radius HP-W100/200/300は国内オーディオメーカーradiusの有線イヤホンシリーズW(ドブルベ)の最新イヤホンです。ハウジング素材にアルミ、ステンレス、チタニウム合金とそれぞれ個性の異なる素材を採用。その詳細と音質を詳しくレビューします。
radius W(ドブルベ)シリーズとは
radius HP-W100の外観と特徴
radius HP-W200の外観と特徴
radius HP-W300の外観と特徴
radius HP-W100音質レビュー
radius HP-W200音質レビュー
radius HP-W300音質レビュー
製品仕様
まとめ
radius(ラディウス)は日本のオーディオメーカーです。元々は1986年に設立されたコンピュータ用周辺機器・ソフトウェア開発企業でしたが、その日本法人が独立して現在のようなオーディオ機器をメインとしたメーカーとなった、というユニークな歴史を持っています。
そのradiusが誇るイヤホンのフラッグシップシリーズといえば「W(ドブルベ)」。今ではさまざまなメーカーで見かける、振動板を2枚使用した「DDM方式ドライバー(Dual Diaphragm Matrix system)」搭載のイヤホンを2009年に”世界で初めて”製品化したという、いわゆるデュアルダイナミックドライバーの先駆け的存在なのです!
以来、2代目の「ドブルベ ヌメロドゥ」、3代目の「ドブルベ ヌメロトロワ」、4代目の「ドブルベ ヌメロキャトル」と進化を続けてきたWシリーズでしたが、2017年に発売された小型モデル「ドブルベ アンテリュール」を最後に、新しい動きが見られませんでした。
それから5年、ついにこの名誉あるシリーズが復活しました!それがこちらの3モデル、「HP-W100」「HP-W200」「HP-W300」です!
今回はこの新たなWシリーズ3モデルについて、詳細および音質レビューをお届けします。
まずは今回登場した3モデル中、一番お求めやすいHP-W100(以下「W100」)からご紹介しましょう。W100のハウジング形状はタル型で、これまでのWシリーズ各モデルとは一線を画するデザインとなっています。素材がアルミニウムの削り出しという点も、従来の樹脂製筐体と大きく異なるポイントです。新型3モデル中、このW100のみケーブルは直出し(着脱不可)となっています。Wシリーズの特徴である2枚のダイナミックドライバーは、それぞれ「10mm径ダイナミック振動板(グラフェンコート)」と「9mm径ピエゾ振動板(第三世代VST2)」を搭載しています。
「ん?VST2ってどこかで聞いたことがあるような?」と思った方はするどい!実は今回発売の新生W3モデル、すべて高域用ドライバーに「intime(アンティーム)」ブランドでおなじみのオーツェイド社ピエゾドライバーを採用しているのです。
ピエゾドライバーは、セラミックや水晶など一部の物質のもつ、電圧をかけると伸縮、振動する「逆圧電効果」という性質を利用して音を発生させるドライバーで、イヤホンでは主に高域再生用に採用されています。
付属するイヤーピースは、3モデル共通となるradiusオリジナルのディープマウントイヤーピース(XS/S/M/Lの4サイズ)です。クリアとブラックの2種類となっていますが、こちらは単に色が違うわけではなく、表面の質感を光沢(クリア)とマット(ブラック)の異なった質感とすることにより、装着感も異なるよう設計されたものです。
3モデルに共通する付属品としてはイヤーピース以外にも、持ち運びに便利な本革製ケースと、巾着タイプの布製ポーチがあります。
続いては3モデル中、radiusが「ドブルベシリーズの正当進化」モデルと位置付けるHP-W200(以下「W200」)のご紹介です。W200のハウジングもタル型ですがW100より若干大きく、素材はステンレススチールの削り出し、ケーブルはMMCX端子採用の着脱式となっています。2枚のダイナミックドライバーには「10mm径ダイナミック振動板(グラフェンコート)」および「9mm径ピエゾ振動板(第三世代VST2)」を搭載と、W100と同じ構成にはなっていますがそれぞれ異なるチューニングを施しているとのことです。
MMCX端子を採用したW200には3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスの2本のケーブルが付属しますが、実はこちら、人気リケーブルブランド・NOBUNAGA Labs(ノブナガラボ)製の錫メッキOFC導体ケーブルを採用しています。つまり、radius・オーツェイド(intime)・NOBUNAGA Labsの国内3ブランドによるコラボモデルともいえるイヤホンなのです。
最後にご紹介するのは、3モデル中もっとも高価格となるHP-W300(以下「W300」)です。W300のハウジングもやはりタル型でサイズはW200とほぼ同じ。素材はチタニウム合金の削り出しで、ケーブルはMMCX端子採用の着脱式となっています。2枚のダイナミックドライバーには「10mm径ダイナミック振動板(チタニウムコート)」と「9mm径ピエゾ振動板(第三世代VST2)」を搭載しており、W100・W200とは低域用ドライバーのコーティングが異なっています。
W300にも3.5mmシングルエンドと4.4mmバランスの2本のNOBUNAGA Labs(ノブナガラボ)製錫メッキOFC導体MMCXケーブルが付属します。
それではW100/W200/W300それぞれの音質を確認したいと思います。プレイヤーにはAstell&Kern KANN ALPHAを使用、イヤーピースは耳への吸着力があるクリアを装着しています。
まずはW100から聴いてみましょう。筐体の素材であるアルミといえば軽い金属の代表格ですが、その印象とは正反対に重く量感ある低域の主張を感じるサウンドです。とはいえ他の音域を埋もれさせてしまうほどではなく、中域・ボーカルなども比較的聴き取りやすいバランスになっています。反面、高域はややおとなしめです。音場も左右へやや広がるイメージで、柔らかい音の広がりを感じさせます。歴代Wシリーズの中でいえば、2代目・ドブルベ ヌメロドゥの音に近いのではないでしょうか。
続いて、W200を聴いてみます。
こちらはW100とは逆に、筐体素材のステンレスのイメージそのままに硬めでシャープ、スッキリとした感じのサウンドです。高域の伸びもよく、W100よりもさらにひと回り音場が広がりますが、低域はけっこう抑え気味。搭載しているドライバー自体はW100と同じはずなのですが、筐体素材とチューニング、そしてケーブルの違いでここまで異なるサウンドになるところがイヤホンの面白いところかと思います。歴代Wシリーズでいえば4代目・ドブルベ ヌメロキャトルに似た傾向となっています。
最後にW300を聴いてみましょう。
さすがに今回発売された3モデルでもっとも高価格なだけあり、音の分離感や立体感が一段向上します。特に前後の位置関係がより鮮明に描かれるようです。サウンド傾向としては量感はやや抑え目ながら重さのある低域に、伸びやかでクリアな中高域という感じで、W100とW200の良いところだけを抜き出して組み合わせたかのような音作りになっています。3代目・ドブルベ ヌメロトロワをぐんとレベルアップした音、というところでしょうか。
HP-W100 | HP-W200 | HP-W300 | |
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筐体 | アルミニウム筐体(削り出し) | ステンレス筐体(削り出し) | チタニウム合金筐体(削り出し) |
ドライバー | ピエゾセラミックツイータ第三世代 VST2+グラフェンコート振動板ウーファー | ピエゾセラミックツイータ第三世代 VST2+グラフェンコート振動板ウーファー | ピエゾセラミックツイータ第三世代 VST2+チタニウムコート振動板ウーファー |
ケーブル | 銀メッキ OFC+高純度 OFC ハイブリッド導体ケーブル(φ3.5mm プラグ アンバランス) | NOBUNAGA Labs 錫メッキ OFC 導体ケーブル(MMCX コネクタ to φ3.5mm プラグ アンバランス)、NOBUNAGA Labs 錫メッキ OFC 導体ケーブル(MMCX コネクタ to φ4.4mm プラグ バランス) | NOBUNAGA Labs 錫メッキ OFC 導体ケーブル(MMCX コネクタ to φ3.5mm プラグ アンバランス)、NOBUNAGA Labs 錫メッキ OFC 導体ケーブル(MMCX コネクタ to φ4.4mm プラグ バランス) |
radiusの名門シリーズ・W(ドブルベ)復活モデルとなる「HP-W100」「HP-W200」「HP-W300」は
・アルミ(W100)、ステンレス(W200)、チタニウム合金(W300)とそれぞれ個性の異なるハウジング素材
・オーツェイド社製ピエゾドライバーとNOBUNAGA Labs製ケーブル(W200/W300のみ)を採用
・3モデルとも異なるキャラクターを持ちながら、歴代Wシリーズ各モデルを連想させるサウンドづくり
と、Wシリーズというradiusが誇る看板を背負いつつも、それぞれ新しいチャレンジを取り入れたイヤホンとなっております。
HP-W100/W200/W300はただいま好評発売中、試聴機も全モデルご用意しておりますので、ぜひ異なるハウジング素材による音の違いやradius自慢のDDM方式ドライバーが奏でるサウンドをじっくりとお試しください!