんですが、フラットで解像度の高い音質特性からリスニングやFPSゲームプレイなどにもおすすめです。
ゲーミングヘッドホンは、主にゲームプレイに最適な音質・機能を搭載したヘッドホンのことです。オンラインで通話するためのマイク付きや位置関係が重要となるFPSゲームプレイ向けの定位感に優れたモデル、臨場感を再現するための「空間オーディオ」対応の製品もあります。ゲーム向けのチューニングになっているため、音楽のリスニングには向いていない場合があります。
ゲームプレイに集中したい方、オンライン通話をしたい方におすすめです。
ヘッドホンの形状は、音を出す部分と頭部に装着するための部品に分かれます。
ハウジング(イヤーパッドの反対側の耳を覆う部分のことで、イヤーカップとも呼ばれます)の中に音を出すドライバーが包まれており、スピーカーを通して耳に届けます。このハウジングは、音質も左右する重要なポイントとなっており、このドライバーユニットの密閉性の有無が装着感だけでなく音質にも大きな違いとなって現れてきます。
ハウジングと耳の間のクッション部分がイヤーパッドです。密閉した状態を作ったり、長時間のリスニングでも痛くならないように設計されています。左右のハウジングを繋ぐ部品がヘッドバンドとなります。
密閉型(クローズド型)ヘッドホンは、ドライバーユニットがそっくりハウジングに包み込まれた形状のヘッドホンです。
音が外に漏れにくく、外部からの音も入りにくいことから、迫力のある低域の再生 が可能です。その反面、音がこもって高域部の伸びが不足する傾向にあります。 高い密閉性が必要なノイズキャンセリングヘッドホンの多くに採用されています。
電車や飛行機などの乗りもので音楽を聴く場合や周囲の音を遮断して集中してプレイしたいゲームをするときなどは密閉型がおすすめです。
開放型ヘッドホンは、ハウジングの外側がメッシュ構造など多孔仕様となっており、密閉されることがなく、外部との通気性が保たれた形状のヘッドホンです。音質の特徴としては、低域は物足りないものの、音がこもらず高域が伸びやすい音質傾向となります。密閉型よりもナチュラルなサウンドで、本体も比較的軽いということもあって、長時間の装着でも疲れることなく音楽を楽しめます。 音漏れはしますので、電車など公共の場などでの音量を上げての使用には注意が必要です。
密閉型は遮音性の高さから音がこもりやすいため、映画鑑賞や長時間音楽をリスニングする場合は開放型がおすすめです。
密閉型と開放型の折衷型で、ハウジングに小さい穴が開いており完全には密閉されず音が抜けるため、やはり音質についても両者の中間の傾向にあります。
密閉型と開放型どちらも選べないという方にお試しいただきたいのが半密閉型ヘッドホンです。
ヘッドホンの音質は、ドライバーによって音の傾向が変わります。ドライバーとは、電気信号を音に変換する部品のことです。音楽プレーヤーなどのデバイスから届けられた信号をドライバーの動きによって音を鳴らし、耳に届ける重要な役割を担います。厳密にはその他の要素によっても音は変化しますが、ドライバーの種類によって音質に特徴があります。ドライバーの種類と特徴を紹介していきます。
音の信号をダイヤフラムと呼ばれる振動版に伝え、出力する仕組みで低音域を出すのを得意としています。もっともポピュラーな駆動方式です。
薄い振動板を2枚のマグネットで挟み、細かく振動させて音を出します。平面振動板全体を均一に振動させることで、フラットな音色が特徴です。
低音域用にダイナミック型、中高音域用にBA型など、異なる種類のドライバーを搭載したドライバー方式です。複数のドライバー技術を組み合わせることで、それぞれの得意な音域をカバーした音質特性になります。
電場により極薄の振動板を動かして音を生成する仕組みの方式です。高い解像度と透明感のある繊細な音質が特徴です。専用のアンプが必要となります。
ヘッドホンの振動板は、音を生成するための薄い膜のことをさします。ダイナミックドライバーでは、振動板がコイルと磁石の作用で振動し、音波を発生します。平面磁界型や静電型においてもそれぞれ異なる方法で振動を制御します。
振動板の素材や形状、厚さによって音質が大きく変わり、振動板の品質が、ヘッドホンの音の透明感や解像度を左右することもあります。
ドライバーのサイズは、大きくなるほど深い低音と音場表現が豊かになり、小さなドライバーはクリアな高音や繊細な音のディティール表現に優れた表現を得意としています。平均的なヘッドホンのドライバーサイズは40mmから50mmで、ポータブルヘッドホンの多くに採用されています。
ご紹介した通り形状や種類、使用目的によっておすすめしたいヘッドホンが異なりますがいくつかポイントを紹介していきましょう。
長時間のリスニングする場合は特に装着感が非常に大事なポイントです。特に密閉型ヘッドホンは、より外部の音を遮断するために側圧(ヘッドホンが頭部を左右からしめつける力)が強いモデルもあります。
締め付けの強いヘッドホンは、頭部や耳が強く圧迫されて頭痛を引き起こしてしまう可能性もありますので、重さや側圧は事前にチェックしておきましょう。
ご紹介した通りヘッドホンは多種多様な種類があり、ドライバーやヘッドホンの種類によって音質もさまざまです。どのようなサウンドが好みか、事前に決めておくことが失敗しないコツです。
スマホや音楽プレーヤーなどの再生デバイスによって接続方式が異なります。ケーブルに対応していないスマホの場合はBluetooth接続や別途USB DACが必要になりますので事前に確認しましょう。
有線ヘッドホンの場合は、再生周波数帯域や感度、インピーダンスなどの性能によってヘッドホンアンプが必要になることがありますので事前に確認しておきましょう。
ミックス・マスタリングなどの音楽制作に向いているモニターヘッドホンやFPSゲーム向けのゲーミングヘッドホン、ヘッドホンアンプが必要なハイエンド有線ヘッドホンなど用途によって最適なヘッドホンは異なりますので、どのような場面で使用するか事前に決めておきましょう。
ワイヤレスヘッドホンは有線にも対応している機種が多いため、ワイヤレス・有線の両方で使用したい場合にもおすすめです。
特にプロ向けのヘッドホンは耐久性の高いものやパーツ交換が可能なものが多く長期的に使用できることも特徴です。ヘッドホンを使用する場面が多いのであれば交換可能かをチェックしましょう。
ヘッドホンの種類や音質傾向、選ぶポイントを解説しました。
・ヘッドホンは用途によっておすすめしたい種類がことなります。
・ヘッドホンドライバーによってサウンドの傾向が異なりますので、好きな音質に合わせてドライバーをチェックしましょう。
・再生デバイスによって鳴らしやすい、または鳴らしにくいヘッドホンがありますので基本情報を確認しましょう
・どのようなサウンドが好みか、どのような用途で使用するかを事前に決めておく
この記事を参考にぜひ最適なイヤホンを選んでください。