分類

分類

  •   
2023.06.01
専門店・プロレビュー,

Violectric DHA V590-2Pro レビュー × 太田タカシ|サウンドエンジニアによるヘッドホンアンプレビュー

Violectric DHA V590-2Pro レビュー × 太田タカシ|サウンドエンジニアによるヘッドホンアンプレビュー

Violectricヘッドホンアンプ「DHA V590-2Pro」をレコーディングエンジニアの太田タカシさんがレビューします。低域から高域、大きい音から小さい音までしっかり鳴らしてくれるヘッドホンアンプDHA V590-2Proをエンジニアならではの視点で紐解きます。

太田タカシプロフィール画像
■ ライタープロフィール
レコーディングエンジニア 太田タカシ
1984年千葉県出身、バンド活動をする傍ら専門学校でレコーディングを学び、卒業後は音楽事務所のスタジオに勤務しレコーディングをしつつアレンジの基礎と制作進行を身につけた。その後、リハーサルスタジオ内のレコーディングスタジオでレコーディング・ミックス・マスタリング業務に従事した後、フリーランスに転身。現在はレコーディングの他にもサウンドプロデュースや若手の育成にも力を入れている。
主な作品参加アーティストはIndigo la End・ゲスの極み乙女。・リーガルリリー・グソクムズ・20th Centuryなど。近年はゲーム音楽やVtuberの作品にも参加している。
Twitter:@tario_ Instagram:@tario_

はじめに

こんにちは、レコーディングエンジニアの太田です。前回、前々回はヘッドホンについてのレビューでしたが今回はヘッドホンアンプのレビューです。

先日、中野サンプラザで行われた春のヘッドフォン祭2023にお邪魔したのですが、その時にも各メーカーさんから様々なヘッドホンアンプが紹介されていました。音楽制作の現場でもプロデューサーやディレクター、作曲家/アレンジャーが自宅に導入したり、レコーディングスタジオに持ち込んでサウンドチェックをすることが増えてきていることも実感しています。

そんな盛り上がりを見せてるヘッドホンアンプから、今回はViolectric DHA V590-2Proをレビューしていきます!
某大先輩のエンジニアさんからもおすすめされたメーカーなのでとても楽しみです。

Violectricとは

Violectricロゴステッカーの画像
Violectricロゴステッカー

Violectricは2009年にドイツで設立されたブランドです。レコーディングエンジニアやオーディオ愛好家向けに、ヘッドホンアンプ、プリアンプ、デジタルアナログコンバータ(DAC)などのハイエンドオーディオ機器を製造しています。

Violectricの製品は、高品質な音響再生と信号処理を追求することに重点を置き、高い解像度、低い歪み、ノイズの少なさ、信号の正確な再現性を特徴としています。ヘッドホンアンプは特に評価が高く、さまざまなヘッドホンやイヤホンとの互換性があり、アンプ部だけでなくDACの性能においてもプロアマ問わず高く評価されています。

Violectric DHA V590-2Proの特徴

それでは早速DHA V590-2Proをみていきましょう。

付属品

パッケージ内容の画像
パッケージ内容

本体の他に付属品としては電源ケーブル、USBケーブル、ユーザーマニュアル、クイックガイド(英語・ドイツ語)です。日本語のマニュアルはありません。web翻訳を使いつつ、噛み砕いて説明していきます。(マニュアルは読み応えある面白い内容でした。)

設置イメージの画像
設置イメージ

外観はマットで堅牢な見た目が目を惹きます。華美な感じはなく、それでいて安っぽくもない。黒というカラーは、スタジオ機材との組み合わせがしやすくて好きなカラーです。無駄のない職人的なデザインがプロの仕事を醸し出していますね。

フロントパネル

フロントパネルの画像

フロントパネルを見ていきます。基本的にシンプルで無駄がなく、初見でも操作に戸惑わないデザインが素晴らしいです。それだけそのままの音に自信があるということでしょうか。

構成は左からツマミ類がボリューム、左右のバランス、スイッチ類が左からアナログインプットセレクト、デジタルインプットセレクト、アウトプットセレクトです。出力は6.3mm(1/4")ヘッドホンアウト、4Pin-XLRのバランスアウト、4.4mmのバランスアウトの3種類に対応しています。

リアパネル

続いてリアパネルです。

リアパネル全景の画像
リアパネル全景

左から電源コネクター、デジタル入力セクション、アナログ出力セクション、アナログ入力セクションと並びます。電源はIECコネクターですね。個人的にはこの形状を採用しているとプロの機材という感じがして安心します。

デジタル入力部

リアパネルデジタル部分の画像
リアパネルデジタル部分

デジタル入力部はUSB、Optical、Coaxial、AES/EBUの4種類と主要な形式に対応しています。

プロ用の規格のAED/EBUがあるのはポイントが高いですね。USB接続においてはDSDも再生できるのでDSD好きにも嬉しい仕様ではないでしょうか。

アナログ入出力部

リアパネルアナログ部分の画像
リアパネルアナログ部分

アナログの入力部はRCAが2系統、XLRが1系統です。フロントパネルやリモコンでセレクトできるのでいろんなソースに対応できる仕様になってます。

blockcircuitryの画像

アナログ出力部はRCAが1系統、XLRが1系統です、それとPre/Postのスイッチがあります。このスイッチはV590-2 Proをプリアンプとして使ってアクテブスピーカーやプリアンプに送る場合はPostを、そうでない場合をPreを選択して使います。プリアンプの性能も高いので選択できるのは嬉しいですね。

DACとしても使用できるので一石二鳥ではないでしょうか。

リモコン

リモコンの画像

リモコンはアルミ削り出しの堅牢なリモコンです。フロントパネルの全ての機能がリモコンでも操作できます。なお、上の6つのボタン(RESAMPLING、FUNCTION)は機能しないそうです。

DAC

DACは新開発のコンバーターで32Bitリサンプル/リクロックそしてチャンネルあたり2つのDAコンバーターを搭載しています。

ヘッドホンアンプは非常に低ノイズを実現していてセルフノイズもほとんど聴こえません。内部電圧は50Vというかなり高い電圧で動作しているため、出力も充分でハイインピーダンスのヘッドホンでも問題なく鳴らしてくれます。

また、高いダンピングファクターを有しているためローインピーダンスのヘッドホンでも静磁型のヘッドホンでも妥協なく鳴らすことができます。

Violectric DHA V590-2Proの音質レビュー

それでは実際の音を聴いていきます。

試聴環境はMacMiniからAPOGEE Symphony Mk2 I/OからAES/EBUでDHA V590-2Proに接続、ヘッドホンはULTRASONE Signature MASTER、APPLE AirPods Max、Shure SRH1840の3つで比較対象としてはSymphony Mk2 I/OのヘッドホンアウトRME FIREFACE UFX+のヘッドホンアウトと聴き比べていきます。

Violectric DHA V590-2Proの画像
Violectric DHA V590-2Pro
APOGEE Symphony Mk2 I/Oの画像
APOGEE Symphony Mk2 I/O
RME FIREFACE UFX+の画像
RME FIREFACE UFX+
APPLE AirPods Max / ULTRASONE Signature MASTER / Shure SRH1840の画像
APPLE AirPods Max / ULTRASONE Signature MASTER / Shure SRH1840

POPS/ROCKを聴いてみた

まず特筆するべきポイントはボリュームを上げていってもピーキーにならないところです。
通常音量を上げていくと、あるポイントからバランスが崩れていき耳障りになることが多いのですが、それをほとんど感じさせません。比較対象のインターフェイスのヘッドホンアウトも音質的にも気に入っているのですがこれは流石に敵わないと感じました。どこまでもリニアに音量が上がっていきそうな勢いです。

クラシックを聴いてみると

POPS/ROCKの時にも感じてはいたのですが中域の重厚感が感じられます。「増えた」という感覚ではなく「しっかりと再現された」という印象でした。ホールの残響のディティールまでしっかり最後まで聴こえ、楽曲のダイナミックレンジを余すことなく再現してます。高域がしっかり出ているのですが自然なので、痛いという印象は全く感じませんでした。

Jazzを聴いてみた

空気感の印象はクラシックの時と同じく演奏空間の再現が素晴らしいです。トランジェントの再現性も抜群で、音の立ち上がりから最後までしっかりと鳴らしてくれるので気持ちよくリズムが体に入ってきます。

J・POP/アニソンを聴いてみた

比較環境ともっとも違いを感じたのはこのジャンルでした。立場的に言い難いところではありますがあえてお伝えすると、このジャンルは中高音域が飛び出て聞こえることが多いのですが、凄く気持ち良く歯擦音も滑らかに聴けました。そのおかげでビートもしっかり感じられ、曲に没入できました。

特に開放型ヘッドホンとの組み合わせがおすすめ

印象としては味付けや癖がなく低域から高域、大きい音から小さい音までしっかり鳴らしてくれるヘッドホンアンプです。

ヘッドホンの相性は関係なくどのヘッドホンも性能を引き出してくれます。そのため、なんでも組み合わせられる印象ですが、強いて言えば開放型のヘッドホンとの相性が良いです。開放型好きだけどちょっとスカスカ感が…、といったところが気にならなくなり、まるでスピーカーで聴いているような感覚を感じられると思います。

アナログアウトの質もすごく良かったのでマスタリングエンジニアにもおすすめできます。

製品仕様

アナログ入力RCA x 2、XLR x 1デジタル入力最大 24 bit/192 kHz の光および同軸、AES/EBU、最大 32 bit/384 kHz・DSD 64 – 256 対応の USB
DACESS Sabre ES9026 Pro出力ヘッドフォン(4ピンXLRバランス x 1、4.4mmバランス x 1、6.3mmシングルエンド x 1)、ラインアウト(RCA x 1、XLR x 1)

【商品情報】Violectric DHA V590-2Pro

» 詳細を見る

Violectric DHA V590-2Pro

まとめ

金額的にもピンからキリまであるヘッドホンアンプは、なにかと後回しになりがちですが、今回Violectric DHA V590-2Proを試聴してみてやはり大事な機材ということを再認識しました。

僕自身も本気で一台探したい!と思わせてくれる質の良さを感じるヘッドホンアンプです。

ViolectricはDAコンバーターも素晴らしかったのでADDAコンバーターを出してくれないかなぁ...なんて密かに思ったのでした。

・外観はマットで堅牢、無駄のない職人的なデザイン
・デジタル入力部はUSB、Optical、Coaxial、AES/EBUの4種類
・アナログの入力部はRCAが2系統、XLRが1系統
・アナログ出力部はRCAが1系統、XLRが1系統
・Pre/Postの切り替えスイッチ
・ヘッドホンアンプは非常に低ノイズを実現
・中域の重厚感と音の立ち上がりから最後までしっかりと鳴らす音の再現性の高さ
・開放型のヘッドホンとの組み合わせがおすすめ

Page Top