ソニーの最新完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds S」は、リング型というインパクト大な形状で話題となったLinkBudsシリーズの新型モデルです。予想外の形状でハイレベルなノイキャン・外音取込を搭載したLinkbuds Sをレビューします。
SONY LinkBudsとは
「SONY LinkBuds S WF-LS900N」の外観と特徴
外音取込特化型のノイズキャンセリングイヤホン?
「SONY LinkBuds S WF-LS900N」の音質レビュー
製品仕様
まとめ
2022年2月に発売されたLinkBuds WF-L900は、まるでドーナツのようなリング型ハウジングで外音をそのまま取り込むという斬新な発想で話題を呼んだ「ながらイヤホン」です。
【試聴レビュー】SONY LinkBuds WF-L900は究極の「ながらイヤホン」
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そのLinkBudsの登場から3ヵ月、なんと新型モデルが登場するというではありませんか!今度ははたしてどんな形状になるのかと思いつつ、ひと足早くソニーさんにお見せいただいたのがこちらの「LinkBuds S WF-LS900N」(以下LinkBuds S)です!
…えっ、リング型じゃなく一般的な形の完全ワイヤレスイヤホン?!これはいったい?!?!
ということで、今回はこちらのLinkBuds Sについて、その特徴と音質をいち早くお伝えしたいと思います。
まずは本体とパッケージから見ていきましょう。カラーバリエーションは左からホワイト、ブラック、そしてエクリュの3色となります。エクリュ、という名称はあまり聞きなれませんが、日本語に訳すと「生成色(きなりいろ)」、つまり素材そのままの色という意味ですがイメージ的にはベージュに近いかと思います。
パッケージ内容はイヤホン本体に充電ケース、イヤーピース(SS/S/M/LLの4サイズ)、充電用USBケーブル、保証書などの書類となっています。これらが引き出し状に収納されているというところに、デザインにも徹底的にこだわるソニーらしさを感じます。
さて、注目のイヤホン本体のデザインですが…どこかに大きな穴が空いているわけでもなく、やっぱり普通だ、という印象。
タッチコントロール(フェイスプレート)部分とステム(軸)部分とでツートンカラーにわかれているカラーリングが特徴的ですが…
形状的にはイヤーピースを使用する形の普通の完全ワイヤレスイヤホンです。
LinkBudsのファーストモデル・WF-L900(以下「初代LinkBuds」)と並べると、正直いって同じシリーズには見えません。
どちらかというと、ソニーの完全ワイヤレスイヤホン最高峰モデル・WF-1000XM4のデザインに近い感じです。
ではなぜこのイヤホンが「LinkBuds S」と名付けられているのか?その秘密は機能面に隠されていました。
初代LinkBudsはリング型形状による外音取込が最大の特徴でしたが、その反面「音漏れがする」「周囲が騒がしいと音が聴きづらい」といったデメリットもありました。また、対応コーデックがSBC/AACのみということで音質的な部分の要望もあったそうです。
そうした声に応えるため、あえて形状を普通に戻したこのLinkBuds Sが搭載したのが
・LDAC対応
・ノイズキャンセリング機能
・自然な外音取込機能
といった機能の数々です。
LinkBuds Sはソニーが開発した高音質伝送技術「LDAC」に対応する、世界最小・最軽量のノイズキャンセリング機能搭載完全ワイヤレスイヤホンです。さすがに初代LinkBudsの片側約4.1gという数値には及びませんが、イヤーピース(M)込みで片側約4.8gとかなり軽量にできています。
LDAC接続は専用アプリ「Headphones Connect」で、Bluetooth接続品質を「音質優先」にすることで可能となります。
ノイズキャンセリング機能はなんと、上位機種にも搭載されているソニー独自の統合プロセッサー「V1」が担当することで、「WF-1000XM3」と同等レベルの性能を誇ります。最新モデル「WF-1000XM4」にはかなわないまでも、そのノイキャン性能はかなり強力です。
なお、ノイズキャンセリング機能と次にご紹介するアンビエント(外音取込)モードは左側ハウジングのタップでそれぞれ切り替えられるほか、アプリからはどちらもオフにすることが可能です。
アンビエント(外音取込)モードは「WF-1000XM4」や、先日発表されたばかりのノイズキャンセリング機能つきワイヤレスヘッドホン「WH-1000XM5」と同じく、アプリ上から20段階の取り込み量調節が可能です。最大取り込み量となる20ではややエアコンなどの風の音が強調される傾向があったので、13~15あたりにしておくと良いかも知れません。
LinkBuds S本体での操作はフェイスプレート部のタッチコントロールとなっており、右側は再生・停止および音声アシスト機能、左側はノイズキャンセリング機能およびアンビエントモードの切替が可能です。また、左側をタッチしたままにするとその間だけ音量を下げつつ外音取り込みを行う「クイックアテンションモード」となります。
タッチコントロールに関しては、アプリから割り当てる機能を変更することも可能となっています。
なお、残念ながら初代LinkBudsにあった、装着した耳の周囲を叩いても操作可能な「ワイドエリアタップ」はこのLinkBuds Sでは採用されていません。
それでは音質もチェックしてみましょう。今回は発売前ということで、専用アプリ「Headphones Connect」のLinkBuds S対応版が入ったスマートフォンもお借りしました。アプリ設定で「音質優先(LDAC接続)」「DSEE Extreme:Auto」をそれぞれ選択して何曲か聴いてみます。
初代LinkBuds同様にソニーらしい明るくメリハリのあるサウンドがストレートに耳に飛び込んできますが、通常のイヤーピースを用いたカナル型イヤホンになったことで、予想以上に芯のしっかりした低域も味わえるようになっています。逆に作りの違いから初代LinkBudsのような音の開放感は薄れるのでは?と心配していたのですが、いわゆる閉そく感のようなものは感じさせないチューニングです。特に高域の伸びなど、LDAC接続の効果が表れているのか音質的には初代LinkBudsからかなりレベルアップした印象を受けます。
一方で、LinkBudsシリーズの特徴である「ながら聴き」を初代LinkBudsと同じレベルで再現しようとすると、やはりどうしても密閉性が上がっていることもあって、かなり再生音量を小さくしないと取り込んだ外音を打ち消してしまいがちでした。「外音が聴こえる状態で音楽も流せる」のが初代LinkBuds、「音楽を聴きながら外音取込もできる」のがこのLinkBuds Sといったように、どちらをメインに聴きたいかの違いが現れている感じがします。
とはいえ、アンビエントモード自体はかなり高性能です。無音状態では変にマイクで取り込んだ感じもなく、ほぼ素通しのように外音が耳に入ってきます。左タッチで簡単にノイズキャンセリング機能・アンビエントモードの切替もできるので、使用中に外の音を聴く目的で耳から外す必要はほぼないかと思われます。
ノイズキャンセリング機能もさすがWF-1000XM3同等を謳うだけあり、屋内の騒音であればまずほぼ気にならなくなります。特に今回テストした環境は「週末の中野ブロードウェイ」というなかなかの賑わいを見せる場所でしたが、アンビエントモードに切り替えたりLinkBuds Sを耳から外したりするたびに「あっ、こんなににぎやかだったのか」と驚くほどです。
初代LinkBudsのような形状的なインパクトはないものの、音質的にも機能的にもかなりハイレベルな完全ワイヤレスイヤホンではないでしょうか。
型式 | 密閉ダイナミック | ドライバーユニット | 5mm |
---|---|---|---|
ノイズキャンセリング | 対応 | 外音取り込み機能 | あり |
質量 | 約4.8g x2 | 電池持続時間(連続音声再生時間) | 最大6時間(NCオン) / 最大9時間(NCオフ) |
電池持続時間(連続通話時間) | 最大3.5時間(NCオン) / 最大3.5時間(NCオフ) | 電池持続時間(待受時間) | 最大8.5時間(NCオン) / 最大16時間(NCオフ) |
Bluetooth | Ver.5.2 | 対応コーデック | SBC、AAC、LDAC |
【商品情報】SONY LinkBuds S WF-LS900N
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ソニーのノイズキャンセリング機能つき完全ワイヤレスイヤホン「LinkBuds S」は
・小型、軽量ながらノイズキャンセリング機能もLDACも搭載
・アンビエントモードはカナル型なのに素通しのような外音取り込み力
・静かに過ごしたい時も、外の音が聴きたい時もこれ1台でどっちもOKの贅沢仕様
と、単なる従来モデルの小型化や廉価版には収まらないレベルの高さを持った実力派イヤホンです。
新色アースブルーが追加されました。11月4日発売予定です!