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2026.06.19
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FitEar Origin-1 × 太田タカシ|イヤモニブランド初のリスニングヘッドホンをプロエンジニアが徹底レビュー

FitEar Origin-1 × 太田タカシ|イヤモニブランド初のリスニングヘッドホンをプロエンジニアが徹底レビュー


はじめに

みなさんこんにちは。レコーディングエンジニアの太田です。

今回は、エンジニアやミュージシャンから高い支持を集めるブランドFitEar初のリスニング向けヘッドホン「Origin-1」を、実際に試聴しながらレビューしていきます。

FitEar Origin-1の本体画像
FitEar Origin-1

ライブやレコーディングの現場では「イヤモニといえばFitEar」と言っていいほど、高いシェアと信頼を持つブランドです。今回はイヤホンではなくヘッドホンということで、同社がどのような音作りを選択してきたのか気になるところです。
特にモニターブランドとして培ってきた解像感や定位表現が、リスニング用途でどのようにチューニングされているのか、注目しながら聴いていきたいと思います。

【商品情報】FitEar Origin-1

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FitEar Origin-1商品イメージ

FitEarとは

FitEarは、日本のカスタムIEM(インイヤーモニター)ブランドで、特に国内のミュージシャンや音響エンジニアから高い支持を集めています。

FitEarのカスタムIEM画像
FitEarのカスタムIEM

ライブやレコーディングの現場でのプロ向けイヤモニが広く知られているブランドですが、そのルーツは1958年創業の歯科技工会社「須山歯研」にあります。
歯科技工や補聴器製作で培われた技術を活かし、ひとりひとりの耳に合わせた高精度なカスタムIEMを製造している点が大きな特徴です。

たとえば「MH334」や「FitEar 224」はFitEarを代表するモデルとして知られており、ミュージシャンやエンジニアがカスタムIEMを作る際の基準として、名前が挙げることも少なくありません。

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実際、現場でFitEarユーザーを見る機会はとても多く、個人的には派手さよりも「音像の見え方」や「モニターとしての信頼性」を重視したブランドという印象があります。
定位やボーカル帯域の把握がしやすく、長時間使用でも判断基準がブレにくい点を評価しているエンジニアも多いように感じます。

FitEar Origin-1の画像

そんなFitEarから、これまでラインナップになかったリスニング向けヘッドホンとして登場したのが、今回レビューする「Origin-1」です。
「FitEarのサウンドをヘッドホンで体験したい」と感じていたユーザーは多いと思いますが、私自身も以前から気になっていた製品でした。

モニターヘッドホンとリスニングヘッドホンの違い

Origin-1のレビューに入る前に、まずはモニターヘッドホンとリスニングヘッドホンの違いについて、簡単に触れておきます。

もちろん製品ごとに個性はありますが、個人的にはモニターヘッドホンは音を確認・判断するための道具、リスニングヘッドホンは音楽を楽しむための道具という印象があります。

モニターヘッドホンの画像
モニターヘッドホン

モニターヘッドホンは比較的フラットな周波数特性を持ち、トランジェントの追従性や定位の把握しやすさなど、「音を分析しやすいこと」を重視したチューニングがされていることが多いです。レコーディングやミックスの現場では、「どこに問題があるか」「どんな処理が必要か」を判断する必要があるため、誇張の少ない再生傾向が求められます。

モニターヘッドホンの画像
リスニングヘッドホン

一方で、リスニングヘッドホンは「音楽を気持ちよく楽しめるように」チューニングされているモデルが多く、低域の量感や空間表現・高域の抜け感などに各メーカーの個性が強く表れる傾向があります。
エンジニア視点ではフラットなモニター傾向の方が作業はしやすいのですが、その一方で純粋に音楽を楽しむという意味では味気なく聴こえることもあります。

どちらが優れているという話ではなく「音を作るために聴く」のか、「音楽を楽しむために聴く」のかによって求める方向性が変わってくるのだと思います。

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FitEar Origin-1の特徴

ここからはOrigin-1の特徴をみていきます。

外観デザイン

FitEar Origin-1のイヤーカップ画像
シンプルなデザイン

Origin-1はイヤーカップにロゴを大きく配置するようなデザインではなく、全体的にシンプルな外観に仕上がっています。華やかなオーディオ製品らしさというよりは、業務機器を思わせる無骨なデザインです。

イヤーパッド

FitEar Origin-1のイヤーパッド画像
独特な形状のイヤーパッド

特に印象的だったのが、イヤーパッド形状です。
一般的なドーナツ型ではなく、下部がフラットにカットされた独特なデザインになっており、中央の開口部もコンパクトです。耳全体を包み込むというよりは耳周辺にフィットさせるような感覚で、どこか医療機器にも通じるような機能性重視の雰囲気を感じました。

FitEarのルーツが補聴器やカスタムIEMにあることを考えると、この「道具感」にも説得力があります。

ケーブル端子

FitEar Origin-1のケーブル端子画像

ケーブル端子は、4ピンのmini XLRを採用しています。

装着感

FitEar Origin-1のヘッドバンド画像

ヘッドバンドもシンプルで、硬くもなく柔らか過ぎでもなく付けてて不快な感覚はなかったです。
側圧は比較的緩やかで、装着直後は少し軽めのふわっとした感触があります。

FitEar Origin-1の装着画像

ただ、しばらく装着していると徐々に頭や耳周りに馴染んでくる感覚があり、長時間のリスニングでも疲れにくそうな印象を受けました。
本体重量も軽めで、装着ストレスはかなり少ないと思います。

FitEar Origin-1の音質レビュー

実際にOrigin-1を聴いてまず感じたのは、タイトでフォーカス感の強いサウンドです。
FitEarのカスタムIEMを使用していた時期があるのですが、音の方向性にはかなり共通点を感じました。特に音像をシャープに描く感覚や中域の見通しの良さには、FitEarらしさがしっかり感じられます。

FitEar Origin-1のロゴ画像
ヘッドバンド内側にOrigin-1のロゴ

そして最も印象的だったのは、中域の解像感です。
ボーカルの子音やギターのアタック・スネアの立ち上がりなど中域に含まれる情報量が見えやすく、各パートの分離も明瞭に感じられます。

特にトランジェントの表現が心地よく、音がダラッと広がるというよりは輪郭を保ったままスッと立ち上がる感覚があります。
そのため、複雑なアレンジでも各楽器の位置関係が把握しやすく、かなりモニターライクな聴き味です。

低域についても、量感で押すタイプではなく音源のスピード感にしっかり追従するタイトな鳴り方です。キックやベースのアタックがぼやけにくく、リズムの見通しが良く感じられました。

高域も過度に派手ではありませんが、フォーカスが合った自然な伸び方で定位や空間の情報が見えやすい印象です。

FitEar Origin-1のロゴ画像
反対側にはFitEarロゴ

一方で、空間表現については広大な音場感を打ち出すタイプではありません。
ただ、センターに極端に密集するモニター的な鳴り方とも少し違っていて、各音像を比較的近い距離感で整理して配置するような感覚があります。そのため、包み込まれるような空間演出というよりは、演奏やミックスのディテールを近い距離で見せていくタイプのサウンドと言えそうです。

また、音量を上げても下げてもバランスが大きく崩れにくく、小さな音量でも情報量をしっかり保ったまま聴ける点は好印象でした。

リスニングヘッドホンとしての印象

リスニング用途として使用して感じたのは、音に浸るというより音楽をしっかり見せてくれるタイプのヘッドホンだということです。

空間を大きく演出して包み込むような鳴り方ではなく、各パートを整理しながら近い距離感で聴かせてくれるため、アレンジや演奏のニュアンスを自然と追いたくなります。
特にリズムトラックやシンセレイヤーの分離が気持ちよく、聴き慣れている楽曲でも「こんな音入っていたんだ」と感じる瞬間が多くあります。

一方でいわゆる味付けの強いリスニングヘッドホンのように、低域で包み込んだり高域を煌びやかに演出するタイプではありません。そのため、派手さや没入感を重視する人よりも、楽曲そのものの構成やミックス・演奏表現をじっくり楽しみたい人に向いている印象です。

個人的には、音楽を聴き込む楽しさが強いヘッドホンだと感じました。

FitEar Origin-1のドライバー画像
専用の40mmドライバーを採用

楽曲への向き不向きとしては、シンセや打ち込みを多用した音楽・リズムトラック主体の楽曲との相性が特に良い印象です。タイトな低域と中域の見通しの良さによって、ビートやレイヤー感を気持ちよく追うことができます。

一方で、広大な空間表現やホール感を重視するシンフォニック系やシネマティックな楽曲では、ヘッドホン側が空間を大きく演出するタイプではないため、人によっては少し物足りなさを感じるかもしれません。

モニターヘッドホンとしても使用できるか

基本的にはリスニング用のヘッドホンではありますが、実際に使用してみるとモニターヘッドホンの資質も感じました。

特に、中域の解像感やトランジェント表現が優秀で各パートの分離やアレンジの整理感を把握しやすく、ミックスチェック用途との相性はかなり良い印象です。
音像を過度に脚色しないため、普段音楽を楽しみながら使用していても判断基準がブレにくく、「リスニング用」と「制作チェック用」の距離感がかなり近いヘッドホンだと感じました。
また、小音量時でもバランスが崩れにくいため、長時間の制作や夜間のチェック用途でも扱いやすそうです。

一方で、超低域の量感や空気感を細かく判断する用途に関しては、別のモニター環境と併用した方が安心かもしれません。
また、全体的にタイトでフォーカス感の強いサウンドのため、人によっては少し情報が整理されすぎているように感じる可能性もありそうです。

ただ、少なくとも私には、リスニング用ヘッドホンという枠だけでは収まらない、かなり実践的なモニター性能を持った製品だと感じました。

こんな人におすすめ

Origin-1は以下のような人に、特に刺さるヘッドホンだと思います。
•普段から楽曲のアレンジやミックスに耳が向きがちな人
•リズムトラックやシンセレイヤーを細かく追いたい人
•音楽制作も行うクリエイター
•ある程度リスニングとモニター用途を両立したい人

逆に、低域の迫力や広大な音場感など「ヘッドホンならではの演出感」を求める人には、少しストイックな音に感じる可能性もあるかもしれません。

個人的には音楽を気持ちよく楽しみながら音もちゃんと見たいという人に、特におすすめしたい製品でした。

まとめ

今回はFitEar Origin-1を、サウンドエンジニアの目線でレビューしました。

いわゆる派手な味付けのリスニングヘッドホンとは少し違い、音をしっかり見せてくれる感覚が印象的な製品でした。
FitEarらしいタイトさや中域の見通しの良さはしっかり感じられつつ、リスニング用途として自然に楽しめるバランスに仕上がっており、個人的にはかなり好印象でした。

音質傾向味付けが少なく一音一音をしっかり聴かせてくれる音
デザイン装飾の少ないシンプルで武骨なデザイン
装着感長時間のリスニングでも疲れにくい軽い装着感
こんな人におすすめ普段から楽曲のアレンジやミックスに耳が向きがちな人
ある程度リスニングとモニター用途を両立したい人

また、一般的なリスニングヘッドホンのように空間を大きく演出するというよりは、FitEarのイヤモニを思わせるようなフォーカス感や分離感が強く感じられ、どこかイヤホンとヘッドホンの中間のような独特なサウンドに感じます。そのため音楽を楽しみながらも自然とアレンジやミックスに耳が向くようなヘッドホンで、リスニングとモニターの中間の製品だとも思いました。

リスニング用途としてはもちろん、制作現場でのチェック用途も含めて、今後どう評価されていくのか楽しみです。
気になった方は、ぜひ試聴してみてください。

【商品情報】FitEar Origin-1

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FitEar Origin-1商品イメージ

執筆者紹介

太田タカシプロフィール画像
■ ライタープロフィール
太田タカシ(レコーディングエンジニア)

バンド活動の傍ら専門学校でレコーディングを学ぶ。卒業後はスタジオ勤務で、レコーディングをしつつアレンジの基礎と制作進行を身につけた。その後、レコーディング・ミックス・マスタリング業務に従事した後、フリーランスに転身。現在はレコーディングの他にサウンドプロデュースや若手育成にも力を入れつつ、ゲーム音楽やVtuberの作品にも参加している。

主な作品参加アーティストはIndigo la End・ゲスの極み乙女。・リーガルリリー・グソクムズ・20th Centuryなど。
X:@Tario_Rec Instagram:@tario_

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