ドイツを代表するブランド・ゼンハイザーからついにイヤホンの新型フラッグシップモデル・IE 900が正式発表!さっそく実機を入手しましたので試聴レビューとともにご紹介します。
誰もが知るドイツの名門ブランド「SENNHEISER(ゼンハイザー)」。
入門機からハイエンドモデルまで幅広く製品展開を行っていますが、同社のイヤホン部門におけるハイエンドモデルに冠されているのが"IE"の型番です。
2008年にそのスタートを飾る3モデル(IE6/IE7/IE8)が発売されましたが、中でも当時のフラッグシップモデル「IE8」は約4万円という価格帯にもかかわらず非常に高い人気を博しました。
そんな名門中の名門シリーズに新たなフラッグシップモデルが登場!先日配信した「春のヘッドフォン祭2021 ONLINE」中に、こんなティザーCMが流れていたのをご覧になった方もいらっしゃるのでは?
CMでは謎に包まれていたこのモデルの正体はゼンハイザーの最新フラッグシップイヤホンだった!
そして本日その詳細がついに公開!その名も「IE 900」!
【商品情報】SENNHEISER IE 900
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今回はイヤホンマニア待望のこのフラッグモデル、IE 900の実機をお借りすることができましたので早速レビューをお届け致します!
それでは実機を確認していきましょう。
IEシリーズはモデルごとにデザインが異なりますが、今回のIE 900は近年発売されたモデル「IE 40 PRO」や「IE 300」と同じ"細身の耳掛けタイプ"となります。カラーリングは従来モデルがほぼブラック(一部クリアもあり)であったのに対し、アルミニウムブロックの削り出し筐体で素材の色そのまま。
もちろんゼンハイザーこだわりのダイナミック型、フラッグシップTrueResponse(トゥルーレスポンス)トランスデューサー(直径7mm)を搭載。
また、外側からは見えませんがハウジングの内部には新開発のトリプルレゾネーターチャンバー(3つの溝)とアコースティックヴォルテックス(中心部のホール)を搭載。
これにより、6.5k~10kHzの高音域帯のピークを抑えて滑らかな高域再生が可能になったとのこと。これらの新技術を総称してゼンハイザーでは『X3Rテクノロジー』と呼称するようです。
IEシリーズといえばもうひとつ、モデルごとにコネクタが異なるという特徴もありますが、IE 900ではMMCXを採用。
とはいえこちらはIE 300同様、端子の根元に段差が設けられている『Fidelity Plus(フィデリティープラス) MMCX』コネクターを採用しているため、残念ながら一般的なMMCX端子のケーブルは接続できません…。
が、さすがフラッグシップモデルというべきか、今回はパッケージに2.5mm/4.4mmのバランスケーブルが同梱!線材こそ同一と思われますが、バランス接続で音楽を楽しみたいという方のニーズにしっかりと対応してきました。
付属のイヤーピースはシリコンとフォームの2タイプがS/M/Lの3サイズずつ。
実際に見比べてみたのですが、これはIE 300とまったく同じもののようです(ただしIE 900には写真の通りイヤーピース用のスタンドつき)。本体ステム部にもイヤーピースと同じ形状のワックス(耳垢)ガードがついています。
その他の付属品はケーブル取り付けクリップ、クリーニングツール(ブラシ)、マイクロファイバークロス、マニュアル、キャリングケースとなります。
さてそれでは試聴してみましょう。
まずは3.5mmアンバランスの音から確認。金属筐体であることも影響しているのか、低域の量はそれほど多くなく、やや引き締まったイメージでむしろ高域の伸びが非常に印象強く感じられます。
特にIE8やIE80あたりの音とは対照的ともいえるでしょう。音場は頭のうしろまで回り込むような感じで広がり、鳴り方としてはIE 400 PROやIE 500 PROに近いようです。解像感は充分に高いもののカリカリという感じではなく、空間表現の上手さと適切な音の配置とが聴き取れるような音作りになっています。
音域ごとに別々の鳴らし方をするのではなく、ダイナミックドライバ1発ですべての音をまとめあげた上で鳴らすというゼンハイザーの音作りの姿勢はこのモデルでも変わりません。
なお、同梱のバランスケーブル(4.4mm)へと変えてみたところ、大きく変化したのは低域の出方でした。
3.5mmアンバランス接続では従来モデルの音の印象から「あれ、意外と低域控えめ?」という感じでしたが、そこがかなり補強されるようになります。
ただ、それに伴いIE 900で印象の強かった高域の伸びという部分が若干埋もれてしまうようなところもあるので、このあたりは組み合わせるプレイヤーの音質傾向や出力を考慮しながら試してみると良いかも知れません。
【商品情報】Lotoo PAW Gold TOUCH Titanium
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それではせっかくなので、ゼンハイザーが誇る現行ハイクラスモデルとの比較もしてみたいと思います。用意したのはIE 900のほか、IE 500 PROとIE 800S。
筐体の素材もアルミ削り出し(IE 900)、樹脂(IE 500 PRO)、セラミック(IE 800S)とまったく異なる3モデルですが、はたして音の違いは…?!
IE 500 PROとの比較では先に触れた通り、やはり音場の後ろへの回り込みがIE 900と共通したポイントのようですが、低域はIE 500 PROの方が強めに出てきます。このあたりは元々ステージモニターとしての使用を想定していることが大きいのではないでしょうか。
高域の伸びに関しては非常に似ており、低域の出方以外のポイントはIE 900に近いと思いました。
IE 800Sを聴いてみると、音場の左右の広がり感はIE 800Sの方がより大きいものの、後ろへの回り込みはあまり感じられません。
また、高域についてはIE 800Sの方が少々抑え目、逆に低域の量感と柔らかさが感じられるため、よりゆったりと落ち着いたサウンドになっています。
さすがにこのクラスになるとどれもイヤホンとしての基礎レベルは非常に高く、どれを選ぶかとなると良し悪しというよりも音の好みが大きく関わってきますが、いわゆる「ゼンハイザーサウンド」という言葉から連想される音のイメージはIE 800Sの方が近いのではないかと思います。
とはいえ考えてみればIE 800Sも発売は3年以上前、ベースモデルのIE 800に至っては9年前のモデルです。IE8/80/80Sという流れから続いてきたゼンハイザーのフラッグシップイヤホンの音は、2021年からこのIE 900が"新しいゼンハイザーサウンド"へと塗り替えていくのでしょう。
【商品情報】SENNHEISER IE 500 PRO Clear
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【商品情報】SENNHEISE IE800S
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本体重量 | 約 4 g(片側重量、ケーブル除く) | 型式 | ダイナミック・カナル型 |
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ケーブル長 | 125 cm Y型 | イヤホン端子 | MMCX(ゼンハイザー独自形状) |
プラグ形状 | 3.5mmステレオミニプラグ L型・4.4mm(バランス)・2.5mm (バランス) | インピーダンス | 16 Ω |
周波数特性 | 5 - 48,000 Hz ( -10dB ) | 感度 | 123 dB ( 1 kHz , 1 Vrms ) |
【商品情報】SENNHEISE IE 900
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IE 900は長年信頼され続けるクオリティの高さはそのままに、バランスケーブルの同梱、絶妙なチューニングといったポイントを織り交ぜることでより新しいものを作り上げようというゼンハイザーの"老舗"ならではの意地を感じられるモデルになっています。
IE 900の発売は6月1日(火)、ご予約受付は本日より開始です!
試聴機の展示開始は5月13日(木)を予定しておりますので、3年半ぶりのゼンハイザー・フラッグシップイヤホンお目見えまで今しばらくお待ち下さい。